表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
本音を言わせて  作者: 虹空クロナ
2/20

気付けば…

ブックマークがされていることに驚き信じられない面持ちで何回か見直しました。ありがとうございます。

今回は一話とはがらっと変わります。

『ねぇ、ロゼは大きくなったら何になるの?』『うーんとね、ロゼはね、大きくなったらおうじさまのおよめさんになるの!』

見覚えのある花畑に小さい頃の自分と彼がいる。

(ああ これは夢なのね あの頃の夢 周りの印象なんて関係のなかった幸せだったときの夢 )

『およめさん?じゃあロゼは大きくなったらどこかへ行っちゃうの?ロゼに会えなくなるの?』『そんなことないよ!大きくなってもロゼはどこかへ行かないよ。また会えるよ。』『そっか良かった』『ねぇそれより《  》は大きくなったら何になるの?』『ぼく?ぼくはね…』


目が覚め、まだ夢の余韻に浸っていることを感じたロゼリアは瞬きをして目が覚めきることを促す。

(とても懐かしい夢を見ました )意識がはっきりしてきたところでロゼリアは周囲を見渡す。

(ここはどこでしょうか? 私は死んだのではないのでしょうか?)そう思い身体を起こそうと動くと「痛っ!」身体に痛みを感じ、思わず声が出た。


痛みで動けないためとりあえず周囲をもう一度観察してみた。

まず、今自分はベッドの上にいる、ベッドの横には寝ている自分の頭より少し上ぐらいの四角いテーブルと椅子が設置されていた。椅子の後ろにはドアがあった。どうやら部屋の1つにいるのだとロゼリアは理解し、自分がまだ死んでいないことにほっとし、それと同時にもし、既に親族に自分がここにいることが知らされていた時のことを考え不安になった。


思案に耽っていると床が軋む音が聞こえ、それが人の足音だと気付きドアの方に顔を向けてみた。するとドアが開き、そこから顔を覗かせた自分と同じくらいの年の青年と目が合った。青年は目が合うと一瞬きょとんとしたがすぐにほっとしたような笑顔になり、口を開いた。

「良かった。目覚めたんだ。待ってて、今おかみさん呼んでくるから」そう告げロゼリアが何か言う前にまたドアを閉めてどこかへ行ってしまった。一連の出来事に呆然としているとまた足音が聞こえ、ドアが開いた。


ドアが開くと今度はふくよかな40代女性が入ってきた。

「あらま、本当だね。目覚めたね。良かったねー。」そういうと女性はロゼリアに近づき椅子に座る。

「あっあの」

「体調は大丈夫かい?あんた森の中で倒れてたんだよ。医者の先生が言うには軽い打撲と疲れだと言われたけどさびっくりしたよ。でも目覚めて本当に良かった。大丈夫かい?何か食べられそうかい?」

「あの、助けて頂いたみたいでありがとうございます。ご迷惑お掛け致しました。えと体調は大丈夫です。少し身体は痛みますが大丈夫です。えっと、それでここはどこなのでしょうか?」

「ああ、ここかい?ここはクロッカスだよ。」

(クロッカス。ということは学園のある王都とは森を抜けた先の地方ってことね)

「それでここはあたしと主人でやってる料理屋の隣にあるあたしらの家だよ。まあ、ここは半分森の中みたいな所にあるから普通の通りとか市場とはちょいとばかし離れてるけどね。これでも結構贔屓にしてもらってるんだよ。」そう言って女性は元気よく笑った。

「まあ、それよりあたしはマルタっていうんだよ。みんなおかみさんっていうからあんたもそれでいいよ。であんたの名前はなんていうんだい?どうしてあんな所にいたんだい?」

「あっあの私は…ロ、ロゼッタといいます。それでええっと…」

名前から身元がばれてしまったり、親族に伝わったりすると駄目だと思い咄嗟に偽名を使う。そのあとなんと言えばいいのか戸惑っていると

「まあ、なんか訳ありみたいだし細かいことは聞かないけどとりあえず今は休みな。じゃあなんか食べるものもってくるね。少しは食べないと元気になるもんも元気にならないからね。」何か察したのかそう言っておかみさんは笑い特に詳しく聞こうとはしなかった。

「あっあの、」「ん?なんだい?」

「私のこと知ってるかたは他にいらっしゃいますか?」

「ん?あんたのことかい?今んところあたしと旦那とキース、あっキースってのはさっきこの部屋にきた奴ね、あとユキノとユキヤかね、あー、あと医者の先生だね。あっユキノとユキヤっていうのはうちで預かってる子供たちだよ。それぐらいかね。」

「まあ、あとで知り合いの警備隊の奴にあんたのこと話そうとおもってたけど「止めてっ!」」警備隊という言葉に思わず大声を上げてしまい、ロゼリアははっとして我に返った。おかみさんを見ると少し驚いていた。

「ご、ごめんなさい。心配してくれているのに…。でも、あの、申し訳ないのですがこのことは他の方には言わないでいてもらいたいです。」

「訳ありかい?」

「……」

「まあ、いいさ。わかったよ。みんなにもあたしから言っておいておくよ。とりあえず少し飯でも食いな。話はそれからだ。」

「ありがとうございます。すみません。」優しく接してくれるおかみさんに申し訳なく思い、謝罪するとおかみさんは優しく微笑み、ロゼリアの頭をそっと撫で部屋を出ていった。


おかみさんが部屋を出ていったのを見届けたあと、ロゼリアはそっと溜め息をついた。

ひとまずまだ親族に話が言ってないであろうと思い、安心する。

(これからどうしましょう…)ふとこれからのことに対し、考えてみるが良い案が浮かばず悩んでいた。

(ここで働かせて頂くなんて虫がよすぎる話よね。)身元の分からない自分を保護してくれているのにさらに迷惑をかける訳にはいかないとその考えをロゼリアは断念した。


しばらくしてドアが開きそちらに目を向けるとおかみさんが料理の載ったお盆を持って入ってきた。そして、おかみさんの足に隠れるようにこちらを見てる二人の子供の姿もあった。

おかみさんほお盆を一旦テーブルの上に置き、ロゼリアが身体を起こす手伝いをしてくれた。身体を起こすと食事を始める。食事はリゾットで口に入れるとその優しい味わいにほっとした。

その間も子供たちはじっとこちらを見ていた。改めて子供たちを見ると二人は似た顔立ちをしていて髪の長さや服の違いで女の子と男の子だと分かる。髪の色は二人とも薄い黄色に近い金髪で女の子の方は肩より少し長いくらいで男の子の方は一般的な男の子の長さだった。目の色は女の子が海の色に似た青よりの色、男の子が空色よりの薄い青色それぞれグラデーションがかった瞳でとても珍しい。顔立ちは二人とも将来が楽しみな程整っていた。因みにおかみさんは茶色い髪に茶色い目をしている。


子供たちとロゼリアがお互いに見ていることに気付いたおかみさんが二人を紹介してくれる。

「ロゼッタ、この子らがさっき話した子たちだよ。男の子の方がユキヤ、女の子の方がユキノだよ。双子なんだ。」と説明してくれた。ロゼリアに紹介すると双子にも「ロゼッタだよ。ほら、挨拶しな。」と紹介し、挨拶を促してくれた。

「…ユキヤです。」「ユキノです。」「「よろしくお願いします。」」

おかみさんに促され、恥ずかしそうにしながらもちゃんと挨拶をしてくれた。そんな二人に自然と笑みが浮かびロゼリアも挨拶をする。

「初めまして。ロゼッタです。此方こそよろしくお願いいたします。」と挨拶すると、二人は頬をほんのり赤らめ、もじもじしながらも笑い返してくれた。

「ロゼッタおねえちゃんの髪真っ黒だね、きれい。」とユキノが言いそれに吊られてユキヤが頷きながら

「目もきれい。紫色の目初めてみた。」と言う。

確かにロゼリアのロゼリアの髪と目の色は珍しい。黒よりの灰色や茶色はいるが真っ黒な髪は珍しいだが紫色の目はもっと珍しかった。ロゼリアは自分以外で紫色の目をした人間を見たことがなかった。両親でさえ、ロゼリアと同じ色ではないが昔から父方の大叔母に遺伝していると言われたのでそこまで気にしていなかった。それにロゼリアはこの色を気に入っていた。気に入っている色を褒められ嬉しくなったロゼリアは微笑み双子に話し掛けた。

「ありがとう。そういうユキノとユキヤも綺麗な金髪をしているわ。それに目の色も綺麗よ。」そう言って二人の柔らかい髪をすくように頭を撫でてやると少し驚いたあと、嬉しそうにじゃれてきた。


それからしばらく双子と話しているとおかみさんが感心したように話し掛けてきた。

「へぇ、初めての人間には人見知りする二人がよくなついたものだね。良かった。まあ、それは置いといてロゼッタ。とりあえずけがが治るまではうちにいて良いけどさけが治ったらあんたこれからどうする気だい?」

「…それは」

「行く宛てはあるのかい?」

「…」

「無いんだね。」

「…はい。」先程もこれからのことについてどうするか考え、良い案が浮かばなかったことをおかみさんに正直に伝える。そうするとおかみさんは眉間にシワを寄せ、考え始めた。

「あっでも、お世話になっと治療費や食事代は必ずどこかで働いて返します。」そう慌てて告げるロゼリアにおかみさんは口を開く。

「ロゼッタ。あんたが良いならうちに住み込みで働くかい?」

「えっ?」急なおかみさんの申し出にロゼリアは思わず口を開いて驚いたまま、固まった。そんなロゼリアの様子を気にせずおかみさんは話を続ける。

「いやね。別にお金のことは気にしなくていいんだけどね、行くとこがないってんならうちで働いたらどうかと思ってね。ちょうど最近働いてた子が一人辞めちまって人手不足だしね。それにあんたが気になってたお金に関しても働いて返してくれたらいいしね。まあ、あんたが良ければの話だから無理にとは言わないけど、どうだい?」おかみさんはそう告げロゼリアの言葉を待つ。ロゼリア自身は願ってもない申し出に驚いたあと、おかみさんから発言を促され、我に返ると慌てて口を開いた。

「あっあの、私としては願ってもない申し出ですので皆さんが宜しければ是非ともそうさせて頂きたいと思います。ありがとうございます。ご迷惑を掛けないように頑張ります!」

ロゼリアのその発言におかみさんは「あっはっは!」と大笑いしながら言った。

「そうかい。そらなら良かった。まあとりあえずはけがを早く治すことだね。まずはそれからだ。」と言い、ロゼリアを寝かせ布団を被せてやる。

「はい。ありがとうございます。」

「そんなに堅苦しくなくて良いよ。とりあえず休みな。」と礼を言ったロゼリアに対し、おかみさんは優しく笑いながら頭を撫でた。両親にもそんなことをされたことの無かったロゼリアはその暖かさに思わず涙が滲んだ。そんなロゼリアを見ながらおかみさんは双子を引き連れて部屋から出ていった。


部屋でまた一人になったロゼリアはこれからの生活に期待を膨らませ、意識を手放し、深い眠りについた。

なんとか二話目更新出来ました。これからもマメに更新出来ればとおもってます。

因みにおかみさんと旦那さんには子供がいません。

次話も新キャラ登場します。

ロゼリアの想い人はまだちゃんとは出てきません。その内出しますので暫しお待ち下さい。

お読み頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ