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本音を言わせて  作者: 虹空クロナ
16/20

とある少女の独白~出逢い~

お久しぶりです!遅くなってすみません


時は遡りミアさんの回想に入ります。

彼女が学園に入学した時期です。


 暖かな日差し、爽快な青空、爽やかな風と緑、色鮮やかな花、目の前には立派な建物。


「うわぁ、凄い」


 こんにちは、ミア・ダノンです。


今私はこれから通う学校の前にいます。

学校はさすが、貴族の子息子女が通うだけあって、立派な造りで思わず感動してしまいました!

えっ?じゃあお前も貴族かって?いやいや、そんな滅相もない私はただの平民です。

えっ?じゃあなんで平民がこんな立派な学校に入れるかって?

それはここがマリアンジュ学園だからです!


マリアンジュ学園は貴族はもちろんのこと優れた能力のある者なら平民であろうと入ることの出来る学園です。

僭越ながら私もその一人でして、無事このマリアンジュ学園に入学することが出来ました。

入学したからには優秀な成績を修め、官僚目指し、頑張らねばです!

 

 そう思っていたこの時の私はまだ、あんなことが起きるなど夢にも思っておらず、ただ、期待と不安に胸を奮わせていました。



「はっ!物思いに更けってる場合じゃないんだった。早く入学式の会場に行かなきゃ!」



 入学式の時間に差し迫っているのに気が付いた私は早足で会場に向かいました。 

その時、焦ってしまったため、足元が疎かになっていた私は地面の凹凸に気付かず、転んでしまいました。 


「きゃっ!?」


ドサッ


「イタタタタ」


 転んでしまい、思わず出した手のひらを擦りむいて痛がっていたその時、あの方と出会ったのです。



「そこの貴女、どうなさったの?」


「えっ?」


「まあ、もしかして転んでしまったの?大丈夫?どこかお怪我は?」


「えっと、はい、大丈夫で・・・っ痛」


「あら、手を擦りむいてしまったの?少し、お待ちになっていて」


「えっ!あっあの大丈夫です」


「すぐに戻りますから」


 そう言ってその方は早足でその場を離れ、すぐに戻ってきました。

手には濡れた白いハンカチを持って笑顔で帰ってきました。


「お待たせしまいました。これで少しはましになったと思います。本当は保健室へ行った方が良いのですが、新入生のようですし、入学式には出た方が良いと思いますのでとりあえずはこれで我慢して下さい。ただし、後で必ず保健室に行って下さいね?」


「あっ、はっはい!ありがとうございます!」


「ふふふ、どう致しまして。それでは私はもう行きますが会場までの道は分かりますか?」


「はい、大丈夫です」


「それは良かったです。では、私はこれで失礼致します。それから、ご入学おめでとうございます。これからの貴女の学園生活が実りあるものとなるように祈っています」


「あっあの本当にありがとうございました」


「いえ、では私はこれで」


「あっ!このハンカチっ!」


「そのハンカチはお気になさらないで下さい。では」


「えっあっちょっと・・・」


 その方はそう言うと颯爽とその場から離れてしまいました。

残された私はあっという間の出来事に呆然としながらも艶のある黒髪に見たこともない透き通った紫の瞳を持った美しい女性―後に1つ上の先輩であるロゼリア・ハーヴェスト様だと分かる―の親切さに感動しました。


 そんなことがあった後、式は無事に終了し、先程の女性の言い付け通り、保健室へ向かい、治療を受け、自身の教室にて担任の先生から授業などに関する説明を受け、終了となりました。



 家に帰った私は夕御飯の時に両親に今日あった出来事について話しました。



「それでね、転んで痛がってた私にその人がね、助けてくれたのっ!」


「そう、それは良かったじゃない」


「うん!貴族様の通う学校だから平民は冷遇されるかなって思ってたけどああいう人がいるところならなんとかなりそうって気がしてきた!」


「あっははは、それは良かったな」


「本当にね」



 お父さんとお母さんは私の話を聞いて笑いながら良かったと言ってくれました。



「はぁ、でも本当に綺麗な人だったなぁ」


「あら、そんなに綺麗な人だったの?」


「うん。艶のある纏まった黒髪に、見たこともない色をした透き通った紫の瞳の綺麗な人でね、笑顔がとても素敵だったの」


ガタッ! 


 その人の特徴について話すと私と向かい合う形で椅子に座っていたお父さんが空のコップを倒したのでそちらに目を向けるとお父さんもお母さんも目を見開いてこちらを見ていました。


「・・・黒髪に、・・・紫の・・瞳・・・・?」


「えっ?うっうんそうだよ?」


「「・・・・」」


「お父さん?お母さん?どうしたの?」


 二人の表情に混乱しながら聞かれた質問にこたえると二人は沈黙しました。

困惑しながらじっとしていると次第にお母さんの瞳に涙が溜まっていきました。


「・・・うっ」


「おっお母さん!?どうしたの!?」


「いえ、何でもないわ、ただ・・・」


「ただ?」


「ただ、あの方達の大切な人が健やかに生きていてくれていたと思うと・・・」


「ミレッタ・・・」


「・・・」


 お母さんが話し終わるとお父さんがお母さんの名前を呼び、そっと抱き寄せました。

何故、お母さんが泣いているのか分からない私はただ、黙って見ているしか出来ませんでした。



 しばらくして落ち着いたお母さんはぽつりぽつりと話し始めました。


 昔お父さんとお母さんと仲の良かった貴族の方達がいらったしゃったこと、その方達は黒髪を持った方と紫の瞳を持った方だったこと、そして、その方達は既に亡くなっていることを教えて貰いました。

 その話を聞いた私は今日出会った女性がその方達の血縁、娘ではないかと薄々分かりました。

また、その方達はあの人とも知り合いであるということも分かりました。

どおりで高い地位にいるあの人と両親に付き合いがあるのだと分かりました。

それなら私はその方達に感謝しなければなりません。

もし、お父さんとお母さんがあの人と知り合いでなければ私はあの人に出会うことはなかったのだから。



 かつて、お父さん達と仲の良かった方達の娘かもしれない方、もし許されるのであれば是非また話をしたい。

当時の私はそう思い、これからのことについて胸を踊らせていました。





 

遅くなってすみませんでした!

中々更新出来ず、1ヵ月に1度の更新となってしまいました。


とりあえずミア視点と入りました!

このままあと2、3話?くらいはミアの回想になります。


ひとまずはお読みいただき、ありがとうございます。



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