復讐という名の舞台
今年最初の更新です。遅くなりました。すみません
短めです。
晴れた午後、ディオールの書斎には部屋の主人であるディオール、ロゼリアの両親そしてロゼリアがいた。
ディオールは書斎机の椅子に座り、両親は中央に向かい合わせにあるソファーにそれぞれ腰かけ、ロゼリアは立っていた。
その状態は5日前、ロゼリアがディオールの部屋を訪れた時と似ていた。
だが、明らかに違うといえばロゼリアの瞳は以前と同じように輝きを失い濁った瞳をしていた。
そんな中口を開いたのはディオールだった。
「さて、ロゼリア。どうやらやっと自分のすべきことが分かったようだな」
「はい。お祖父様」
「そうか。ではお前がこれからやるべきことを言いなさい」
「はい。私はこれから殿下に婚約破棄を取り止めていただくために殿下にお願いいたします」
「そうだ。しっかり分かっているようだ。ではロゼリア今から王宮へ向かえ。お前が婚約破棄されてから1ヵ月半が経った。既に学園は長期休みとなっている。そのため、殿下はこの時間でも王宮にいるだろう」
「畏まりました」
「それとどうやら例の平民の娘も王宮に滞在しているらしい。どちらが殿下の婚約者であるか、知らしめて来るがよい」
「畏まりました。お祖父様。では行って参ります」
ディオールと会話を交わし、王宮へ向かうこととなったロゼリアは祖父と両親に一礼をし、書斎から下がる。
残った人々はそれに目もくれず話し出す。
「いよいよですわね」
「ああ、やっとだ。やっとあの時の無念が晴らせる」
「そうですわ。やっとあの方々の仇が取れますわ」
「ああ、我らが愛しき家族らの仇が取れる。その為には早く王家に取り入らなければ」
「お前たち焦るでない。焦らずとも復讐の時は近い」
「それもそうですね。父上」
「我らの大切な宝を奪った奴らに必ずや復讐をする」
「その為にはロゼリアに働いて貰わなければですね」
「ああ、あの二人の色も姿も受け継いだあの子が我らの復讐の女神となるのだ」
彼らは復讐に燃えていた。
大切な宝を奪われた彼らは復讐に燃えていた。
そしてそんな彼らの復讐のために舞台へと引き上げられた少女。
何も知らず引き上げられた少女は必死にもがくもその執念に勝てず、彼らの駒となり、復讐の女神として舞台の真ん中に立つ。
やがて舞台は幕を開ける。
復讐という名の舞台は上がる。
ユーリ視点を書く予定でしたがそのまま進むことにしました。
ロゼリア視点ではなく、あえていうなら三者視点です。
次回あたりから殿下やミーアが再び登場する予定です。
ユキノとユキヤの瞳の色を少し変えました。
ユキノ:青よりの色→海の色のような青でグラデーションとなっている
ユキヤ:水色よりの色→空色のような青でグラデーションしているにしました。
お読みいただきありがとうございました。