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アズライル大陸史  作者: 胡麻十朗
第三話 刀使いの天使
9/9

後編(2014年 1月10日 改) 

【1】


「報告は耳にしているけど、あの蜥蜴人の王をよくたおせたものだね」


 患者の体調を心配する医師をなんとか説得し、外出の許可を得た後、教主はフツと連れ立って目的地に向かっていた。患者に徒歩による負担はかけないと医師に説明したとおり、舗装された王都内の道を馬車に乗って進んでいる。揺れが傷に響くのか、ときおりフツは表情を歪めているが、不満を口にすることはなかった。


「……あれの厄介なところは、皮膚の硬さに尽きる。斬れないのはあたしの腕が悪いからだ。……まあ、一晩もあれを相手に刀を振り続けたんだ。それだけ時間を掛ければ、斬れないものを斬るためのコツを掴めもするさ」


「そう、簡単に言うけどね……」


 教主はなにか言いたそうに言葉を切ると、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。フツの言葉は凡人を理解できない天才の感性そのものである。彼女は当たり前の顔をしているが、たった一晩の実戦でその境地に至れる人間がどれだけいるだろう。だが、その稀有な才能もいまはうしなわれてしまったのだ。

 フツが全身に負った怪我で、完全に治る見込みがないと医師に判断されたのは、骨折した左腕と右足だった。巻かれている包帯がとれたとしても、どちらにも不自由が残ると診断されており、戦場に出るなどとは考えられる状態にはない。その他の傷は時間を費やせば癒えるのだが、いま現在は治りきってはおらず、痛み止めの薬を飲んで誤魔化している。

 本来は病室で安静にしていなければならないのだが、フツは一日中部屋にいては息が詰まるといった理由で、看護師や医師の目を盗んでは病院の敷地内にある中庭に出ていた。薬がきいている間は感覚が鈍くなることと痛みに慣れている悪癖からか、目覚めているときには痛み止めの服用を拒み、体を休める際に睡眠を妨げない程度の量を飲むようにしていた。従って、本日昼寝をする直前に飲んだ薬の効果はきれており、馬車の揺れもあってこの場にいる彼女は激痛に苛まれている。しかし、弱みを見せることを嫌っているのか、表情や態度に出さないため、周りの人間はそこまで彼女が苦しんでいるとは察してはいないようだった。


「魔物、か。……奴らの大陸での出現時期がおよそ三百年前だといわれているのを、きみは知っているかな?」


「いやっ……」


 常人であればどんなに我慢しようとも脂汗が滲んでしまうほどの痛みである。信じ難いことに、フツは体温の上昇にともなう発汗量さえも制御していた。ただ、喋りながらおこなおうとすると難易度があがり、声が上擦うわずる場合があった。その度に送られているいぶかしげな視線は感じているはずだが、彼女は気付かないふりを続けていた。


「天使教にはおよそ三百年前、文字通りに空が割れ、そこから魔物どもが降りてきたと伝わっている。当時の各国は戦争をしていたんだけど、唐突に出現した脅威にそれどころではなくなった。自国の軍隊の力を信じて強気でいた国家は根こそぎ滅ぼされてしまうし、当時は大混乱だったらしい。けれど、私たち教団は少なくとも表面上は落ち着いていた。というのも、あらかじめ、いずれ魔物が大陸に襲来するだろうことは八百年前に降臨し、その百年後に天界にお戻りになった天使さまによって予知されていたからだ。その後の行動も当然、予定されていたんだ」


 四角く切り取られた窓の後方に王都の街並みが流れていく。

 痛み以外の要因で、フツは眉根を寄せていた。言葉にこそしないが、胡散臭うさんくさい話だと感じているようだった。


「きみは純粋な天使教の信徒ではないからね。当時のことは知るよしもないだろうし、荒唐無稽こうとうむけいな話だと感じるというのは理解できるよ。歴史の捏造ねつぞうを疑われるのも……教主の立場としては納得はできないけど、仕方がない面はある。ただね、天使さまがいたことは事実なんだ。証拠となる品物もある。きみを連れてきたのは、それを見てもらいたいからでね」


 純粋派とは、幼い頃より天使教の教義をしっかりと教え込まれ、敬虔けいけんな信徒として育て上げられた者たちのことである。教主の息子や娘がそうであり、親を亡くして教団に引き取られた孤児で教育を受けた者たちもいた。


「なんで、あたしに……?」


 当然の疑問をフツは抱いたが、教主は「見てもらえればいいんだ」と言って取り合わなかった。


【2】


 王都内にある天使教の教主が所有する屋敷が目的の場所だった。教主が寝泊りするところでもあり、あるじが不在の間も、十使徒には及ばないが選りすぐりの戦士たちが護りを固めている。出入り口にあたる門の両脇にいたふたりの戦士は、屋敷の玄関前にとまった馬車の様子を遠目に眺めていたが、教主に続いてフツがおりてきたのを見て、目をみはっていた。教主の外出の用件など、詳しい事情を説明されていなかったのである。

 足に不自由のあるフツは、教主の手を借りてようやく歩けている状態だった。待ち構えていた侍女のひとりが「彼女に手を貸してやってくれるかな」と柔らかい物腰で主に命じられ、ぴったりと怪我人に寄り添って姿勢を安定させる。年配の執事が「杖もあった方がよろしいでしょう。持ってこさせます」と断りを入れ、フツに肩を貸している者とは別の侍女に指示を出した。

 フツとの間にやや身長差があるために、侍女は腰をかがめることを強いられていた。つらい姿勢にも関わらず、客人の心配を優先して「申し訳ありません。歩き難くはございませんか?」と尋ねている。痛みに耐えられはしても、障害のある体に無理をさせるには限度がある。申し訳ないのはあたしの方だ、と言いたげな顔で、フツは「平気だ、ありがとう」と答えを返していた。

 建物に入ってすぐにある応接室にフツは通された。柔らかな長椅子に腰を落ち着け、馬車の揺れによる痛覚の刺激からも解放されて人心地ひとごこちがつく。そのテーブルを挟んだ反対側の長椅子に教主が腰をおろした。


「では、お茶の用意をしてまいります」


 侍女は礼儀正しく頭をさげて部屋から出ていった。執事やその他の侍女たちも席をはずすように言われたため、この場にはフツと教主以外には誰もいない。心情的なものかどうなのか、教主はフツと内密の話をするつもりのようだった。


「きみを客人としてこの家に招くのは初めてだったかな。どうだい、感想は?」


 とりあえずの様子見である。過度に高級な芸術品などが飾られているわけでもなく、金持ちの住む屋敷としては趣味が悪いということはなかったが、一般人としての暮らしを送ってきたフツにはなおも感性が合わないのか、彼女は感激した風ではなかった。


「丁寧に相手をしてくれた侍女さんには悪いが、息が詰まる感じがあるな。教主の連れてきた客に対して馴れ馴れしくもできねぇんだろうけど……もうちょっと楽にしてもらった方が気分がいいよ。あたしはな」


 自己評価が低い傾向にあるのだろうか。暗に「お客さん扱いするな」とフツは言っていたが、教主は「なるほどね」と言ったきり確約はしなかった。


「で? あたしに見せたいものってのはなんだ? 執事さんが持って来てくれるのか?」


 フツのその態度にはさっさと本題に入ってほしいといった思惑が見え隠れしていたが、教主は素知らぬふりをして話を続けた。


「そうするわけにもいかなくてね。……いま、侍女にお茶の準備をさせている。ここまでの移動で疲れただろうし、まずはそれを飲んでゆっくりしてくれるかな」


 フツは眉をしかめた。長居をしたくないと感じているのは明らかだったが、教主には彼女の話を聞くだけで、そのとおりにしてやろうという考えがない。言っても無駄だと悟ったのかもしれなかった。

 数分後、廊下側からの応接室の扉をたたく音の後、「失礼します。お茶と杖をお持ちしました」と男性の声がかかった。教主が「入ってくれ」とすぐに許可を出すと、杖を手にした執事とお茶を運んできた侍女が扉を開けて現れた。


「ご苦労さま。杖を、彼女に」


 執事はうやうやしく頭をさげ、フツにそれを差し出した。木製のぐに伸びた杖である。みごとな艶があり、安物ではなさそうだった。職人にあつらえさせたのか、立ったときの彼女の身長にちょうどいい長さだ。

 もう一度頭をさげると、執事はお茶と茶菓子をテーブルの上に並べ終えた侍女とともに、部屋を退出していった。


「どうぞ。あんまり、お茶をたしなむ戦士もいないけどね。私も、教主の地位にいてから覚えたんだ」


 独特の香りの漂う薄茶色の透明な液体を、教主は目を細めて味わう。一口のみフツも付き合ったが、味と香りに感銘を受けた風ではなかった。


「蜥蜴人だけど、あれは下位に分類される魔物だ。奴らの王にしても、中位の域は出ない。竜などの上位の魔物は特徴は知っている?」


「……中位までの魔物以上の不死性と、魔法を使うことだろ」


 やや間を置いてだが、さすがに戦いに関する知識の収集は怠っていないのか、フツは急に振られた話題にも付いていった。

 寿命による死が確認されず、竜は人間の振るう武器では傷一つつかない強靭な鱗を、吸血鬼は手足をもぎとられ、頭を潰されたとしても数瞬のうちに元通りになる再生能力を備えるというのが、不死性と表現される部分である。また、竜であれば耳をつんざく咆哮をともなって山をも吹き飛ばす規模の放電現象を引き起こし、吸血鬼であれば天にも届くような規模の竜巻現象を自在に操る。それらが魔法だった。


「間違ってはいないけど、他にも特徴はある。彼らには一説によると人間以上かもしれないほどの知恵があるんだ。それと、理性もね。中位までの魔物と違って、彼らは理由もなしに人間に襲いかかったりはしない。私たちは彼らを魔物と呼んで中位も上位も関係なしにひとくくりにしているけど、異なる種類の生物だと考えてもいいくらいに違っているんだよ」


【3】


 雑談をまじえながらお茶を飲み終えた後、フツは教主の案内で屋敷の奥にある書斎に連れて来られていた。書棚を動かした先に地下へ続く隠し通路があり、フツに見せたい品物はその先にあるとのことだった。

 教主はここに来る途中で、書斎には誰も立ち入らないよう、彼にしては強めの口調で執事に命令をくだしていた。隠し通路に関しては屋敷の者たちにも秘密にしているらしく、もちろん教団の崇める天使の実在の証拠となる何かのことを彼らが知っているはずもない。それをフツに見せなければならない理由は説明されていなかった。


「足元が暗いから気をつけて」


 地下の入り口付近に常備されていた火のついた蝋燭を手に、教主が先導する。万が一、フツが階段を踏み外した際に対応するべく注意しているのか、歩く速度はゆっくりである。

 前に歩を進めながら、教主は口を開いた。


「申し訳ないけど、ここまで来たらもう逃げられないよ。この先には悪魔がいるんだ。そして、この地下世界を悪魔は支配している。まあ、地下世界なんていうほど、広々とはしていないけどね」


「悪魔って……いったい、なんの比喩だ?」


 もともと聞かされていた話と食い違っている。得られた情報を自分なりに解釈したフツが問いただすと、教主は背を向けたまま「そういうことじゃないんだ」と彼女の考えを否定した。


「神の眷属たる精霊のことは知っているかな。悪魔も精霊も天使さまも、本質的には同じものだと主張している宗教もあるみたいだけど、うちではそれぞれ別のものだと考えられている。精霊は人に憑き、悪魔は物質に憑く。天使さまは……はっきりとはわかっていない。でも、神に次ぐ偉大な存在だと認識していい」


 地下通路の突き当りで教主は足を止めた。鉄製の扉を明かりで照らし、「着いたよ。鍵はかかっていない。開けてみて」とフツの行動をうながす。躊躇っている雰囲気はあったが、やがて観念したらしく、彼女は軋む音を立てて扉を開けた。

 その先に広がっていたのは異様な光景だった。薄く発光する紫色のもやのようなものが全体に立ち込め、視界の自由を阻害している。ときおり夜空に浮かぶ月が雲間くもまから顔を覗かせるように、奥に祭壇と思われるものが見え隠れしていた。

 禍々(まがまが)しい気配に呼吸をすることすらはばかられたのか、フツは口許をおさえ後ずさろうとするが、背後に立ち塞がる教主がそれを許さない。覚悟を決めた彼女が一歩を踏み出すと、がしゃんと音を響かせて鉄製の扉が閉じられてしまった。

 閉じ込められたと悟ったフツは素早く室内に背を向けたが、施錠されているのか、扉はどれだけ押しても開く様子はない。そのとき、『無駄だ』と低い男性の声が響き渡った。これまでにない反応の鋭さで、警戒心も露わに彼女は体を半回転させる。

 フツの視線の先で徐々(じょじょ)に靄が晴れていき、姿を現した祭壇の上には、縦横にめぐる血管に似たものが表面で脈打つ奇妙な刀が置かれていた。やはり薄く発光しており恐ろしげな雰囲気があるが、フツに見せたいと教主が語っていたのはこれなのだろうか。彼女はごくりと喉を鳴らし、しっかりとした足取りで祭壇の前に移動すると、慎重に刀に伸ばした。重力に引き寄せられるまま倒れた杖が床を転がるが、片足に不自由があっても、ただ立っている分には問題がない。


「お前か。話しかけてきやがったのは」


『いかにも。候補者どの』


 無機物が意思を持ち喋るなど夢を疑ってもおかしくない出来事だが、確信めいた喧嘩腰のフツの問いかけに、再び男の声が返った。


「候補者?」


 男の声はフツの頭の中に直接、空気の振動を介さずに届けられていた。しかし、当然のごとくフツの言葉は肉声である。部屋の外側で鉄製の扉にもたれかかり、両腕を組んで瞑目していた教主は、僅かに首を傾けてなりゆきに聞き耳を立てた。


『かつて、貴様ら教団が崇めるところの天使に、我は絶対の忠誠を誓っていた。あるじはこの世界に来ておよそ百年後に命を落とされたが、その魂は輪廻し、今度は人間としてお生まれになると生前に予言を残しておられたのだ。ただ、残念ではあるが生まれ変わりを果たされた際には、前世の記憶は全てうしなわれる。そのため、記憶の有無は判断材料にはならぬが、歴戦の勇士であった主だ。生まれ変わったとしても、優れた戦士たる素質はなくならぬはず。候補者とは、その可能性を見出された者たちのことだ。貴様で七人目になるな』


 言っていることが正しいとすれば、この刀は歴史の生き証人である。もっと驚いてもよさそうなものだが、フツは平然としており威圧的な語り口にも怯んだりはしなかった。


「興味がねぇな。そんなことより、あたしをこの部屋に閉じ込めたのはお前なのか? 教主はお前のことを悪魔だとか言っていたが、どうでもいい。さっさとあたしをこの部屋から出せ。いますぐにだ」


 天使の相棒であった刀に対して、敬意も糞もない態度である。だが、刀は「フフフ」と怒るどころか楽しげに笑ってみせた。


『我に対して、こうも傍若無人ぼうじゃくぶじんな口をきく者は珍しい。不敬かもしれぬが、なんじは我が主と似た気性の持ち主のようだ。魔のりつく刀としての気配は察しているだろうにな。……さて、出してやりたいのはやまやまだが、その前に試させてはくれぬか。なに、さしたる手間ではない。我を鞘から抜いてくれるだけでいいのだ。とはいえ、無理はせぬようにな。この鞘は我の発する妖気を封じる結界でもある。耐性のない者が長時間、妖気に晒されておると気が触れるかもしれぬのでな。怪我にもさわる』


 刀にはぎょろりとした目があるわけではないのだが、どういった感覚器官でか、フツの体の不調を見抜いているらしい。


「……抜けば、帰してくれるんだろうな」


 発狂する可能性を忠告されては考えなしではいられないのか、フツが確認をとると「約束しよう」と刀は請け負った。

 それ以上、フツは躊躇わなかった。骨折した腕を固定する包帯を歯で噛みちぎると、ぶるぶると痙攣する左手で鞘を掴み、何十年ぶりになるのだろう、妖しく紫に輝く刀身を引き抜く。途端、視界を遮るほどの濃い紫の煙が辺りに充満し、フツの肺の中までも満たした。部屋の外では扉の隙間から噴出した妖気の影響を受けた教主が体調を損ない、たまらず距離をとっていた。

 数分後、「もうよい」との試験の終わりを告げる言葉を聞き、フツは呪われた刀身を鞘に納めた。すると、紫の靄が鞘に吸い込まれていき、背後でひとりでに扉が開いた。室内では伸ばした手の先も見えないほどの濃度の靄が発生していたが、未だに涙目で咳き込んでいる教主とは違って、負担のかかった左腕がだらりと垂れさがっている以外、フツはなんら体に変調をきたしてはいないようだった。


『七百年ぶりになりましょうか。無礼な態度をとってしまい、申し開きのしようもございませぬ。遅ればせながら、今生こんじょうの主の名をお聞かせ願いたい』


 濃い妖気を浴びてなお、平然としていたのが決め手となったらしく、急にへりくだった刀の態度が気に障ったのか、フツは眉を潜めて不満を口にした。


「ひとに名を尋ねるときは、まず自分が名乗れ。それと、あたしが天使とやらの生まれ変わりだったとしても、お前の主になってやる気はねぇぞ」


『これは失礼いたした。我が名は妖刀ミナツミにございまする。して、主の名は?』


 話を聞いているのかいないのか、フツを主と呼んで譲ろうとしないミナツミにあきれ返ったように溜め息を吐くと、素っ気なく「フツだ。忘れていい」と彼女は答え、祭壇に刀を戻そうとしたが、問題が発生した。


「!? お前……!」


 刀を祭壇に置いたはいいものの、柄を握り締める指の自由がきかないらしい。「なんのことですかな?」とミナツミは飄々(ひょうひょう)としているが、とぼけているのは明らかだった。

 苦々しげにフツは舌打ちをすると、足元に転がる貰いものの杖を見詰める。回収しようにも、骨折していない右手が塞がっているのではどうにもならず、諦めて部屋を後にした。異様な刀を杖代わりにしながらの地下道の途中で、壁際に座り込んで体調を整えていた教主の腹部を無事な方の足で踏みつけ、わざとらしく「悪い。暗くて目に入らなかった」と謝罪すると、明るい光が差し込む階段を上っていく。ぐげ、と踏まれた際に蛙じみた悲鳴を漏らした教主は怒るでもなく、口許を綻ばせて上機嫌そうだった。


「まさか、私の代で天使さまを見つけられるとはね」


 満面の笑みで、教主は体を横たえる。妖気の影響が残っており、動けるようになるにはまだ時間が必要な様子である。


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