僕の学校での生活を
親子との生活は思ったよりも普通だ。
ただ僕の住む場所に二人増えただけ。
――――――
そして僕には高校生なのだ。
今まであんまり説明してなかったかもしれないが、僕は喜舎場学園高等学校に通う高校二年生だ。
喜舎場学園高等学校は所謂、進学校を謳っている高校である。
この高校の一番の特徴としてはクラスは学力によって大きく分けられるところだろう。
一年生の頃は学力ではなく、適当にクラス分けがされているが、二年生になった途端、一年の最後で行う学校内テストの成績でクラスが分けられるのだ。
Aクラスが一番頭が良く、Fクラスが一番頭が悪いと言われる。
正直この制度は差別などが助長されるため、あんまり良い制度とは言えないが、生徒は一つでも上のクラスに上がりたいと思うらしく、平均的な学力は向上していると言われている。
そんな高校に通っている間、二人には家で好きなことをしててもらう。別に外出したければしていい。鍵だけちゃんと閉めてくれれば。
――――――
そして、いつものように学校に登校すると、毎度のことながら「西寺くん、おはようございます」や『西寺さん、本日もご指導ご鞭撻の程、よろしくお願いいたします』などと周りの生徒から言われるのだ。
「ご指導、ご鞭撻って僕は先生じゃないんだけど」
僕は二年Aクラスに在籍していて、一応学年順位では一位を取らせてもらっている。
この学校では成績が良いことが全てと言われる。僕としては別に成績がただ良いわけだと思っているけど、周りはそうではないようで、僕を目上の人間のように接してくる。
同級生なのに。
それはクラスメイトですらも同じだ。
クラスは成績によって分けられているため、少なくと僕とクラスメイトの成績は他のクラスの生徒と比べて近い。
それなのに――――
「西寺くん、何か買ってこようか?」
「お時間があれば、本日の放課後に勉強会を開きたいと考えているんですが、西寺さんはご参加してくださいますでしょうか?」
同級生の間で繰り広げられる会話ではない。
そして周りの同級生がこんな風になっているのは成績だけじゃなくて、僕の両親に関係しているのだ。
これは物心付いたからずっとそうだ。
僕の両親は政治家をしているのだ。二人共、それなりに有名で影響力のある人間だ。そんな人間の子供となれば、周りが僕に対して遠慮するのも分かるのだ。
小学校の頃はなんでだろうと思ったこともあったけど、もうさすがに慣れた。
そしてそんな僕に友人と呼べる人物は少ないが、存在する。
「朝から王様気取りかしら?」
聞き覚えのある声に反応して振り返ると、よく人物がいた。
「市川さん、おはよう」
「王様には、おはようございます、と言った方がいいかしら」
「あんまり揶揄わないでよ」
「あんたって揶揄うと反応してくれるから面白いのよ」
彼女の名前は市川光子。黒髪ロングの人気者。どうやら学校内にファンクラブがあるって話も聞くぐらいに彼女は人気だ。
僕と市川さんが最初に出会ったのは中学生の頃だ。
その頃から今みたいに接してくれる、珍しい人だ。僕としてはこれだけフレンドリーに絡んでくれる人は滅多にいないので、貴重だ。
「それにしても本当にあんたって…人気者よね」
「揶揄わないでって…ただ両親の影響でこうなっちゃっているだけなんだよ。僕自身はそんなに大した人間でもないのに」
僕がそう言うと、市川さんはなぜかため息を付く。
「はぁ…あんたって本当に自己分析が出来ていないわね」
「…?」
「そのキョトンとした顔が全てを物語っているわね。本当にあなたはずっと変わらない」
「…そんなに僕って変わってませんか?」
「変わらないわ。でも、それでいいのかもね。あんたが逆に鈍感な人間でなかったら、あんたじゃないかもしれない」
「僕は別に鈍感ではないですよ」
「そう、あんたがそう思っているならそれでいいんじゃないかしら」
すると、市川さんはそれだけ言い終わると、自分の机に行ってしまった。
これが僕の学校での日常。




