表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私が騎士団の司令官ってなんですか!? ~聖女じゃなかった私は得意の料理で騎士たちの心を掴んだら食堂の聖女様と呼ばれていた~  作者: 堂道廻
第二章【招集】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/59

28 出会って五秒で死亡

 覚悟を決めた私は薄暗い階段をぐるぐる回りながら降りていく。その先は再び何もない部屋だった。けれど広さが違う。上の階よりも狭く、半分ほどの広さで壁の中央に分厚い鋼鉄製の扉があった。


 扉には円を重ねた手裏剣のような奇妙なマークと、『アルゼリオン王国騎士団・戦術騎士隊アルタイル』の文字。


「このマーク、どこかで見たことがあるな……」


 扉にはドアノブがなく、指紋を読み取るルーンが刻まれている。昇降機と同じ要領で開錠すると、バシュッという駆動音とともに鋼鉄の扉が開いた。


 眩い光に思わず私は目を細めた。


「うわ……」


 街だ。石畳の街道に住家や店舗、入り組んだ隘路にテントが並ぶマーケット、王都市街地の景色が広がっていた。

 しかしよく見ると、すべて簡易的な造り物だ。そこは体育館ほどの空間に造られた架空の街なのだと気付く。高い天井から太陽の代わりに巨大なクリスタルの光が煌々と降り注ぎ、壁にもリアルな街の風景が描かれていた。


「すごい……。大聖堂の地下にこんな空間があったなんて……」


 ――ヒュンッ!


「ひっ!? な……なに?」


 弓から放たれた矢が風を切るような音が木霊した。

 おっかなびっくり周囲をうかがう私の後頭部に、コツンと硬い何かが押し付けられた。


「ひぃっ!」


 恐る恐る最小限の動きで首だけを回して振り返ると、フルフェイヘルメットみたいな兜で顔を覆った黒ずくめの騎士が横に立っていた。男の手にはロングソード、その切っ先が眼前に突き付けられている。


「振り返らず前を見ろ、質問に答えろ」


 低い男の声。首を戻して前を向いた私はこくこくと小刻みに首を縦に振る。


「お前は誰だ?」

「し、白城千鳥と申します!」


「……なに?」


「ごめんなさい! 勝手に入ってごめんなさい! でもお邪魔しますって言いました!」


 ヒュンと再び風切り音が鳴り響き、矢が近くの樽に突き刺さる。


「ひぃぃっ!?」

「一緒に来い!」


 騎士は私の両足をすくい上げるようにして、私を軽々と抱き上げた。そのままお姫様抱っこで走り出す。

 建物の物陰まで走って移動した騎士は、そこで私を降ろした。即座に剣を抜いて手に取った彼の姿を、改めて視界に捉える。


 それは黒ずくめのよろい――そう表現するよりは、どちらかと言えばプロテクターだ。


 全身を甲冑で覆うのではなく、ヘルメットにボディアーマーと動きやすさを重視した肘当てや膝当て。主要機関の保護と機動性を優先した装備は、ゲームやアニメで観たことがある特殊部隊SWATに近い。


「フェル、民間人が紛れ込んでいるぞ! 攻撃をやめろ!」

 

 黒ずくめの男が虚空に向かって声を上げた。


「またまた~、冗談言わないでくださいッスよ。民間人がこんなところにいる訳ないでしょ? 自分が負けそうだからって言い訳しちゃってやだなぁ」と別の声が空に木霊した。


「あの馬鹿が……。おい、俺から離れるなよ」


 彼はぐっと私の肩を抱いて引き寄せた。力強い腕と男らしいセリフに思わず鼓動が高鳴る。

 顔は見えないけど、ちょっとクール系で良い声している。あれ? でもこの声、どこかで聞いたことがある??


 そのとき、私の目の前を小さな筒がコロコロと転がってきた。直後、プシューと音を立て筒から白煙が噴出し、瞬く間に視界を白く染めていく。


 ヒュンッ!


 再び風切り音が木霊した。


「ひぃ!」


 私は反射的に背中を丸めて亀のように縮こまる。

 白煙が霧散していき、徐々に視界を取り戻した私の前に黒ずくめの騎士が仰向けに倒れていた。


「え……」


 男の胸のど真ん中に矢が刺さっている。


 ……これって、まさか死??






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ