27 潜入! アルタイル基地!
案内されたのは、大聖堂の地下のさらに奥深くだった。有無も言わさず乗せられた魔導昇降機は地下三階を通り過ぎ、さらに潜っている。階数が表示されなくなった時点で、私の不安は急上昇だ。
このまま拉致されてしまうのではと思ったそのとき、昇降機は停止した。だが、ジャバラの扉が開かない。
まさか故障!?
私は焦った。こんな密室でクレーマーと一緒は嫌だ!!
「ここから先のドアはすべて指紋認証が必要となっています。登録は済んでいますので、右端に刻まれたルーンを見ながら五指を押し当ててください」
いつの間にか私の個人情報は採取されていたらしい。
これが国家のやることなのか、とクレーマーを問い詰めてもきっと無駄だろう。
それにしてもこれも魔術? 私が暮らしていた世界と技術レベルがほとんど変わらないじゃん。前から思っていたけど、電話もテレビもないのにエレベーターだったり指紋認証だったり、変なところでハイテクなんだよな、この世界って……。
私は言われるがまま、階層ボタンの上にあるルーン文字に指を押し当てる。すると昇降機の扉が開いた。
「どうぞ中へお入りください」
そう促すだけで補佐官は進もうとしない。
「あれ? 一緒に来てくれないんですか?」
彼は私の問いにモノクルに触れて答える。
「残念ながら私は暇ではありません。次の業務がありますので、ここで失礼します。隊長には話を通してありますので、後のことは中の者に聞いてください」
「そ、そんな……」
「それから私がこれまで話したこと、これからこの中で見聞きしたことは誰にも口外しないように。もし情報を漏らせば社会的に存在を消される可能性があります」
「うそ……」
「はい、ただのノーブルジョークです。現在はまだ非公開の部隊というだけで、そこまでの秘匿性はありません」
うわ、つまんねぇ……。絶対モテないだろこの人。
「ですが、あなたがハイノーブルでないことは絶対に誰にもバレないようにしてください。万が一バレれようものなら、復職した後の待遇もなかったことになりますので」
「は、はい……」
結局、脅されたし……。
「詳細はこちらのマニュアルを読んで確認ください。あなたの部下になる者たちの個人情報も記載されています。それでは失礼します」
クレーマーから分厚くまとめられた資料を受け取ると、彼を乗せた昇降機は私を残して上階へと昇っていった。
そこには何もない空間が広がっていた。
太陽の代わりにクリスタル灯が辺りを照らす。壁紙もない、石造りの殺風景な部屋の広さは一般的な教室ほど。机も椅子も棚もなく、ガランとしている。
恐る恐る、キョロキョロしながら少し進んでみる。
「お邪魔しまーす……」
返事はない。自分の声が虚しく木霊した。
どうやら誰もいないようだ。まあ、一目見て分かるけれど。
てゆうか、なんだかゲームみたいな設定だな。実はここは私が知らないだけで、なにかのゲームの世界だったりするのかな?
じゃあ、ここから本当の意味で私の物語が始まっちゃう? なんてね……、もう召喚された〇〇設定はこりごりですわよ。
周囲を見回すと右端に螺旋階段があった。これで下の階に降りられるようだ。ここにいてもラチがあかないし、ここまで来たらもう進めるところまで進むしかない。




