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私が騎士団の司令官ってなんですか!? ~聖女じゃなかった私は得意の料理で騎士たちの心を掴んだら食堂の聖女様と呼ばれていた~  作者: 堂道廻
第二章【招集】

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24 ごきげんようといえる立場に

「はあ……、キャリアアップですか?」


 どういう意味だろう? 国家資格の宮廷調理師の試験を受けろということなのか? 噂では毎年ひとりの合格者も出ないことがザラにある狭き門だと聞いたことがある。確かに国家資格を取れば、給料も立場も大幅にアップする。引退して自分のお店を出したときも〝箔〟が付く。けど、普通に生活するなら今の待遇でも十分だ。


「急な話で戸惑うかもしれないが、実は試験運用中の部署がありましてね。あなたには軌道に乗るまでの間、そこで責任者として働いてもらいたいと思っています」


「責任者? えっ!? ってことはチーフですか!? でもチーフって言わば管理職ですよね? 爵位を持った貴族様が務めるものじゃないんですか??」


 これは最近知ったことなのだが、レオンハルトも準男爵の爵位を持っている。準男爵は国に貢献した者に与えられる一代限りの名誉貴族だけど、貴族は貴族だ。


「うん、だから在任中に限り爵位を授けます」


「爵位!? 私にですか!」


「そう、ちなみに伯爵」


「伯爵!?」


「在任中限定ですが、その期間は貴族ですので特権が与えられ、あらゆる待遇が受けられます」


「貴族と同じ特権!?」


「もちろん給与の方も、貴族としての報酬が得られます」


 すごい……、それなら一度は行ってみたいと思っていたライブに行ける!? しかも貴族なら平民が入れないようなVIP席で観賞できる! ちなみに、この世界のライブとは歌劇のことである。娯楽が少ないこの世界で歌劇は、人気が高くチケットも高額で、今までとても手が出せなかった。


「そこでの務めを終えた後は、元の職場に戻れることを保証します。しかも成功報酬として、お給料は現在の二倍にすることを約束しましょう」


「同じ仕事で給料が倍ですか!?」


 仕事内容は変わらず給料が倍にアップする――でも、こんなうまい話が湧いて出るのは不自然だ。当然、裏があるのだろう……。


「なんで、私なんですか……」


「働きぶりが非常に真面目だと報告を受けています。無断欠勤も遅刻も一度もない」


 私は思った。


 ――そんな人いくらでもいるんじゃね? それとも無遅刻無欠勤がレアなほど王宮はやばいのか?


「すぐには決められないと思います。なので来週の金曜日までに返事をもらえるとありがたい。なにか質問はありますか?」


 いやいや、質問って肝心な部分がすっぽり抜けているでしょ。やっぱりこの辺がオブラートに包みたい部分なのだろうか?

 

「あのー、ところで一体なにをやる部署なんですか? 新しい食堂でしょうか?」


「それは彼から聞いてください。しかしながら内容は、仕事を引き受けた後でしか教えられません」


「いや、さすがにそれではなんとも……」


 返事のしようがない。

 当惑する私に宰相は微笑んだ。


「心配はありませんよ。名目上、責任者が必要なだけで、やることはほとんどありません。毎日ちゃんと出勤して定時までいてくれれば大丈夫ですから」


 そんなうまい話があるのだろうか……。しかしながら、たぶんこれ以上質問しても何も教えてくれないだろう。


「……分かりました。少し考えさせてください」


 私がそう答えると、宰相は「いい返事を待っています。それからここでの話は決して口外してはいけませんよ」と釘を刺して立ち上がり、クレーマー補佐官のディビットを引き連れて退室した。




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