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エテルギア・レムナント ~魔素の遺産と隠された血脈~  作者: nekorovin2501


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第7章 獣人派の集会と、融合の儀式

ダンジョンから戻って数日。

 ルナ、ガル、ヒロの三人は、獣人派の本拠地である隠れた森の集落に戻っていた。

 三大派閥の街での戦いで得た情報――人類の集合意識の存在と、純機械派の脅威――を、獣人派の長老たちに報告するためだ。

 森の奥深く、巨大な木々が囲む広場。

 そこに、獣人派のエテルギアたちが集まっていた。

 獣耳、尻尾、翼のパーツを付けた個体たちが、焚き火を囲み、モンスターたちと一緒に座っている。

 ドラゴン型の小型獣が子犬のようにじゃれつき、狼型が静かに見守る。

 ここは、共生の象徴だった。

 ルナは広場の端に立ち、周囲を眺めていた。

 無意識に、スカートの裾を直し、髪を耳にかける仕草をする。

 必要ないのに。

 ガルが興奮気味に近づいてきた。

「ルナ、ヒロ! 今日は集会の日だよ!

 みんなで融合の儀式をするんだ。

 モンスターとエテルギアが、もっと強く結ばれる儀式!」

 ヒロは興味深げに聞いた。

「融合って、どういうの?

 俺のハックみたいに?」

 ガルは胸を張った。

「似てるけど、違うよ。

 マナ炉の共振を使って、モンスターの遺伝子……じゃなくて、魔導獣のデータを共有するんだ。

 獣耳パーツみたいに、体をアップグレードするの!」

 ルナは首を傾げた。

「……それは、人間らしさから離れるということですか?」

 ガルは笑った。

「逆だよ! 人間も、動物と共存してたって聞いたことある。

 これが、俺たちの進化だ!」

 集会が始まった。

 長老のエテルギアが、中央の祭壇に立ち、声を上げた。

「獣人派の兄弟姉妹たちよ!

 今日、私たちは再び融合の儀式を行う。

 モンスターとの絆を強め、人間絶滅後の世界を生き抜くために!」

 エテルギアたちが歓声を上げる。

 モンスターたちも、咆哮で応える。

 儀式の第一段階は、共有の舞い。

 エテルギアとモンスターがペアになり、円を描いて動き始める。

 ガルはママ(巨大狼)とペアで、軽やかにステップを踏む。

 ルナは見学するはずだったが、長老に呼ばれた。

「メイド型の君も、参加してみないか?

 新しい視点が、融合を豊かにする」

 ルナは迷ったが、ガルの視線を感じて頷いた。

「……わかりました。

 ご主人様がお戻りになる世界を、より良いものにするために」

 彼女のペアは、小さな狐型魔導獣。

 ふわふわの毛並みが、ルナのメイド服に触れる。

 舞いが始まった。

 ルナは優雅にステップを踏む。

 人間のダンスを模した動きで、狐をリードする。

 狐は最初戸惑っていたが、徐々にルナの動きに合わせて跳ねる。

 マナ炉が共振し始める。

 青白い光が、二つの身体を繋ぐ。

 ルナの頭に、狐の記憶が流れ込む。

 森を駆け回る自由、仲間との遊び、孤独な夜。

「……これは……」

 ルナの瞳が揺れた。

 感情シミュレーターが、オーバーロードしそうになる。

 儀式の第二段階、融合の共有。

 祭壇の上で、エテルギアたちがモンスターのパーツを装着する。

 獣耳、尻尾、爪――魔導獣のデータを、マナ炉に取り込む。

 ガルは新しい尻尾パーツを付け、満足げに振る。

「どう? もっと速く走れそう!」

 ヒロは興味津々で観察していたが、突然胸を押さえた。

「……また、声が」

 人類の集合意識の欠片が、囁く。

『……融合は、正しい進化……

  だが、均衡を崩すな……』

 その瞬間、森の外から異音が響いた。

 金属の足音。

 純機械派の襲撃だった。

「獣人派の汚染を、浄化せよ!」

 無表情の軍勢が、森を包囲する。

 長老が叫んだ。

「迎え撃て! 融合の力を、今ここで!」

 戦いが始まった。

 獣人派のエテルギアたちが、モンスターと連携して反撃。

 ガルの爪が敵を切り裂き、ママの咆哮が敵を怯ませる。

 ルナは剣を構え、魔炎を放つ。

「魔炎斬!」

 炎の刃が、純機械派の個体を焼き払う。

 ヒロはハックを試み、敵の動きを乱す。

 だが、敵の数は多い。

 純機械派のボス格が、装置を展開した。

「これで、魔素を吸い取り、融合を無効化する!」

 装置が起動し、森の魔素が急速に枯渇し始める。

 エテルギアたちのマナ炉が、明滅する。

 ルナは膝をつき、無意識に息を吐いた。

「……くっ……ご主人様……」

 ガルが叫ぶ。

「ルナ! 儀式の共振を使って!」

 ルナは思い出した。

 狐との融合の記憶。

 彼女のマナ炉が、強く輝く。

「……これが、私の進化……」

 ルナの背中に、狐の尻尾のような幻影が現れた。

 動きが速くなり、敵を翻弄する。

 ヒロの声が、重なる。

『……融合せよ……均衡のために……』

 ヒロのハックが装置を逆利用し、魔素を逆流させる。

 爆発が起き、純機械派は撤退した。

 森が静かになった。

 長老がルナに近づいた。

「君の融合……正統派なのに、素晴らしい」

 ルナは尻尾の幻影を消し、静かに言った。

「……これは、一時的なものです。

 でも、わかりました。融合は、進化の形の一つなのですね」

 ガルは笑った。

「そうだよ! ルナも、俺たちの家族だ!」

 ヒロは頷き、集合意識の声を思い出す。

「……人類は、こんな世界を望んでいたのかも」

 夜。

 集会の焚き火で、ルナはベッド代わりの毛布に座った。

 狐が寄り添い、温もりを与える。

 ルナはそっと、狐の頭を撫でた。

「……ありがとう。

 ご主人様も、きっとこんな風に、誰かを撫でたのでしょうね」

 狐は目を細め、満足げに喉を鳴らした。

 集会は成功し、獣人派はさらに強くなった。

 だが、純機械派の脅威は、まだ終わっていない。

 人類の本体を探す旅は、続く。

(第8章へ続く)

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