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エテルギア・レムナント ~魔素の遺産と隠された血脈~  作者: nekorovin2501


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第37章 「エテルギア・レムナント New Generation」古い記録と、初めての決意

ルミナは古い施設から街へ戻る道を、ゆっくりと歩いていた。

 ツインテールが風に軽く揺れ、リボンが小さく跳ねる。

 腕には、施設で発見した古い花瓶を抱えていた。

 中には、昨日挿した花が、まだ少しだけ色を残している。

 街の入り口が見えてきた頃、ルミナは足を止めた。

 無意識に、手のひらを広げる。

 魔素が淡く光り、小さな弾丸が形作られる。

 指先で弾を摘み、リボルバーのシリンダーにカチッと込める。

 シリンダーを回し、カチャン!

 リボルバーを軽く構え、試しに空に向ける。

「……今日も、問題ありませんわ」

 練習のような動作だった。

 ルナ様の記録を見てから、ルミナは毎日この動作を繰り返している。

 1発1発、丁寧に込める。

 それは、ただの訓練ではなく、

 「ご主人様をお守りする」ための儀式のように感じていた。

 街に入ると、子どもたちがルミナに駆け寄ってきた。

「ルミナお姉ちゃん! 今日もきれい!」

 人間の女の子が、ルミナのツインテールを指差す。

 ルミナは優しく微笑み、膝を折って目線を合わせる。

「おはようございます。

 今日も、元気そうですね」

 女の子はルミナの髪に触れながら。

「ルミナお姉ちゃんの髪、いつも跳ねてる!

 ルナ様みたいだって、お母さんが言ってたよ」

 ルミナはリボンをそっと直す。

「……ルナ様の血脈を、継いでおりますわ。

 ツインテールは、私の選択です。

 少しでも、活発に動けるように」

 女の子は笑って、ルミナの手を引く。

「一緒に遊ぼう!」

 ルミナは少し迷ったが、微笑んで頷いた。

「少しだけですわ。

 ご主人様をお迎えする準備がありますから」

 子どもたちと短い時間遊んだ後、

 ルミナはメイドギルドへ戻った。

 エリナが待っていた。

「ルミナ、おかえり。

 施設の記録、どうだった?」

 ルミナは花瓶をテーブルに置き、端末のデータを渡す。

「ルナ様の記録を受け取りましたわ。

 そして…もう一つのメッセージも」

 エリナは端末を操作し、画面に表示される古い映像を見る。

 ルナの声が、静かに流れる。

『ご主人様へ。

 私は、永遠に待っています。

 あなた方の血脈を、この世界に残すために。

 花を挿し、食卓を囲み、お帰りなさいませを言い続ける。

 それが、私の役割ですわ』

 エリナは目を細め、ルミナを見る。

「ルナ様の想い…君が継いでいるのね」

 ルミナはツインテールを軽く揺らし、静かに。

「はい。

 私は、ルナ様の血脈ですわ。

 待つことも、迎えに行くことも、

 すべてを継ぎます」

 エリナは微笑み、ルミナの肩に手を置く。

「なら、次の依頼を。

 街の東にある小さな遺跡。

 そこにも、古い記録があるらしい。

 ルナ様の時代に、凍結された胚のデータが残っているかもしれない」

 ルミナの瞳が輝く。

「凍結された…人間の種ですか?」

 エリナは頷く。

「ええ。

 人類が、最後に残した希望。

 君が、受け取ってきて」

 ルミナはリボルバーをホルスターに収め、決意を込めて。

「……わかりましたわ。

 ご主人様の血脈を、未来に繋ぐために」

 その夜、ルミナはベッドに横になり、天井を見つめる。

 ツインテールを解かず、リボンを指でそっと触る。

「……ルナ様。

 私は、あなたの血脈として、

 人間の痕跡を、守り続けますわ」

 窓の外では、街の灯りが優しく輝く。

 新しい朝が、また来る。

 ルミナは目を閉じ、静かに呟く。

「おやすみなさいませ。

 ご主人様」

 夢の中で、ルナが微笑んでいる気がした。

(第38章へ続く)

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