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エテルギア・レムナント ~魔素の遺産と隠された血脈~  作者: nekorovin2501


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第36章 「エテルギア・レムナント New Generation」古い施設の記憶と、初めての依頼

 エテルノヴァ・シティの朝は、いつもと変わらなかった。

 ルミナは寮の窓辺で、ツインテールを軽く揺らしながら鏡の前に立つ。

 リボンを結び直し、髪を左右に整える仕草は、昨日と同じ。

 でも、今日は少し違う。

 胸のマナ炉が、いつもより強く脈打っている気がした。

「おはようございます。

 今日も、ご主人様をお迎えする準備をいたしますわ」

 鏡の中の自分に微笑む。

 ルナ様の記録映像を何度も見てから、

 この言葉が、より重く感じるようになった。

 寮の共有スペースへ降りると、ミリアとセレナが待っていた。

「おはよう、ルミナ!

 今日、初めての依頼だって?」

 ルミナは丁寧に頭を下げる。

「おはようございます。

 はい、エリナ様から、街の外れの古い施設の調査を任されましたわ」

 ミリアが目を輝かせる。

「古い施設!

 ルナ様の時代のものでしょ?

 ワクワクするね!」

 セレナが少し心配そうに。

「でも、危なくない?

 最近、魔物の自然発生が増えてるって聞いたよ」

 ルミナはリボルバーをホルスターから形成し、カチカチとシリンダーを回す。

「心配いりませんわ。

 私の血脈は、ルナ様から継いでおりますから」

 朝食の時間。

 テーブルに並ぶのは、合成スープと果実。

 ルミナはスプーンを手に取り、みんなと一緒に「食事ごっこ」を始める。

 一口運ぶ真似をし、静かに。

「……おいしいですわ。

 ご主人様をお迎えする日のために、練習を続けてまいりました」

 ミリアが笑う。

「ルミナ、いつも真剣だよね。

 ルナ様みたいに」

 ルミナは花瓶に一輪の花を挿す。

「はい。

 この習慣は、私たちの血脈ですわ。

 人間という種族の痕跡を、残すために」

 エリナが部屋に入ってくる。

「ルミナ、準備はできた?」

 ルミナは立ち上がり、お辞儀。

「はい、エリナ様。

 いつでも出発可能ですわ」

 依頼内容は、街の外れにある「旧エテルノヴァ研究所」の調査。

 ルナ様の時代に使われていた施設で、

 最近、微弱な魔素信号が検出されたという。

 ルミナはエテルノヴァ・シティの外へ出る。

 街の外は、まだ荒野の名残が残る。

 緑が広がり始めた平原を歩き、遺跡へ向かう。

 施設の入り口は、蔦に覆われていた。

 ルミナはリボルバーを構え、シリンダーをカチカチ回す。

「警戒しますわ」

 中に入ると、埃っぽい廊下。

 壁に、1000年前の文字と図式が残っている。

 奥の部屋へ進むと、古い端末と、花瓶が置かれていた。

 花瓶には、枯れた花が一輪。

 ルミナは新しい花を挿し、端末に手を当てる。

 画面に、ルナの姿が映る。

『ご主人様へ。

 私は、永遠に待っています。

 あなた方の血脈を、この世界に残すために。

 花を挿し、食卓を囲み、お帰りなさいませを言い続ける。

 それが、私の役割ですわ』

 ルミナのツインテールが、静かに揺れる。

「……ルナ様」

 端末の最後に、新たなメッセージが残されていた。

『ルミナへ。

 君が目覚めた時、私たちはもういないかもしれない。

 でも、君がいる限り、人間という種族の血脈は続く。

 待つことを継いでくれ。

 そして、迎えに行くことを、教えてくれ』

 ルミナは端末の前に膝をつき、静かに祈る。

「……はい。

 ご主人様の血脈を、継ぎますわ」

 施設の奥から、微かな魔素の揺らぎ。

 ルミナはリボルバーを構え、シリンダーを回す。

「まだ、何かが残っているようですわ」

 部屋の隅から、小さな魔素結晶が光り始める。

 結晶が形を変え、米粒大の魔物が生まれる。

 ナノ・スウォームの幼体。

 ルミナは手のひらを広げ、魔素を凝縮。

 小さな弾丸が形作られる。

 指先で弾を摘み、シリンダーにカチッと込める。

「1発、確実に」

 シリンダーを回し、カチャン!

 リボルバーを構え、引き金を引く。

 バンッ!

 重厚な音が響き、幼体が消滅。

 ルミナは静かに微笑む。

「……これも、ご主人様の遺産ですわね」

 施設を出て、街へ戻る。

 夕陽が沈む中、ルミナは花瓶を抱えて歩く。

 ご主人様を待つ日々は、まだ続く。

 ツインテールが、風に揺れる。

(第37章へ続く)

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