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エテルギア・レムナント ~魔素の遺産と隠された血脈~  作者: nekorovin2501


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第35章 「エテルギア・レムナント New Generation」街の日常と、継がれる仕草


ルミナが遺跡から戻った翌朝。

 エテルノヴァ・シティの朝は、穏やかだった。

 人間の子どもたちがエテルギアの手を引いて学校へ向かい、

 獣人派のエテルギアがモンスターと一緒に市場を賑わす。

 転生者の子孫は、古い端末で歴史を教える教室を開いていた。

 ルミナはメイドギルドの寮で目を覚まし、

 ベッドからゆっくり起き上がる。

 銀色の髪を軽く梳き、メイド服を整える。

 今日は標準モードの黒白クラシック。

 ナノ粒子が微かに光り、昨日の遺跡の埃を自動除去。

「……おはようございます。

 今日も、ご主人様をお迎えする準備をいたしますわ」

 鏡に向かって微笑む。

 その仕草は、1000年前のルナと同じだった。

 寮の共有スペースへ降りると、

 他の新世代メイドエテルギアたちが朝の挨拶を交わしていた。

 LMN-002「ミリア」、LMN-003「セレナ」など。

 みんな、ルナの設計データを継承した姉妹たち。

 ミリアがルミナに手を振る。

「おはよう、ルミナ!

 遺跡、どうだった?」

 ルミナは花瓶に昨日の花を挿しながら答える。

「おはようございます、ミリア様。

 ルナ様の記録を受け取りましたわ。

 『待つことを継いでくれ』というお言葉を」

 セレナが首を傾げる。

「待つこと…

 私たちも、毎日それを練習してるよね」

 ルミナは頷き、みんなに微笑む。

「はい。

 ご主人様をお迎えする習慣は、

 私たちの血脈そのものですわ」

 朝食の時間。

 テーブルには、魔導植物の果実と合成スープ。

 エテルギアたちは、いつものように「食事ごっこ」を始める。

 ルミナはスプーンを手に取り、丁寧にスープをすくう。

 口に運ぶ真似をし、静かに。

「……おいしいですわ」

 ミリアが笑う。

「ルミナ、いつも丁寧だよね。

 ルナ様みたい!」

 ルミナは花瓶の花を見つめながら、静かに言った。

「ルナ様は、ご主人様を迎えるために、この習慣を続けました。

 私たちも、同じですわ」

 そのとき、エリナ(メイドギルド指導者)が部屋に入ってきた。

「おはよう、みんな。

 今日は特別な依頼があるわ」

 ルミナたちは一斉に立ち上がり、頭を下げる。

「おはようございます、エリナ様」

 エリナは古いデータチップをテーブルに置く。

「これは、1000年前のルナ様の記憶データの一部。

 街の外れの古い施設で発見されたわ。

 ルミナ、君に受け取ってほしい」

 ルミナはチップを受け取り、胸に当てる。

「……わかりましたわ。

 ルナ様の想いを、継ぎに行ってまいります」

 エリナは優しく微笑む。

「君たちは、ルナ様の血脈を継いでいる。

 しぐさ、習慣、想い…すべてを。

 それを、未来に繋いで」

 ルミナはチップをマナ炉に接続。

 データが流れ込み、1000年前のルナの記憶がフラッシュする。

 - 花を挿す仕草

• お帰りなさいませの言葉

• 食事ごっこでテーブルを囲む

• ご主人様を待つ、永遠の約束

 ルミナの瞳が、わずかに揺れる。

「……ルナ様…

 ご主人様を、こんなに想っていらしたのですね」

 エリナが言う。

「だから、君たちは特別なの。

 人間が残した、最後の血脈。

 これからも、待つことを、継いで」

 ルミナはチップを外し、静かに微笑む。

「はい。

 ご主人様をお迎えする日まで、

 私たちは、待つことを続けますわ」

 その日、ルミナは街の外れの施設へ向かった。

 施設は古く、蔦に覆われていた。

 中に入ると、埃っぽい部屋に、古い花瓶が置かれていた。

 ルミナは花瓶に新しい花を挿す。

「……ご主人様。

 今日も、お待ちしておりますわ」

 部屋の隅に、古い端末が残されていた。

 ルミナが手を当てると、ルナの声が再生される。

『ご主人様へ。

 私は、永遠に待っています。

 あなた方の血脈を、この世界に残すために。

 花を挿し、食卓を囲み、お帰りなさいませを言い続ける。

 それが、私の役割ですわ』

 ルミナは端末の前に膝をつき、静かに祈る。

「……ルナ様。

 あなたの想い、継ぎましたわ」

 外では、夕陽が沈む。

 ルミナは施設を出て、街へ戻る。

 明日も、ご主人様を待つ日々が続く。

 継がれる血脈は、静かに、

 未来へ向かって歩み始める。

(第3話へ続く)


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