第25章 雪の大陸と、白銀の守護者
エテルウィングは雲を突き抜け、荒野を離れて数日。
船窓から見える景色が、徐々に変わっていった。
灰色の大地が白く染まり、遠くに雪を頂いた山脈が現れる。
気温が急に下がり、甲板に霜が降り始める。
ルナは船の操縦室で、地図を眺めていた。
メイド服を冒険モードにチェンジし、迷彩風のフリル付きに保温機能を追加。
ナノ粒子が淡く輝き、体温を保つ。
「……雪の大陸ですわ。
魔素の信号が、ここから強く発信されています」
ガルは甲板で息を白くしながら、毛皮服を強化モードに変えた。
毛並みが厚くなり、白銀のウルフ柄に。
「寒いけど、なんかワクワクするな!
ママも喜びそう!」
ママは船の後部に固定された特別スペースで、穏やかに眠っていた。
雪を見ると、鼻を鳴らす。
ヒロはスーツをトレンチコート風にし、コートの襟を立てる。
「記録によると、この大陸は人類の“極寒実験場”。
魔素を低温で制御する技術が眠ってるはずだ」
エテルウィングは雪原に着陸した。
周囲は一面の銀世界。
風が雪煙を巻き上げ、視界を悪くする。
遠くに、氷の遺跡がぼんやりと見える。
ルナは魔弾銃をホルスターから形成させ、ピストルモードで構える。
「警戒を。
守護者が、いるようです」
雪原を進むと、巨大な影が現れた。
白銀の守護者――氷結型魔導獣。
ドラゴンのような巨体に、氷の装甲を纏い、咆哮を上げる。
息を吐くだけで、周囲が凍りつく。
ガルが爪を氷属性にチェンジ。
「来いよ!」
戦いが始まった。
守護者の氷の息が、三人を襲う。
ルナは銃をライフルモードに変形させ、氷弾を生成。
「氷属性にチェンジしますわ!」
バチバチッ! 氷弾が連射され、守護者の息を相殺。
剣を抜き、魔炎を纏わせて突進。
「魔炎斬!」
炎と氷がぶつかり、蒸気が爆発。
ガルは爪を強化し、守護者の脚に飛びつく。
「氷爪モード!」
爪が青く輝き、装甲を凍らせて砕く。
ヒロは地面の魔素回路をハック。
「地形効果、発動!」
雪原の回路が光り、氷柱が守護者を貫く。
守護者は苦しみ、暴れる。
ルナはデュアルモードにチェンジ、二丁の銃で連射。
「雷弾と炎弾、交互に!」
バチバチッ! ドン!
痺れと爆発が守護者を弱らせる。
最後は三人の連携。
ルナの魔炎剣、ガルの炎爪、ヒロの雷フィールド。
守護者が崩れ落ち、静かになる。
ルナは銃を粒子に戻し、息を吐く仕草。
「……お疲れ様です」
守護者の残骸から、データクリスタルが現れた。
ヒロが読み取る。
「これ、低温魔素制御技術。
世界均衡装置の部品の一つだ」
遺跡の扉が開く。
中は、氷の研究室。
人類の記録が残る。
ルナは壁の花のような氷結晶を摘み、花瓶代わりの容器に挿す。
「……ご主人様も、この雪を見たかったかも」
記録から、新たな地図が投影された。
次の目的地――砂漠の大陸。
三人はエテルウィングに戻る。
雪原を離れ、再び空へ。
ガルが甲板で叫ぶ。
「次は砂漠か! 熱そう!」
ヒロが笑う。
「世界は、まだ広い」
ルナは船窓から雪原を見下ろし、手を振る。
「……ありがとう、白銀の守護者」
新たな大陸が、待っている。
(第26章へ続く)




