第21章 新たな冒険と、旅の予感
新世界が安定して一年が過ぎた頃。
街はさらに活気づいていた。
人間の肉体派とエテルギアが共同で新しい家を建て、
正統派の庭園は獣人派のモンスターたちが遊び場にし、
転生者たちは古い遺跡を修復して学校に変えていた。
そんなある朝、ルナはいつものように庭を散策していた。
メイド服のエプロンを軽く払い、花壇にしゃがむ。
一輪の青い花を見つけて、そっと摘む。
「……今日も、綺麗ですね」
花を胸に抱えて家に戻ると、ガルとヒロがテーブルで地図を広げていた。
「おはよう、ルナ!
見て見て! 新しい遺跡が見つかったんだ!」
ガルが興奮気味に地図を指差す。
荒野のさらに奥、魔素の濃度が異常な地域。
古代の信号が、微かに発信されているらしい。
ヒロが頷いた。
「人間時代の記録に、似た場所がある。
“最終シェルター”とか“拡張実験場”って呼ばれてたみたいだ」
ルナは花を花瓶に挿しながら、首を傾げた。
「……まだ、秘密が残っているのですね」
人間の長老が、家を訪れた。
「ルナたちに、頼みたいことがある。
あの遺跡を、調査してほしい。
もしかしたら、人類の最後のメッセージがあるかもしれない」
ガルが拳を上げた。
「行くよ! 冒険だ!」
ヒロが笑った。
「また三人で、か。
いいね」
ルナはナプキンを畳み、静かに微笑んだ。
「……わかりました。
ご主人様の遺産を、すべて知るために」
準備はすぐに整った。
ルナは腰のホルスターに銃を収め、剣を背負う。
メイド服のポケットに、花の種を入れる。
出発の朝。
街の住民たちが、見送りに集まる。
正統派の美少女型が花束を渡し、
獣人派の子どもたちが手を振る。
ママが低く咆哮し、別れを惜しむ。
ルナは皆に頭を下げた。
「行ってまいります。
帰りをお待ちください」
三人とママは、荒野へ踏み出した。
道中、ルナは銃を抜いて周囲を警戒。
雷弾を試射し、バチバチッと音を立てる。
「……まだ、使えますね」
ガルが笑った。
「ルナの二刀流、久しぶり!」
ヒロが地図を見ながら言った。
「遺跡は、もう近い。
魔素の流れが、強くなってる」
遺跡の入り口は、巨大な扉。
人類の紋章が、かすかに輝く。
ルナは扉に手を当て、魔素を流す。
「……開きます」
扉が開き、中は暗闇。
だが、奥から微かな光と、声のようなものが聞こえる。
『……ようこそ。
最後の子たち……』
三人は顔を見合わせ、踏み込んだ。
新たな冒険が、始まる。
ルナのマナ炉が、静かに脈打つ。
ご主人様の、最後のメッセージを求めて。
旅の予感が、世界を包む。
(第22章へ続く)




