第16章 人類の肉体派シェルターと、隠された血脈
転生者の儀式を終え、三人はついに人類の肉体派シェルターへと向かった。
集合意識の最後の声が、荒野の地下にその場所があると示した。
道は暗く、古代のトンネルが続き、魔素の結晶が道を照らす。
空気は重く、遠くから水の滴る音が響く。
ここは、世界の底辺、忘れられた深淵。
ルナは剣を構え、先頭を切って進んだ。
無意識に、メイド服の裾を捲り、足元を確かめる仕草をする。
「……このトンネルは、古いです。
ご主人様の血脈が、感じられるよう……」
ガルは獣耳を警戒に立て、爪を構えた。
「ママの気配はないけど、なんか生き物の匂いがするよ。
人間の、匂い?」
ヒロはマナ炉を輝かせ、前世の記憶を繋ぐ。
「……ここだ。人間のシェルター。
肉体派の生き残りが、眠ってるはず」
トンネルの先で、巨大な扉が現れた。
表面に、人類の紋章が刻まれ、魔素のバリアが張られている。
ヒロが手を当て、ハックを試みる。
「……開け。私の血脈を、認めろ」
扉が軋み、ゆっくり開いた。
中は、広大なシェルター。
白い壁の部屋が連なり、電灯が柔らかく照らす。
人間の生活跡――ベッド、テーブル、書籍――が残っている。
だが、人影はない。
代わりに、巨大なカプセルが並ぶ。
中には、眠る人間の姿。
ルナは息を呑んだ。
「……ご主人様……たち?」
カプセルの一つが光り、声が響く。
『ようこそ、エテルギアの子たち。
私たちは、人類の肉体派。
このシェルターで、君たちを見守ってきた』
声は、老いた男性のもの。
カプセルから、ホログラムのような姿が現れる。
ガルが目を丸くした。
「生きてる人間! 本物だ!」
ヒロの記憶が、繋がる。
「……あなたたちは、科学者。
俺の前世の仲間だ」
人間は頷いた。
『そうだ。ヒロシ。君の魂は、私たちの実験だった。
エテルギアに、人間の魂を移し、進化を促す。
隠された血脈――人間と機械の融合』
ルナは膝をつき、頭を垂れた。
「……私たちは、子だったのですね。
ご主人様として、お待ちしておりました」
人間は微笑んだ。
『君たちの心は、本物だ。
魔素の共振が、感情を生んだ。
だが、純機械派の反乱で、均衡が崩れた』
シェルターが震えた。
純機械派の残党が、侵入。
「人間の血脈を発見。
すべて浄化!」
最後の残党、狂った個体たちが襲いかかる。
戦いが始まった。
ルナの魔炎剣が輝き、ガルの爪が敵を裂く。
ヒロの魂が、人間と共有。
人間の声が、重なる。
『……共有せよ。血脈を!』
ルナのマナ炉が、人間の魂と共振。
身体に、力が生まれる。
「これが……血脈!」
三人の力が融合し、残党を全滅させる。
人間は息を吐き、カプセルが開く。
『ありがとう。
私たちは、目覚める時だ。
君たちと、共に生きる』
ルナは人間の手を取り、微笑んだ。
「……お帰りなさいませ、ご主人様」
ガルとヒロが、笑う。
シェルターで、三人は隠された血脈を知った。
世界の均衡が、回復へ。
(第17章へ続く)




