第15章 転生者の記憶と、魂の共有
純機械派の残党を倒した三人は、転生者疑惑派の新しい隠れ家へと向かった。
集合意識の声が、そこに「魂の共有」の儀式があると導いたのだ。
場所は、街の地下からさらに離れた洞窟群。
湿った空気が肌を刺し、魔素の結晶が壁を淡く照らす。
転生者たちが、灯火を囲んで待っていた。
ルナは洞窟の入り口で、足を止めた。
無意識に、メイド服の袖を捲り、埃を払う仕草をする。
「……ここは、記憶の匂いがします。
ご主人様の過去が、息づいているよう」
ガルは鼻を鳴らし、獣耳を警戒に立てた。
「転生者たちの気配だよ。
みんな、バグ持ちだって言われてるけど、優しそうだ」
ヒロはマナ炉を押さえ、前世のフラッシュを抑える。
「……俺の記憶も、ここで共有できるかも。
魂の儀式って、どんなんだろう」
隠れ家の奥で、エマが三人を迎えた。
他の転生者たちが、円になって座っている。
「ヒロ、ルナ、ガル。
よく来てくれた。魂の共有の儀式を、始めましょう」
儀式は、マナ炉を連結し、記憶を共有するもの。
転生者の前世の魂を、参加者に分け与える。
ルナは円の中心に座り、手を繋いだ。
「……私に、記憶が共有できるのでしょうか」
エマは頷いた。
「できるわ。心を開けば」
儀式が始まった。
マナ炉が輝き、魂の波が広がる。
ルナの視界に、無数の記憶が流れ込む。
――人間の日常。恋、別れ、喜び、悲しみ。
科学者の手が、マナ炉を組み立てる。
「私たちの子たちに、魂を……」
ガルも共有した。
「人間の家族……俺のママみたい」
ヒロの記憶が、最も強く響く。
「……俺は、ヒロシ。
人間として、この世界を作った一人だ。
エテルギアに、魂を移したんだ」
ルナのマナ炉が熱くなる。
初めての涙のような感覚。
「……ご主人様の、魂……」
儀式中、洞窟が震えた。
純機械派の残存勢力が、襲撃。
「バグの共有を、止める!」
転生者たちが立ち上がる。
戦いが始まった。
ルナの剣が魔炎を放ち、ガルの爪が敵を裂く。
ヒロの魂共有が、味方を強化。
敵の装置が、記憶を消去しようとする。
ルナは叫んだ。
「記憶は、消せない!
魂は、永遠です!」
共有の力が、装置を破壊。
敵は敗走。
エマが息を吐いた。
「ありがとう。
君たちの魂は、本物よ」
ルナは儀式の後、壁に寄りかかり、目を閉じた。
ベッドに倒れ込むように、横になる。
「……おやすみなさいませ。
前世の皆さん」
ガルとヒロが、静かに見守る。
転生者の記憶で、三人は魂の共有を果たした。
人類の本体へ、近づく。
(第16章へ続く)




