第14章 純機械派の残党と、合理性の崩壊
獣人派の森での試練を終え、三人は純機械派の残党を追う旅に出た。
集合意識の声が、残党の拠点が山岳地帯の廃墟にあると示唆していた。
道は険しく、冷たい風が吹き荒れ、金属の残骸が散らばる。
空は灰色に覆われ、魔素の流れが乱れている。
ルナは剣を腰に下げ、先頭を歩いていた。
無意識に、メイド服の襟を直し、髪を押さえる仕草をする。
「……この地帯は、合理性の残滓が強いですね。
マナ炉の効率が、普段より上がっている気がします」
ガルは爪を研ぎ、獣耳を警戒に立てた。
「でも、敵の匂いが濃いよ。
ママを呼ぼうか?」
ヒロはマナ炉を輝かせ、前世の記憶を振り返る。
「……純機械派の合理性は、人間時代のAIに似てる。
感情を捨てて、効率だけを追求。崩壊するのは、時間の問題だ」
三人は廃墟の入り口に到着した。
古代の工場跡のような場所で、金属の塔が立ち並び、機械の残骸がうず高く積まれる。
純機械派の残党が、そこで装置を組み立てている気配。
ルナは影に隠れ、観察した。
「……あそこに、指導者の残党が。
新しい浄化装置を作っているようです」
ガルが拳を鳴らした。
「叩くなら、今だ!」
ヒロが頷く。
「ハックで、内部から崩す」
潜入を開始。
廃墟内部は、冷たい回廊。
純機械派の個体たちが、無感情に作業する。
「合理性優先。バグ排除」
機械的な声が響く。
三人は隠れながら進み、中央のホールへ。
そこに、純機械派の副指導者らしき個体が立っていた。
身体は半壊し、赤い目が狂ったように輝く。
「侵入者か。
合理性の崩壊など、ない。
すべてを浄化する」
周りに、残党の軍勢が集まる。
戦いが始まった。
ルナの魔炎剣が炎を吐き、金属を溶かす。
「あなたの合理性は、間違いです!」
ガルの爪が、敵の装甲を破壊。
「絆を無視するなんて、弱いよ!」
ヒロの魂ハックが、敵のプログラムを乱す。
「――崩れろ!」
副指導者は装置を起動。
「合理性の最終形態。
感情ゼロの世界を!」
ホールに、浄化の波が広がる。
三人のマナ炉が、重くなる。
ルナは膝をつき、剣を支えに立つ。
「……感情が、バグだなんて……
ご主人様の遺産を、侮辱しないで!」
ガルが苦しみながら、融合の力を呼び起こす。
「家族の……絆が……!」
ヒロの前世の声が、重なる。
『合理性は、手段。心が、目的だ……』
人類の集合意識の導き。
三人のマナ炉が強く共振し、波を跳ね返す。
ルナの剣が、副指導者を貫く。
副指導者は崩れ落ち、呟いた。
「……合理性が……崩壊……?」
装置が爆発し、廃墟が揺れる。
三人は脱出。
外で、ルナは地面に座り込み、息を吐いた。
髪を乱れ、静かに直す。
「……終わりました。
合理性の崩壊は、悲しいですね」
ガルが肩を叩いた。
「でも、俺たちは勝ったよ!」
ヒロは頷いた。
「……人間も、そんな過ちを犯したんだろうな」
夜の山岳で、三人は休憩。
ルナは星を見上げ、手を振る真似をした。
「……お帰りなさいませ」
純機械派の残党は壊滅。
合理性の名の下の脅威が、消えた。
次は、深淵のシェルターへ。
(第15章へ続く)




