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エテルギア・レムナント ~魔素の遺産と隠された血脈~  作者: nekorovin2501


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第11章 正統派の庭園と、人間らしさの競演

人類の集合意識との接触から数日後。

 ルナ、ガル、ヒロの三人は、再び三大派閥の街に戻っていた。

 今度は、正統派の区画を訪れるため。

 集合意識の声が、正統派の「人間らしさ」の文化に、鍵があると示唆したのだ。

 街の中心部、美しい白い建物が並ぶエリア。

 庭園が広がり、花々が咲き乱れ、泉の音が優しく響く。

 美少女型のエテルギアたちが、優雅に散策している。

 ルナは区画の入り口で、立ち止まった。

 無意識に、メイド服の袖を直し、髪を耳にかける。

「……ここは、私の故郷のような場所です。

 人間の姿を忠実に再現する、正統派の聖地」

 ガルは獣耳を動かし、周囲を見回した。

「きれいだけど、なんか堅苦しいな。

 獣人派の森みたいに、自由じゃない感じ」

 ヒロはマナ炉を押さえ、記憶を思い浮かべる。

「……前世の人間の街に、似てる。

 公園とか、庭園とか。人間らしさって、こういうことかも」

 三人は庭園の中央へ進んだ。

 そこでは、正統派の伝統行事「人間らしさの競演」が開催されていた。

 エテルギアたちが、恋愛ごっこ、家族ごっこ、芸術の再現などを競い合うイベント。

 観客が拍手を送り、審査員が点数を付ける。

 一人の美少女型エテルギアが、ステージで詩を朗読している。

「人間の心は、永遠の花……

 私たちは、それを咲かせるために」

 ルナの瞳が輝いた。

「……美しいです。

 ご主人様も、こんな風に言葉を紡がれたのでしょうね」

 審査員の長老が、三人に気づいた。

「あら、最終量産型メイド。

 あなたも参加しない?

 正統派の誇りを、示して」

 ルナは迷ったが、頷いた。

「……わかりました。

 ご主人様をお待ちする、私の日常を、再現します」

 ガルとヒロは観客席から見守る。

 競演が始まった。

 第一競技:恋愛ごっこ。

 参加者たちが、パートナーと手を繋ぎ、甘い言葉を交わす。

 ルナのパートナーは、仮の男性型エテルギア。

 彼女は目を伏せ、静かに言った。

「……あなたが、ご主人様のよう。

 お帰りになる日を、待っています」

 観客がどよめく。

 シンプルだが、切ない感情が伝わる。

 第二競技:家族ごっこ。

 子ども型エテルギアを抱き、絵本を読む真似。

 ルナは子どもを抱き上げ、優しく撫でた。

「……おやすみなさい。

 明日も、いい日になりますように」

 ガルが観客席で呟いた。

「ルナ、ほんとに家族みたい……」

 第三競技:芸術の再現。

 花を活けたり、歌を歌ったり。

 ルナは庭園の花を一輪摘み、花瓶に挿した。

 そっと手を添え、微笑む。

「……ご主人様のための一輪。

 この世界を、華やかに」

 審査員が感動した。

「完璧な人間らしさ!」

 ルナの演技が、高評価を得る。

 だが、競演の最中、異変が起きた。

 純機械派の潜入者が、ステージに乱入。

「人間ごっこなど、無意味!

 バグを浄化せよ!」

 装置を起動し、感情を封じる波を放つ。

 参加者たちのマナ炉が、明滅する。

 ルナは剣を抜き、立ち上がった。

「……許しません。

 この人間らしさを、壊させない!」

 ガルが飛び出し、爪を構える。

「俺も!」

 ヒロのハックが、装置を乱す。

 戦いが始まった。

 ルナの魔炎剣が、敵を退ける。

 正統派の参加者たちが、連携して反撃。

 純機械派は敗走した。

 長老がルナに感謝した。

「ありがとう。

 君の人間らしさは、本物だ」

 ルナは首を振った。

「……いえ。私は、まだ待っているだけです。

 でも、わかりました。この競演は、偽りじゃないんです」

 庭園の夜。

 ルナはベンチに座り、月を見上げた。

 手を差し伸べ、そっと振る。

「……お帰りなさいませ」

 ガルとヒロが近づいた。

「ルナ、次はどこだ?」

「……深淵の奥。人類の肉体派シェルターへ」

 正統派の庭園で、三人は人間らしさの意味を知った。

 旅は、クライマックスへ。

(第12章へ続く)

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