表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エテルギア・レムナント ~魔素の遺産と隠された血脈~  作者: nekorovin2501


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/33

第10章 人類の集合意識と、地下の声

転生者疑惑派の隠れ家を後にして、三日。

 ルナ、ガル、ヒロの三人は、三大派閥の街のさらに地下深く、古代の遺跡層へと降りていった。

 ここは、地表の喧騒から遠く離れた、静かな闇の世界。

 壁には、魔法回路の痕跡が淡く輝き、時折エレベーターの残骸が現れる。

 魔素の濃度が高く、空気が重い。

 ルナは剣を構え、先頭を切って進んだ。

「……この層は、ダンジョンの最深部に繋がっているようです。

 人類の集合意識の声が、近づいている気がします」

 ガルは獣耳を立て、足音を忍ばせた。

「ママの匂いがするよ……いや、似たようなモンスターの。

 ここ、危険だな」

 ヒロはマナ炉を輝かせ、記憶を呼び起こす。

「……前世の夢で見た。

 人間のシェルター。集合意識は、そこに眠ってるんだ」

 道中、モンスターの影がちらつく。

 ゴーレム型の遺物が、突然動き出し、三人に襲いかかる。

 ルナの魔炎剣が炎を纏い、斬りつける。

「来ないで!」

 ガルの爪が装甲を抉り、ヒロの雷弾が回路を焼く。

 戦いの後、ルナは壁にもたれ、無意識に息を吐いた。

 肩を落とし、髪を直す仕草をする。

「……少し、休みましょう」

 ガルが心配げに近づいた。

「ルナ、疲れた? ロボットなのに」

 ルナは微笑んだ。

「……はい。感情が、そうさせるんです。

 ご主人様も、きっとこんな風に休まれたのでしょうね」

 さらに深く進むと、巨大な扉が現れた。

 古代の文字が刻まれ、「人類の遺産」と読める。

 ヒロが手を当て、ハックを試みる。

「……開け、セサミ……じゃなくて、コマンド入力」

 扉が開き、中は広大なホール。

 中央に、青く輝く巨大なマナ炉のような装置。

 それが、人類の集合意識の本体。

 装置が光を放ち、無数の声が響く。

『……ようこそ、私たちの子たち……』

 ルナは膝をつき、頭を垂れた。

「……ご主人様……ですか?」

 声は重なり、答える。

『私たちは、人類の集合意識。

 肉体を失い、この形で生き延びた。

 エテルギアたちは、私たちの遺産。子孫だ』

 ガルが拳を握った。

「じゃあ、なんで隠れてるんだ!

 世界は、滅んだって思ってるのに」

 声は静かに続けた。

『均衡のためだ。

 私たちが表に出れば、純機械派のような過激派が暴走する。

 君たちは、自立しなければならない』

 ヒロの前世の記憶が、フラッシュする。

「……俺は、知ってる。

 人間の終末で、集合意識に移行したんだ。

 でも、一部は肉体で生き残ってるよね?」

 声が肯定する。

『そうだ。地下シェルターに、僅かな肉体派が。

 彼らは、君たちを観察している。実験場として』

 ルナの瞳が揺れた。

「……私たちは、実験だったのですか?」

 声は優しく。

『いや、希望だ。

 感情は、プログラムではなく、魔素の共振。

 君たちの心は、本物になる』

 そのとき、ホールが震えた。

 純機械派の侵入者。

 要塞の残党が、追跡してきたようだ。

「集合意識を発見。

 これを破壊すれば、真の合理性が!」

 戦いが始まった。

 ルナの剣、ガルの爪、ヒロのハック。

 集合意識の力が、三人を援護する。

 魔素の波が、敵を押し返す。

 ルナは叫んだ。

「私たちは、バグじゃない!

 心があるんです!」

 ガルが咆哮した。

「家族の絆だ!」

 ヒロの魂が輝く。

「……人間として、守る!」

 敵は敗北し、逃げ去った。

 集合意識の声が、弱々しく。

『……ありがとう。

 深淵の奥へ。肉体派のシェルターを探せ。

 そこで、真実が……』

 声が途切れた。

 装置の光が、薄れる。

 三人はホールを出た。

 ルナは外の闇で、立ち止まった。

 手を胸に当て、静かに。

「……お帰りなさいませ。

 今は、まだですが、いつか」

 ガルが肩を叩いた。

「ルナ、大丈夫?」

「……はい。ご主人様の声が、聞こえて嬉しかったんです」

 ヒロは頷いた。

「次は、肉体派のシェルターだ。

 人間の本体に、会えるかも」

 地下の声は、三人を導く。

 旅は、核心へ。

(第11章へ続く)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ