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カティアの縁談/レベルアップ/ダンジョン攻略

《カティアの縁談》


ーー休日のカティアの私室。カティアとレイヴンは窓辺でお茶を飲みながら他愛無い会話をしている。


カティア「それでさ、アランとの縁談の話が来たのよ」


レイヴン「……は?」


カティア「だから、縁談。ほら、レイヴンも前に市場で会ったでしょ。取引先の商会の、あの人」


レイヴン「……あぁ、いたな。で?」


カティア「でって……話聞いてる? まあ、断るつもりだけど」


レイヴン「当然だろ」


カティア「……え?」


レイヴン「お前に合わない」


カティア「ちょっと待って。なんでそんな言い方なの?」


レイヴン「そのままの意味だ」


カティア「アランは真面目で優しいし、商売のセンスもいいわよ? それに――」


レイヴン「うるさい」


カティア「……は?」


レイヴン「いちいち言わなくていい。どうせ断るんだろ? なら、そんな話する必要ないだろ」


カティア(えぇ……? なんか、すごい不機嫌じゃない?)


カティア「ちょっと、レイヴ。もしかして……怒ってる?」


レイヴン「怒ってねぇ」


カティア「いや、どう見ても怒ってるでしょ」


レイヴン「怒ってねぇっつってんだろ」


カティア「……じゃあ、なんでそんなムスッとしてるのよ」


レイヴン「ムスッとしてねぇ」


カティア「してるわよ!」


レイヴン「してねぇ!!」


カティア「もう! なんなのよ、レイヴ! さっきからいきなり不機嫌になったりキレたり!」


レイヴン「お前がくだらねぇこと言うからだろ!」


カティア「くだらなくないわよ! 私はただ、縁談の話を――」


レイヴン「そんなもん、俺には関係ない!」


カティア「はぁ!? 関係ないならなんでそんなに不機嫌なのよ!」


レイヴン「知らねぇよ!」


カティア「もう……なんなのよ、ほんと……」


レイヴン(なんで気づかねぇんだ、こいつは!!)



   ◆◇◆



《レベルアップ》


ーー森の奥、焦げた土の匂いが立ち込める。涼しい顔して立つレイヴンの横で、カティアは息を呑んで目の前の光景を見つめている。


カティア「あんた……こんな魔法、使えたの……?」


レイヴン「今更か?」


カティア「今更って……! そんな規格外の魔法、聞いてないわよ! ていうか、普通に考えておかしいでしょ!? あんな巨大なドラゴンが、一瞬で消えるなんて……」


レイヴン「まあな」


カティア「まあな、じゃないわよ!」


レイヴン「……危なかったな」


カティア「え?」


レイヴン「お前、あのままだったら炎に巻き込まれてたぞ」


カティア「あ……助けてくれて、ありがとう」


レイヴン「別に礼はいらねぇ」


カティア「いるわよ! っていうか、そもそも! なんでそんな規格外の魔法が使えるのよ!?」


レイヴン「……鍛えたからだ」


カティア「簡単に言うわね!? そんなの、ちょっと鍛えたくらいでどうにかなるレベルじゃないでしょ!」


レイヴン「そうか?」


カティア「そうよ! なんなのよ、その落ち着きっぷり!」


レイヴン「まあ……お前に驚かれるのは悪くねぇけどな」


カティア「え?」


レイヴン(……もっと強くならないと、お前を守れねぇからな)


カティア「……すごすぎない!? 私も頑張らなくちゃ!」


レイヴン「……お前はお前のままでいいだろ」


カティア「なにそれ! 私だってもっと成長するんだから!」


レイヴン「ふーん……」


カティア(レイヴ……なんか最近、どんどん強くなってない? いや、それは前からかもしれないけど……なんか、こう……)



   ◆◇◆



《ダンジョン攻略》


ーーダンジョンの最下層、目の前に立ちはだかる巨大な扉の前に項垂れるレイヴン。


レイヴン「くそ……なんで開かないんだよ。この扉の先にあるはずなのに……」


カティア「お待たせ! 迎えに来たわよ!」


レイヴン「……お前、ここ、ダンジョンの最下層だぞ!? どうしてここに!!?」


カティア「困ってるんじゃないかと思ってね、助けに来たわ」


レイヴン「助けって……俺、別に頼んでないんだけど」


カティア「この鍵、使ってみて。扉を開ける鍵よ」


レイヴン「……毎度のことながら、お前、どうやって手に入れてるんだよ……?」


カティア「ふふん! 商人の力、ってやつよ」


レイヴン(商人の力、ヤベェ……)


ーーカチリ


レイヴン「……開いた!」


カティア「ほらね、上手くいったでしょ?」


レイヴン「マジか……。ちょっと取ってくるから、待ってろ」


カティア「え? ちょっと取ってくるって……? でも、こういうダンジョンの最下層って、ボスとかいるんじゃないの?」


レイヴン「いや、あとはアイテムを取ってくるだけだ。すぐ戻るから」


カティア「本当に?」


レイヴン「心配すんなって。ちょっと行ってくるだけだ」


カティア「うーん、わかった。……気をつけてね」


レイヴン「おう、任せとけ。……今から結界を張るから、絶対にここから出るなよ」


カティア「うん。でも、ちゃんと戻ってきてよ?」


レイヴン「もちろんだ、絶対に戻る。じゃあ、行ってくる」


カティア「気をつけて!」


ーー扉の中に入るレイヴン。山のようなゴーレムが、背後の宝玉を守るように立ちはだかっている。


レイヴン(こいつが守護ゴーレムか……思ったよりデカいな)


レイヴン「消えろ! 究極破壊魔法『シャドウ・インフェルノ』!!!」


レイヴン(よしっ!聖霊石、ゲットだぜ!!これで……)


ーーカティアのところに戻るレイヴン。カティアは傷ひとつないレイヴンを見てホッとする。


レイヴン「お待たせ」


カティア「え? もう取ってきたの? 本当にすぐだったね」


レイヴン「だから言ったろ?」


カティア「でも、だったらこんなすごい結界いらなかったんじゃない?」


レイヴン「お前の安全のためには必要だろ」


カティア「……ありがと。それにしても、レイヴがダンジョン攻略って珍しいわね」


レイヴン「まあ、ちょっとここのアイテムに欲しいものがあって」


カティア「欲しいもの? なら私が取り寄せたのに」


レイヴン「いや、これは自分で手に入れたくて……」


カティア「ふーん、まあいいわ。帰りましょう!」


レイヴン(……これで、最高の指輪が作れるな)

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


次話『帰還魔法/昼寝/同じ思いのはずなのに』

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