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大事だね 心の在り方 しまい方

最近改名しようか悩んでいるコーフィー・ブラウンです。


毎回のエピソードタイトルは平均10秒で決めています。


どうか楽しんでください。

チャイムと同時に教室に入る。こうすれば生徒との会話を避けられる。

ガタタッ 「礼!」 さすが中級生。昨日も感動したが、別物だ。

「ありがとうございます。 では、始めましょうか。」

この授業は基礎学。 数ある科目の中で随一の嫌われ者らしい。

その理由は主に二つ。

「こちらの公式、みなさんはもう知っていますね。」 全員がうなずく。

「よかったです。」

下級生、もしくは入学する前から習っていることをもう一度聞かされるというのだから、うんざりしてしまうものだろう。

そして、自分で教えていても分かる。 面白くないな~。

他のクラスはきっと楽しそうにやってんだろうな~。

と思いながら振り返ると、皆完全にだれている。

少し、てこを入れるか。


「では、皆さんに質問です。皆さんは領主です。」 ざわわっ

いきなり何か始めだしたって感じだろうな。

「領地はこの三角形。どこに城を建てましょうか。案を出してくれませんか?」

「境目に近いのは避けるべきです。」 「そうだね。」

「それって平面なの?」 「森とかは?」 「この時点ではまっ平の平原ということで。」

ワイワイする中、一人の手が上がった。 水色と灰色がまじったような髪の毛の子。

「あの・・全部の頂点から近いところがいいと思います。」

お。それだよそれ! 「じゃあどうやって決めようか?」

しばらく話し合っていたが、答えが出ないようだ。

「はい! 話し合うのは大事です。大人数の中で意見をだすのもたいへん素晴らしいことです。」

照れているさっきの子。

「大人になると途端に回数は減るでしょう。あるいは質が落ちる。

わからない、知らないは始まりです。考えるは準備、こうして学ぶのは、出発。」

三角形の頂点を円周上で通る円をフリーハンドで書く。

お、珍しく上手くいったかも。

「どこに進むのか、それは十分考えたでしょう。あとは目的まで、一直線です。」

円の中心を×で記す。

おおおおおおっ 

うれしさをかみしめるリク。 教える楽しさ、か。

こんなもの、何の役に立つんだ。なんて思っていた。領地にきれいな円を描くなんて馬鹿げている。

でも、きっと、無駄はない、ないのだ。


授業が終わり、廊下を歩いていると、「先生。」 と服を引っ張られた。

「はい、」振り返ると一人の生徒。赤と青、黄色が入った派手な髪の子だ。

「先生、経理部のバカ息子の使い魔殺したんでしょ?」 嫌な下からの見上げ方だ。

「え?」 驚いた。噂はとにかく足がはやい。

「そうなのね。あ、別にやり返そうとかじゃないから。あいつ嫌いだし。

それより、気になるのはあなたがこうして生きてるし、教官やめてないこと。

いくらあんな馬鹿でも父はあの人よ。」

「・・・」 これは揺さぶり。こんな子供の相手なんてしちゃだめだ。

「ま、いいわ。今は。 ではまた。」 「え、ええ。」

揺さぶられすぎて心臓が脳震とうしそうだ・・。

こんな心理戦、耐えられないよ


教官室に戻り、書類を整えていると、机をトントンされ、「はい。」

Oh、じじいの教官長、レジンさんか。

「リク君。これから上級生の対物授業を行う。見に行きますよ。」

「はいっ!」 うおお、ついに魔法を・・・。


レジンさんの後についていく。

ついた広場には多くの生徒がいた。

「ダトン。」 「おや、教官長・・見学ですね。」

「今日は?」 「ヒールヒルを目標にした火魔法の行使ですな。」

「なら、見させてもらう。まあ、構わずに普段通りやってくれ。」 「了解。」

「それじゃあ諸君。」 彼が指をさした先には、犬ぐらいの大きさをした、キモイモンスター。

「ヒールヒル。自己再生の速さが特徴だ。いつもは辺境の森にいるけど、たまに街中でも現れる。」

「少し・・大きくないですか?」 「何言ってんだ。あれは子供だ。」 え?

ブオン ブオン どんどん展開されていく魔法陣。

「うてえええっ」 そこから、大谷翔平165キロファイヤーボールが飛ばされていく。

気持ち悪かったヒルがかわいそうになるくらい黒焦げになる。

「うむ!では、各自個人練習を始めよう!火魔法、かつ下級まで!でははじめ!」

ばらけて、各々岩に対して放っていく。 「すごいな~・・。」

つぶやいたリクを、何やら言いたげな目で見るレジン。

あれ、あの子。 さっきの信号機少女。

目が合って、その子が二やついた。 なんていやな顔だ。

「見てなさいよ」と彼女はつぶやいて、魔法陣を展開する。

騒がしくなる周囲。魔法陣はどんどん大きくなり、周りの子が急いで離れた。

「まずいな。」とレジン。

「ぬおーっ!ち、ちょっと!サナン君!はやく納めて!」 「嫌よ」 「へっ!?」

上級魔法、レッドローズ! 「てやあっ!」 ジュオッ!魔法陣からマグマのようなものがにじみ出て、真っ赤な炎が飛ぶ。 きれい・・。

「アクセラレート」 シュン! レジンが隣から消え、

その炎の前に。 「イレイス。」 小さい宇宙の布のようなものが現れ、そこに吸い込まれてゆく。

「げっ」 そう言い、振り返るサナン。

「逃がさんよ。」金属の輪が彼女の両手と腰にかけられると、

「うっ」 ドサッ 倒れた直後に両足も同じようになり、それらが勝手に動いて宙づりになるサナン。

「自分を律しなさい。サナン・ディオレスタ。

戦場で大事なことは無能な味方の数を減らすこと。足並みをそろえられないのは一般庶民で十分。」 ドキッとするリク。

「ダトン。授業が終わったら放してあげろ。」 「了解。」

すねるサナン。 戻ってくるレジン。

「そこまで厳しくしなくても、と言いたげだね。」

「いえ、大事なことだと思います。」

「おや、意外だな。

ここには上中下の階級があるが、極力外の立場に影響を受けないようにしている。」

極力ね・・。

「例えばあの子の親はただの庶民だ。でも上級生としての技量は十分ある。将来重要な職に就くだろう。

あの子も、あの子も。 そして、あの子も。」 サナンを指す。

「知識や技能なんて二の次。大事なのは心の在り方。

その上で言わしてもらうぞ。お前はここに向いてない。」

本作品を読んでいただきありがとうございます。


次回は少しだけ重いかもです。


キャラクター紹介

サナン・ディオレスタ (13)

魔人。父は営業部の部長。一人娘の唯一の後継者。

13歳という若さで、家の未来を背負うというメンタルは少なからず彼女に影響がある。

毎日の髪のセットは営業部第一課の秘書にやってもらっている。

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