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異世界よ 死亡フラグは まだ早い

主人公死んじゃう詐欺という大罪をとうとう犯してしまったコーフィー・ブラウンです。


どうか楽しんでください。

私、リク・レシオン 23歳。ある程度有名なファッション雑誌関係の仕事。

「レシオンさん。昨日のやつ、どうなりました?」 若手社員Aが申し訳なさそうに聞いてくる。

「あれね、直しといたよ。次からは気を付けて。」それに対して見向きもせずにひたすらキーボードを叩きながら、口だけで返答する女がわたし。

「ありがとうございますっ!さすが、レシオンさん!仕事できるし、やさしいし、顔がいいからモデルもこなすっ!」 手が止まる。

「どこからそれをっ!」 見渡すと、やばいという顔の無能部長。 チッ

「あ、秘密だったんですか?すみません。でも、モデルとかみんなの憧れじゃないですか。」

「あんなの本人が持っている容姿と機会だけがパスポートの単純な世界でしょ。」

「な、なるほど。」 この人思考も発言もひねくれているんだよなー。 かわいいけど。

 カタカタカタ・・・。

今の生活、かつての自分では考えられない。

社会福祉が充実しているからといって周囲と同じ安定を感じられる訳がない。

なんとか入学できた大学生の時に母が倒れた。

それまで続けていたスーパーのバイトをやめて、毎日を遊ぶようになった。

容姿を目一杯活用して、モデルや受付、高校生までに身につけた感覚を思い出しながら、週に一度はリングに上がった。 でもそのおかげか、それを知る者は安易に近づかなかったけど。

いつも暗い夜に身を置いていたけど、貞操は守ってきた。

自分なりに死線はくぐってきたつもりだった。 けど、


目の前にいるじじいと鬼の手。 そして。

「申し訳ございません。」 土下座する自分。必死に請う。

「あの蛇は人間でいうB級魔物。実力はもちろん、素手で勝つやつなど。

さて、どうしようか。・・・いや、まだ早いな。」

腕が収まっていく。

「何している。早く出るぞ。」


ズズズッ う、ッ気まずい。 せっかくのコーヒーも、いや、美味しかった。

しかし、夜なのにコーヒーなんて。

「わかっている。お前の父だって、全てが完璧ではなかった。

何回も罠にはめられたし、苦汁を飲んだ。

お前にもいや、人にはそんな経験が必要なことも。」 「・・。」

「しかし、そんな時間はもうないのだ。」 「じゃないと」 「呼ばない。」

「一体何が起きているんですか?」 黙って視線をずらすアルファ。

「ここには一つ、空席がある。とても大切な椅子だ。」

まさか。 「副社長。レシオン家の。全部長を統べる者の。魔王が絶大な信頼を置く者の。」

「急にっ!私はまだッ!」 

「ああ、まだだ。一年の期間を設けている。

それを経たとき、そこについてもらうぞ。

その間に知り、育て、従えろ。 はっきり言う。今日のような時間は無駄だ。

ミラーゼがいる限り何とかしてもらえるが、分かっているな。」 「・・・はい。」

ガチャン

「おお。ヨシル。」 「ラードン様。どうも、お久しぶりです。」

「遠征帰りですまんが、リクの送迎を頼む。」

「行こうか。」 「ヨシル。お前が言ったんだ。頼むぞ。」

「分かってますよ。」


「部長。ありがとうございます。遠征の直後なのに。」

「本当だよ。ハハハッ 噓噓。ま、いいよ。 あ、授業の方はどうだった?」

「うまくいかないものです。」 「そうか?好評のようだぞ。」

いつ分かるんだ? 帰ってきたばかりなのに、気休めで言っている?

「そんな分かりやすく疑うな。アテリーに話を聞いただけだ。

それで、いきなりで悪いが、研修は終わり。

これからは上中級生に就いてもらう。」

「あ、あの!」 「?」

「生徒が言っていました。こんなに教えるのが上手い先生は初めてだと。自分でそう言うのは恥ずかしいですけど、おかしくないですか?初めてだし、自分でも正直上手く出来なかったんです。」

あっちの世界での先生は、今日の私と比べるまでもない。 良い先生だった。

「今日は特別だ。普段の下級生はボランティアの授業を受けている。

ボランティアといっても、かつての下級生の卒業者が全員だ。彼らは言葉と、魔法で火をつけられるならそれで最低限はクリアだ。」

「予算不足ですか。」「ああ。底上げより、上を伸ばせば問題ないがここのスタンスだ。」

「確かに理にはかなっていますが・・。」

「君が副社長になればどうにかしてくれるんだろう?」

「あ!そうです!私いったいどうすればいいんですか!?」

「副社長にとって必要な物事など私は知らない。だから、こうしよう。

今年中に卒業する二人の上級生がいる。二人が私に実技で勝てたら、きっとその時はいい指導者になっているはずだ。」


スクッ だだっ広い部屋。黒を基調としたインテリアが隅々においてある。どれも高貴な雰囲気を生んでいる。

「おはようございます。」 深々と礼をする召使い。

食事、身だしなみ、用意。すべてを一人でこなし、外に出ると、黒いペガサスが二頭並ぶ馬車。

扉が開くとそこには先客が。

「おはよ。オルト。」「おはよう。カビラ。」


空から見える教場には誇り高き同胞たちが入っていく。

彼らがその足を止め、こうべを垂れる時がある。

二人の生徒が歩き出した時だ。

その後ろに、リク。 ん?なんだこれ?

全員がひざまづいてるじゃん。

「お、おい、先生。」近くにいた生徒が顔を少し上げながら言う。

「ん?」 「はやくしゃがんで。はやく。」 「あ、ああ。」

それをちらりと見るオルト。「どうしたの?」 「いや。」


教官室に入る。「あ!来た!」ミリア。

「おお!主役登場!」ふくよかな体型をした男性。

ぞろぞろ。え?人数多っ!?

「みんな、新しく配属された、リクだ。挨拶を。」

「あ、はい。皆さん、おはようございます。わからないことがいっぱいなので、助けて頂ければうれしいです。よろしくお願いします。」 パチパチパチ

「リクさん、秘書のアーイン・スタッシュです。よろしく。」誠実そうなひとだ。


「教官長のレジン・ナナイントです。よろしく。」こちらはじいさん。

「よ、よろしくお願いします。」 「ふん。あいつと違って腰が低いんだね。」

じろりと見つめてくる。

そこに割り込んで、


「リクさん!初めましてですね!わたくし、ダトン・ルイスイスといいます。よろしくですよ。」

さっきの太った男性。でも手のひらや全身の節々からは鍛えられたものを感じる。


「僕はイパル・チーロンドだよ。よろしく。」デブDT、今度はショタか。


「ルビン・ムチヨンです。・・よろしく。」 

根暗には似合わぬ装飾品と金髪を持ち合わせている。


「じゃ、今日も頑張っていくか。」 肩を優しく叩くヨシル。 アテリーと大違いだ。




本作品を読んで頂きありがとうございます。


この教場の卒業とは17歳になったときで、どんな状況でもみんな卒業できる。

一年間での教えることは決まっていて、生徒は毎年同じことを習う。

昇級試験は難しい。

科目紹介

基礎学 算術や言語(国語)

魔法学 魔法陣の仕組みや使い方、魔法についてのあれこれ。

地政学 魔界や人間の国について。

生物学 動物、植物、魔法生物について。

薬学 コープが開いた科目。とってる人少ない。

対人 対人型戦闘。

対物 対モンスター戦闘。

工作 芸術センス、錬金術を学ぶ。

作法 上中級生のみが受ける。魔界にも厳しいマナーがあります。


キャラクター紹介

ヨシル・ルマン (35) 魔人。

人事部の部長。 優しい。作中にもある通り、リクを人事部に勧誘する。

黒髪。角が赤色。 実は魔王軍トップクラスの実力者。 元コープの最終兵器少女。


カリフ・エラ・オルト (16)

魔人。 魔王オゼロの息子。 次男。

目立つのは嫌いだが、魔王の座を引き継ぎたいと思っている。

しかし魔王の器としては不十分な実力。


カビラ・メイナード (16)

スキュラの血を引く魔人。

営業部第二課の課長の息子。長女がいるので継承権はあまりない。

第二課の特徴として水の魔法が強い。


アーイン・スタッシュ (35)

人事部の部長の秘書。ヨシルの同期。 見た目は若い。 なんといっても賢く要領がいい。


レジン・ナナイント (55)

教官長。 吸血鬼の血を引く。 レシオンに振り回された過去がある。

頑固だが、意外とリクを気遣う。(ネタバレ)

担当科目は魔学、対人、対物、作法。


ダトン・ルイスイス (31)

通称デブDT。 紫色の髪。 ちゃんと強いです。 担当科目は対人、対物。


イパル・チーロンド (25)

魔人。 黄緑髪。 ショタ。 生徒からよく舐められる。 担当科目は生物学、薬学、工作。


ルビン・ムチヨン (24)

魔人。 金髪。 金持ち。ちゃんと強い。 口数は少ないが、バカ親。三つ子を際限なく愛す。

担当科目は地政学、作法、対物。

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