宙色の みじめな思いはミゼラブル
どうも、コーフィー・ブラウンです。
花粉がやばいです。
どうぞお楽しみ下さい。
キャラクター紹介
リク・レシオン (24) 今作品の主人公。
地球という星から 異世界に召喚された成人女性。
地球では、ある新興ネットメディア社でファッションニュースを担当していたただの会社員だったため、いきなりの新天地に戸惑いながらも日々を過ごす。
魔界(魔王領)では副社長という重役に就きながらも、教場(学校)で教官(教員)を続けている。
ユキノ・フリザレス (?)
副社長リクの部下(秘書)。
ラミア・ハルコミューラ (9)
「サタン」を宿す悪魔憑きの少女。 黒い髪と目をしている。悪魔が表立ったときの角は黒に赤紫の筋が映える。 教場に下級生として通っている。 家は教官用の寮。
ダトン・ルイスイス (31) 魔人。
リクの教場での同僚。 担当科目は対人、対物。
イパル・チーロンド (25) 魔人。
リクと同じ教官。 担当科目は生物学、薬学、工作。
マリス・カンカル (43) クマの獣人。
夫と共に寮を運営。 ヨシル(リクの上司)と強いつながりがあり、ここ近年の教官さぼり件数は驚異の0。
キーンコーンカーンコーンー・・・
「じゃあ、今日はここをもう一度・・」
ながい教官の制服の袖をめくりあげてチョークを持ち、リズムよく音を鳴らしながら黒板に図と文章を書いていくリク。
ここ、教場では同じ内容を一年間、繰り返し教える。それがたとえ寝ていても分かるようなものでも、年末には到底解けないような次元にまで跳ね上がったとしても。
今は最後の時限である5時間目。外は夕陽が中々にきれいだ。
「ほらっ!みんな!明日は休日でしょ!」 パチン!と手を叩く。
ほとんどの生徒が姿勢を持ち直したのを確認して、リクはまた黒板に向き直る。
「じゃあ、③の答えは?」 リクの眼に少しうっすらと陣が浮かぶ。 「クランさん。」
「はい。16です。」 「うん。バッチリだね」
この私、中級生のアリカ・サーズは知っている。リク先生は時々、鑑定を生徒にかけて名前を呼んでいる。
だって前、ダトン先生に魔法の妨害を聞いて使ってみたらリク先生は見事に慌てて帳簿を見たんだもん。
「アリカさーん?」 「ふぁっ、はい!」 「⑤を答えてね」
リク先生はまるでその時の仕返しといった目つきだ。
「あっ・・え~と・・・に、27ですっ」 恥ずかしそうにしながら言う生徒。
「はい。正解だよ~」 教壇より高いところから見る彼女の瞳は、私を含めたみんなと違って、真っ暗。
でも、それに対して彼女への教場の評価はかなり高い。むしろ親の実権に屈しなかった教官として一時期、英雄のようでさえあった。
なのにあいつは、ずっと何もなかったように普段通りにノコノコと入って来て・・
頬杖をついた体制を右へ崩しながらじっとりと見つめる。
この前だって授業を終えた直後に、営業第一課の方たちとどこかへ行ってたらしいし。
一体何者なの? どうして誰も気にしてないの?
ボソッ 「人間のくせにっ・・」
夕方、一日を終え教場を出て進んでいくリク。
その姿はいつものように魔王城から出て寮に向かわず、主塔へ入っていった。
右方に居るウォンバットの獣人と、左方のタイリクオオカミの獣人が、一礼して扉を静かに開く。
(ここを顔認証システムのセキュリティドアにしたら、ここの兵士たちは異動になっちゃうのかな・・)
そう思って気持ち程度の会釈をして、進むと、
「主、レシオン様。 ご無沙汰しております。私はあなた達の直系の部下、ユキノ・フリザレスと申します。」
フワァッ その時、どこからだろう。
陽光なんて一切届かないはずの夜の魔界なのに、彼女の髪色は、白という一色から青と金色の二色が輝いた。
「きれえっ・・・」 そういうと、彼女はまるで心象の的を射抜かれたように、驚いて、でも、むっ、という顔をして。
「親子というのはそんなところまで似てしまうのですね。」 「えっ」
そうか。彼女たちからすると、私は父の面をした、副社長の器には分相応すぎる似非野郎なんだろう。
「っでも、私たちは、これからしばらくはこの関係が続くんだろうし、言わせて。
私からすれば、貴方たちが勝手に切望している理想像なんてどうでもいいの。
そりゃあ、手を抜くとか、そんなのは違うと思ってるけど。
貴方たちのそばを離れたときの幼い私は、副社長で、英雄の娘なんでしょ?」
それを聞いた彼女は驚いた様子で、全身で疑問を示す。
「それは・・どうっ・・?」
リクは一歩、二歩、歩み寄ってから、目線を外して。
「たぶんっていうかきっと、いや、絶対私は醜態(だっさい姿)さらすだろうけど、
絶対に貴方たちだけは信じるから、それでも私を信じててっていうことですっ・・!」
すると、彼女の髪色は金色、その先に陽の色がかすかに嬰った。
あ、溶けてく・・・
「やっぱり、・・似てないわ。あなた達。」
小さく笑った彼女は暖かい春を名残惜しそうに見る残雪のようだった。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
新しいおうち・・・
鉄道の高架下にある、砂利と木くずでいっぱいの山の裏。
夕方、誰かが回収して行って一帯が丸裸になってからは、どうしてたんだっけ。
ドアの前に立って、右手をのばしてドアノブに触れる。
「うぅ~・・・」
凍えるような冷たい風が、彼女の身体を震わせ、縮こまらせる。
寒いと感じる感覚とは裏腹に手がドアノブから離れる。
はあっ・・・どうしてこう・・
「どうしたんでふ?」 ビクッ
「ラミア君。中に入らないのでふか?」
「ダトンせんせっ・・」
彼の両耳のすぐ上から、先までねじれたツノが。
どうしても、見てしまう。
少女は急いで中に入り、寮母さんの視界に入る前に部屋に入った。
「あら、ダトン先生。お帰りなさい。」
「マリスさん。ラミア君はもう部屋に?」
クマの魔人はその大きな図体を出し見回しながら、
「ええ、いないわね。 さっき会ったの?」
「ふむ・・、玄関の前で立ち止まったままだったから、話しかけたら逃げられてしまったんだ。
まあ、こちらも親しみを強要するつもりは無いし、引き取り手が見つかれば彼女はここから出ていけるだろうから、気に掛ける必要は無いとは思うが・・」
「そうね。ただ、唯一気を許していたリクが最近、遅くに帰ってきてばっかだから。
・・学校に友達はいるみたいだし、あとは私たちの問題なのかしらねぇ・・」
「リク君は副社長という責務と、教官があってもう、どう考えてもしんどそうすぎる!
せめて教場の方はもう少し、軽くしないと・・」
カチャッ 「ん?」 ダトンの上着の右ポケットから小さい銀色の器。
「そうだ、マリスさん。
イパル(リク、ダトンと同じ教官の一人。)からこの薬を預かっていたんだった。」
「ああ、リク専用の生薬粉ね。 食後の茶に溶かして飲ませるの。」
「ほう・・イパルめ、私の稽古には付き合ってくれんのに」
~・~・~・~・~・~・~・~・~
あの火山に棲む竜に氷を届けると、町は千年安泰になる。
そんな言い伝えがある僕の村には今、大量のトラックという不思議な鉄の塊が火山の黒い岩石を大量に積んで停められている。
「おうい!泥団子! あんまりそっちには行くなよ!」
「うるせー! わーってるよ!」
少年は両肩にトラックが立ち並んだ道を、
タッタッと駆けて行く。
「うるせーだとっ!」
「ハハハ! ゴース先輩、すっかり舐められてますね。」
「あのくそガキめ・・・」
そう愚痴を漏らしながら、用具を軽トラックに乗せる。
長身の男はの様子を見て、ため息をつき、
「先輩、息子さんいたんでしたっけ?」
「んあ? いるよ。
っていうか孫までいる。」
「ええ!?まだ40いってないですよね!?」
「ガハハ! そういえば息子が嫁さん引っ提げて来た時ゃ、叱ったもんだ。」
「それ息子さんがいくつの時だったんですか」
「あいつあの時、16くらいだったか。
そういや言い返されたな。
『親父とちょっとしか変わんねーじゃんか』って」
「僕なんてもう25なのに…」
「それはまあ、ごしゅうsy・・」
ドガアアアアアンー!
轟音、そして大地の揺れ。
地中から、何かが生まれたような。
「噴、火・・か・・?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・
「先輩!逃げましょう!」
「よ、よし! 山から離れるぞ!」
良かった。
これが掘削作業期間中なら、大惨事だったな。
幸いこの近辺には、俺ら以外いな、
走っていく少年の後ろ姿。
「ダカ!」
長身の男が振り返ると立ち止まっている男。
「これ付けて、とっとと麓の町まで行け!」
ヘルメットが投げられてくる。
カチャン
「せ、先輩は?」
「また後でな」
彼はさっき積んだ用具箱からヘルメットを二つ取って、山道をダッダッと走って行った。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
そこは、まだ陽が落ちていない夕方だというのに、どでかい窓から差し込む光が月のように感じれる場。
「魔王様、魔界、あるいは魔王領の南方に位置する火山群にて、あの災害が目覚めた模様です。」
玉座に深く座り込んでいる男は、眉を傾けてその報告を味わうように黙り込む。
「今、レシオンの娘の守護体の数はいくつだ?」
「7体かと・・」
「まだ、か・・・」
男はまた少し考え、
立ち上がる。
すると彼の目線はグンと高くなり、部下の魔人もその姿に息をのむ。
「第二課に任務を課す。 今すぐに副社長、リク・レシオンを引き連れ、ダンジョン『深淵の底』に向かってあの蛇と契約を結ばせろ。」
「はっ! 承知いたしました!」
男はそそくさと礼をし、振り返り逃げ去ろうと門に近づくと、
「おい、あの娘にこうも伝えておけ。
契約できない限り、帰ってくるなとな。」
本作品を読んで頂きありがとうございます。
なんと!
この「私の墓場は魔界か否か 〜親の遺産で悪役の世を生きてやる~(旧)」は今回でエピソード50に達することができました!
主人公リク・レシオンの成長が全く見て取れない所ではありますが、
これからもできれば、応援お願いいたします。
より一層頑張ります!




