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頂で 身に染みるのは 悔いと霧

どうも、コーフィーブラウンです。


どうか楽しんでください。

「ラセーヌ団長!」 ガバッ テントをめくって青年が現れた。

「なんだ。そんなに急いで、通信機で言えばいいだろ。」

「いえ・・それが、我がキリング帝国の盟友、ワジ=カヴァン帝国の南西部の町、キッチャムが魔王軍に占領されたようで、ここの戦線から撤退したいと。」

「キッチャム・・南西地方への物流の一大拠点か。」

うつむいた団長の長い茶髪の前髪が眼を隠す。

「佐長は?」 「やむを得なしと・・」 

「仕方ない。ワジ=カヴァンはこの対魔戦線のコア。・・それにさっき経験稼ぎに出撃させた勇者がやられたと報告があった。」

「えっ!?あの”死の葡萄酒デスワイン”が!?」

「まあ・・あいつは性格に難ありだったからな、まあいい。勇者の補充をまた頼んでおこう。

ただ、そのためにももう少し戦績が必要だ。深追いはするな。そうだな・・この辺りまでだ。」

地図に線を引く。

「それまでは徹底的に潰せ。人類の未来のためにな。」 「はっ!」


「エル~、エル~」 モフモフで大きなフェンリルの背中に、幸せそうに埋もれる吸血鬼ルナ。

「はあ、せっかく主様に呼ばれたのに、まさかあなたと一緒になるとは・・」


「おーい!ほんとにいるんだろうな!」 黒い騎士が大声で叫びながら歩む。

ー馬鹿が。主の命に逆らうわけなかろう、戦場でわめくな。ー

前を進むペガサスは振り返らずにそう伝心した。

「まあ居るなら、まあいいんだよ。」


「ユズリハ。先日、お前が持ってきた茶というもの、ずいぶん良かったからな。私も同じようなものをつくってみたのだ。」

小さなガラスビンをくわえて渡す鹿。

「なんだ? こりゃ枯れてるではないか。」 「干したのさ。私のエリアで作ったハーブのラベンダーだからね、湯は多くしないと濃いから気をつけな。」

「ありがたい。」 ビュウン! ユズリハの近くを太い緑の枝が通ると、岩陰に潜んでいた敵兵を突き刺して、また、地面に戻っていった。

「にしても新しいわね。二人組とは。」


「主、そこは危ないからもっと壁によってください。」 狭く険しい山道を歩むリクとマミーロードのカンナハルト、そしてオルトがカビラに肩を貸しながら進む一行。

「先生、いいんですか?まだみんな戦ってるのに。」 カビラが聞く。

ちらりと振り返るリク。 カビラ、オルトの眼は完全に血走っていた。

言葉遣いは普段と変わらないが、息も微妙に違う。 ここはあえて、

「私たちは部外者。死にたいのなら、卒業してからにして。」

驚いた様子の二人。

「・・お、怒ってんじゃん。」 「やっぱ起こさなかったから・・」

コショコショとする二人を怪訝そうに見るカンナハルト。

が、何かに気づいて、「主、このまま進めばアルファに会える。」 「ほんと!?」

「ああ、まあどうやら不機嫌なようだ。」 「あ、そう?」 少し焦るリク。

「い、生きてりゃいいじゃん・・」 ぶつぶつ言いながら装備の内のタンクトップを整えながら、山道を進む。

またカンナハルトは、コショコショとするリクを怪訝そうに見る。


その時、パ~パ~パ~パパ~♪

バンドネオンの音・・・確か交戦中のこれはっ

「撤退の号令だ。」 いつの間にか向かいにいた、年の割にはいかつい肉体と眼力をもつ、アルファ・ラードン。

元経理部部長、一線を退いた身で何かと有り余った権力と老後の時間でリクに関わる老人。

「レシオンの子。さっさとこの山を越えるぞ。下の仲間たち(魔人・魔物)に踏み殺されるぞ。」

あれ、意外と怒ってない?

いそいそとアルファの前を通って先を急ぐ。

カンナハルトがリクに続こうとするのを制止する。

「生徒をちゃんと守らんかっ!」 バシッ!

リクの後頭部をバシッとはたいた拍子に、リクは前に吹っ飛んで折り返し山道の先、目を開くとそこは絶壁。

「ぉ、鬼ぃ!」 振り返ると、四本腕が生えた、カ〇リキーのようなアルファ。

お、鬼だ・・ ダッシュで山道を駆けてゆく。

「アルファ。許してやってくれ。それにあの人間どもの攻撃、不覚だったそっちの責任だろう?」

生徒を先に行かせた後に、しっかり言及する部下の鑑、カンナハルトだ。

「・・・だから気長に待てと?それこそ今回で分かっただろう。奴らとやるにはあの攻撃をどうにかせにゃならん。分厚い盾でも用意するか、それ以上の距離をとるか。あいつにはやってもらわなければならんもの、解決してもらわなければいけない事、早く超えてほしい壁があるんだ。

お前ら十二分体もとっとと契約させたい。」

「・・だいぶ無茶なもんだ。」


山のピークを超えていざ、ふもとまで下っていくときに振り返るリク。

たった数発のロケットミサイルはいったいどれだけ遠くから発射したのだろう。

前の世界では一万キロを超えるものがあるのは知っているけど。

遠くの麓にみえる人間の拠点に、そのような発射台は見えない。

怖い。すごく怖い。

本来こういうのは、別世界の常識で無双するはずなのに。


前世がファッション雑誌サイトの編集社員の私って、負け確かも・・

本作品を読んでいただきありがとうございます。


次回も応援お願いします。

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