戦争は、嫌いだ。
どうも、コーフィーブラウンです。
どうか楽しんでください。
思い出そう。 あれは昼の食事を用意している時だった。
いや、実際にご飯を食べていたかも。
ぼーっとしているリクの周りを、
敵を凍らせる、マミーロードのカンナハルト。
死体の山の上に一輪の白い花を咲かせる、セージ(すごい鹿)のクルミ。
押しつぶされた死体が宙を舞う中進む、ペガサスのステラ。
裂いたオークの死体から出る血をコウモリに分け与える、ヴァンパイアのルナ。
斬り捨てる、スカルのユズリハ。
車両をかみ砕く、フェンリルのエルビス。
そして・・
「主。いつまでそうやって戦場で突っ立ってるつもりなんだ?」
大きな黒い騎士がふてくされながらリクに問う。
「ダイス・・そっちの敵は?」
「ある程度暴れて、脅したら別の方に向かっていった。」
「・・だめだよ。ここで仕留めないと、周りが大変になっちゃうから。」
どう考えても、この主人公は異常だ。
「主。今回の目的は勝つことじゃなくて、ガキどもを守ることだろ?」
ハッ
そうだ。「ねえッ!ユズリッ・・!」
「来客です。」
クルミのそばに、一人の男。
「副社長。突然の訪問、ご許しを。」
真っ黒なコートに、黒い立派なスーツ。それに戦場なのに革靴・・・
前の世界でもこんなに律義な格好は珍しいのに。
「私は営業部第五課課長、ルギン・ワザモニルと申します。今になってこうして挨拶することになってしまい申し上げございません。」
深々とした礼儀。 さすがに堅すぎないか?
「あ、こ、こちらこそ参戦の許可をありがとうございます。」
「まあ、一目見れたのでこの場での、当面の目標は達されました。
レシオン様。今から我々はこの場を捨て、山の麓にある拠点まで退却します。教場の生徒たちと先に山を下りていって貰って構いませんので。」
「えあっ、・・私たちもっ」
「いやいや、そこまで気負われなくても。
今回のあなたはあくまで人事課の一員として参加されただけ。
しかも、一応敗戦とはなりますが、今回新たに向こうが導入してきた飛ぶ驚異的な爆弾。」
「あれっ!ミサイルです!」 思わず口に出すリク。
「ミサイル・・ですか?」 ポカンとするルギン。
「はいっ!ここにはあるはずないっ!・・・も、の、です。」
見回すと、ボロボロになった拠点。
もう日暮れか。闇夜になればもっとあの二人を見つけ出すのが難しくなる。
「そうですか。ただ、そのかなりの量の残骸をサンプルとして持ち帰れます。今回は次戦への情報収集のためだったと思えば被害もまだ軽いもんです。」
あまりにも軽く言う姿にリクは少し引きながらも、
「分かりました。生徒をすぐに探したいので、失礼します。」
離れていくリクに、また礼をする男。
そのリクの後をついていく従属たち。
「私、あいつ嫌いなんだーっ」
ぱたぱたと飛びながらルナがリクの近くでつぶやいた。
「なんで?」 「リクは知んないかもだけどさ、あいつコープの弟子なの。」
父さんの!? 「その頃から、なーんでもコープのマネばっかして、服とか、言葉遣いとか。」
「あー、それで。」 私が転送される前の世界には似つかない時代遅れな真面目さが感じれた。
じゃあ、あの人に聞けば父さんについておしえてくれるのかな。 それも詳しく。
「リク。あなたユズリハに生徒の居場所を聞かないと。」 とクルミ。
「あ!そうだ!ユズリハ!分かる?」
「・・・だめだ。おれの気配察知は個人の特定に向いてない。」
「じゃあ、みんなに二人の情報を共有するから、頼んだよ!」
そう言いながら、いまさらになって焦りだしたリクは走っていく。
さっそくルナ、ステラは飛び去って、クルミは崖を駆けていく。
「おい、ダイス。気づいてるよな?」 ユズリハが問う。
「勇者か?それもかなり仕上がっている。」
「主の情報では二人。もう一人もこれほどなら主を一人で行かせるのは危険だし、我々で倒せるようなものではない。」 黙る二人。
「カンナハルト。お前には悪いがここら一帯の地形を教えてほしい。」とエルビス。
「・・・これだ。エルビス。あの山、我が造った山の幻影だ。もしもの時は使っても構わん。」
「悪いな。何から何まで。」 シュン 消えるフェンリル。
それからマミーロードは、
「ダイス、ユズリハ。この石を持ってけ。助太刀は気に食わんだろ?」
反射によって何色にも光る、石。
「お前にしちゃ太っ腹じゃないか。」「かたじけない。」
一人残ったマミーロード。
「死なすものか。あんなのでも、血を引き継いだ主だ。」
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キャラクター紹介!
ルギン・ワザモニル (45)
営業部第五課課長。
主に銀の髪色、青紫の一筋のねじれ髪が特徴で、金色の角。
コウモリの魔人。 主人公の父、コープ・レシオンの弟子。 良い歳のとり方をした。
聡明、冷静、取捨選択がかなり一流。




