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爆風が 吹き抜けるは 青い空

どうも、コーフィーブラウンです。

どうか楽しんでください

「先生っ、これでいい?」

一緒に戦場に来ている生徒の一人、カビラ・メイナードが皮が少し残ったジャガイモが数個入ったボールを手渡す。

「これじゃあだめだよ。ほら、こことか。」 「ちぇーっ。」

ここに来てから二週間もたった。

ずっと長い間一緒にいるから関係性は強くなった気はするけど、これは遠足じゃないんだよね・・。

「先生、お湯の準備できたよ。」 もう一人の生徒、現魔王の次男、カリフ・エラ・オルト。

「ありがとう。カビラ君、どう?」 「これでいいんでしょ。」 綺麗に剥けたジャガイモ。

「出来んじゃん。じゃ、外で湯がいてくるから。行こ。オルト君。」

「いぇーい・・でも、暇なんだよなー。」とつぶやくメイナード。

「じゃあちょっと配給処に行ってくる。ジャガイモ茹でといて。」 「はい。」

ここから数分歩いてたくさんのテントを抜けた先に、少し開けた中心にあるプレハブ小屋。

そこをくぐると、牛頭、鶏頭、羊頭、山羊頭などなど多くの魔人がそれぞれ作業していた。

「おう、リクちゃん。今日は何だい?」

料理帽をかぶった熊の魔人が大きなカニを手に近寄る。

「クマンさん。バターが切れちゃって。」 「おーけー。これぐらいでいいかい?」

まだ綺麗なクズ紙で巻かれたバターを受け取って、来た道を帰る。

「おうい~!ねえちゃーん!」

帰りしなの途中で、完全に酔いつぶれたような魔人の男が一人、呼び止めてきた。

うえっ 口臭っ 少し遠ざかるリク。

「今、まだ12時ですよ?」

なれなれしく近づいてきた魔人は腕を無理やり組んできて、

「そうなんだよ~、うらやましいだろ?うちんとこにまだあるだろうからさあ、いこうぜ~」

肩にかかった腕に力が入ったのが分かった。

「すみません。まだやることあるので。」

振りほどいて歩き出すリクの肩を掴もうと腕を伸ばした魔人の頭に、ガシッ

「うあえっ!?」 手がどんどん女性から離れていくどころか地面からも。

「あれっ、アルファ!?」

「お前んとこのガキが腹減ったって言ってたぞ。」

「ちょっと~下ろして~」ドサッ

「せっかく頑張ったからお前らに酒あげたんだぞ。取り上げられたいか?」

「いやあ~、そ、それだけは~・・」 よろよろと歩き去る。

「ここらの男どもは皆血気盛んだから、気をつけろよ。」

「大丈夫でしょ。こんな真っ昼間に・・」恥ずかしそうに背を向けるリク。 「そうか?」

手を伸ばしたアルファの指の先に魔法陣。

火魔法 ーフレアレオパルドー

流線型の炎がテントの裏に降り注ぐと、悲鳴と共に魔人が倒れ出てきた。

「もう行きますっ!」 走り出すリク。

「ちょっとビビらせすぎたか・?」

「あっ先生。今、アルファさんが。」

グツグツとした熱水の中、ジャガイモが茹で上がっている。

「うん。さっき会ったよ。」 少し口ごもってしまうリク。

「何話してたんだー?やっと突撃すんの?」

「ま、まあそんな感じかなー・・」

「ってか昨日の訓練、先生やばかったよな~」

「植物魔法の高級でしょ。先生って植物が適正なんですか?」

茹で上がったジャガイモをマッシュしていたリクは手を止めて、

「いやーそんなことないんだけど。まあねー」 それを聞いて感心するオルト。

まあ、眷属に魔法使わせてもらっただけなんだけど。

「ほんとかなー?先生、人間じゃん。(メイナード)」 ギクッ

「よし、オルト君。牛乳とバター入れて。」 「はい。」

とぽぽぽっ ぽちゃん それに塩コショウを振りかけて、混ぜると、

「マッシュポテト完成!」 「まじ!いえーい」 

ボウルをもってテントに入ると、パンと缶詰とコーン、全てがずらりと並んでいた。

「結構おなか空いてたんだね・・」

そうつぶやきながら中心にボウルを置くと、

「いただきまーす!」 と二人はすぐに食べ始めた。

「ポテトは夕食の分も残しといてね!」


「全隊、用意完了しました。」

「よし、発射。」 「へ?も、もうですか?」

「ああ。発射。」 「う、お、お願いします。」

その声を聴いた男。粗末な小屋に似合わない巨大な機械システムが設置された部屋。

「り、了解。」 その部屋にいる数人の男たちがお互いに見合わせてゆっくりとボタンに手を伸ばす。

中々押そうとしない。

「い、行きます!」 カチッ

ゴゴゴゴゴゴゴ・・

かすかにそのハイテクな部屋が揺れる。

それは300km離れた原野に。

4台の発射機は載せたミサイルを飛ばそうと完全に起立させて、ゴゴゴゴゴゴゴォ・・・

一斉にオレンジの煙が噴き上がり、ズオオオオォ・・

あっという間に放たれたミサイル4発はまるで互いが示し合わせたかのように、軌道を描いていく。

「魔物どもには悪いが・・」

ヒュルルルグググゴゴゴオン・・チュドドドドオオオン!


一線に並ぶ魔王軍の基地にちょうど均等間隔で4発がぶち込まれた。


テントの中で、寝ているリク。

「・・んっ、うくっ、はあっ!」 起き上がる。 ワーッ ワーッ

あれ?オルト君?カビラ君?

それよりっ! ガバッ 外が騒がしい。

駆け寄って、屈みながら外をのぞくと、昼のはずなのに曇っていてかなり暗い。

タアン! タアン! 近い。魔物はもとより魔人も銃は使わない。

敵だ。 すぐに装備と剣を・・

「動くな!・・あれ?人間?」 ピタっ

装備の反射で影が見える。

そしておそらく敵の装備だろう。 ライトで自分の頭部が照らされている。

どうしよ・・ 「同士!魔物どもに命を脅かされて従軍させられているのだろう!もう大丈夫だから!早く逃げて!」

ああ、きっとこの人はとっても強くて優しいヒトなんだ。

私は、どんなヒトなんだろう。

気になるけど。

おねがい。

「承った。」 

リクの背中からじんわりと現れる。

兵士のもつ小銃の先から、腕、胸、首。

その間に無数の傷。 ドサッ キンッ 刀を収める侍。

彼は一度もリクを見ずに、

「主、なぜ泣く。ここから先は、長いはずだ。」


リクは震える手で角のついた兜をかぶった。

本作品を読んでいただきありがとうございます。


次回も応援お願いします。

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