本当の幸せなのか、東京よ
ここは日本。の電車の中。
あ、あまり声は出さないで、そういうルールなの。
「はあー。」前で立っているサラリーマンがため息をついた。
またか。今日で五人はいた。この国の日常風景だ。
解放死なんて言葉が流行するくらい。
別にみんな死にたいほどつらい訳じゃない、娯楽もどんどん進化していく。
でも、あまりの危機感の無さに、様変わりしないサイクルに、皆あきれている。
一昔前には”転生”というジャンルが流行して随分と異世界に憧れを抱くやつがいたな。
私も親から隠れて楽しかったな。
ボロボロになった本やノート、データの消去画面。
「馬鹿馬鹿しい」
そうつぶやき、スマホをいじっているとある新作ゲームの広告が流れる。
この会社はいわゆるVRMMOなんていうものを創り出した、今ではこの国一番の企業。
父さんはいつも嫌ってたな。
プシューッ 干渉型バーチャルで作られた扉が開き、
「ふうっ」降りる。 ピロリン ー決済完了、ご乗車ありがとうございます。ー
少し歩いて、門をくぐるとー健康のために階段はいかがでしょうかー
「いや、今日は疲れた。」ピコン 承知いたしました。
シュン 出てきたエスカレータに乗ってあっという間にいつもの扉にカギを挿す。
「はあー」こんな毎日だ。
ーおかえりなさい。リク様ー 「ただいまー」
ー一件通知があります。ー 「今日は一件だけか、珍しいな」
ーコープ・レシオンの子、リクよ。ー 「ん?」聞きなじみのない声。おっさんだ。
ー私は魔王。そなたに話がある。面と向かって話がしたい。返事をくれ、ではな。ー
「は?誰?」 ー差出人は魔王です。ー
「そんな奴知らないんだけど。」どこの厨二だよ。
「そいつに返信送るわ」ーピコン、了解しました。ー フォーン
「おい。どなたか知りませんが今度そんなしょうもないもの送ってきたときは分かってんでしょうね。」
そのあともブツブツ言いながら部屋着に着替えて、
晩ご飯のサラダを作り終わって机に置き、クッションに座り込む。
「はーっ、疲れっ、わあああっ!」 まるでクッションがダークホールのように周辺を闇に引きずりこんだ。