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オープニング Act.3

 子供の頃から、漫画やアニメの主人公に憧れていた。


 強くて。かっこよくて。

 どんな強敵にも果敢に立ち向かって、仲間のピンチに颯爽と現れて。


 熱くて。勇気があって。

 どんなに辛くても、文句も言わず泣き言も言わず。


 頼もしくて。優しくて。

 鍛えた必殺技で敵を倒し、見事に問題を解決して見せる。 


 そんな最高で最強の主人公に……。


 だけど、

 なんてこった。


 俺は主人公ではなかった。この世界では、単なる脇役に過ぎなかったのだ。

 

 俺は強くない。かっこ良くもない。ヤバそうな奴が現れたら慌てて身を隠す。何かに夢中になったり、熱くなることもない。いつだって何処か醒めた目で、物事を斜めに見る癖がついちまってる。仲間のピンチに駆けつけることもない。そもそも友達がいないからだ。


 平気で嘘も付く。毎日ネット上で、誰彼構わず愚痴を垂れ流しては、上手く行かないことを社会のせいにしている。俺は悪くない。悪いのは社会の方だ。世の中間違ってる。そうだろう? 自分を鍛えたり、学んだりする? ない。理由は一つ。面倒だから。


 あー面倒臭え。死にたい。生きてる理由なんかない。毎日定期的に死にたくなるけれど、でも痛いのはごめんだ。辛いわー。辛い。問題は、解決どころか、さらに複雑になって日々増殖するばかりだ。必殺技は、とんずら。それが俺だ。ダラダラと意味もなく、人生を怠惰に消費する、最低で最悪の少年Aであった。


 でも……何処かでまだ、俺は自分を諦め切れないでいた。

 こんなダメな俺でもまだ、昔憧れた主人公のように、活躍できないだろうか?


 何処かに敵がいないかな。宇宙から強大な敵が攻めてくれば良いのに。

 そしたら、俺が本当は強くて、勇敢なところも見せられるのに。


 戦争でも起きねえかな。第三次世界大戦が起きれば良いのに。

 そしたら、俺が敵を全員ブッ殺して、英雄になってやる。


 大体なんだよ異世界転生って。ムカつくんだよ。人の世界にズカズカ入り込んできてデカい顔しやがって。侵略者じゃねえか。みんな死ねば良いのに。あいつらのせいだ。主役の奴らが、俺の世界に集まってくるから、俺が脇に追いやられるんだ。


 やっぱり悪いのは俺じゃない。俺が活躍できないのは世界のせいだ。


 あーあ、全部ぶっ壊してえなあ。何かそういう、魔法みたいな道具、ねえかなあ……。

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