表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/31

休憩

 Regalia(レガリア)とは......王族や君主が纏った指環や王冠などの宝飾品。

 Crown Jewel(クラウンジュエル)とも呼ばれる。


 宝石は昔から人々の間で、守護や魔法の力を秘めていると信じられてきた。また歴代の王たちがその時代その時代で、国の威信をかけ、最高峰の美術品を作らせて権力を誇示してきた。豪奢の限りを尽くされたそれらは、指環や王冠だけに留まらず、エメラルドの宝刀に王笏、宝珠、福音書、懐中時計......など多岐に渡る。


 Regaliaは代々一族に受け継がれたり、革命後に破棄され呪われたり、魔力を持つなどと言われたり、数奇な運命を送ってきた......今回はそんな珍しい王族のたちのRegaliaの一部をご紹介する。



❶ マリー・アントワネットの首飾り


 国王ルイ15世は、愛人のためにダイヤモンド540個を使用したネックレスを作らせるが、何と完成前に急逝してしまった。


 困った宝石職人はこの160万ルーブル(約192億円)のネックレス を、次の王の妃アントワネットに売り込もうとする。しかしあまりにも高額なのと、愛人の贈り物というお下がりがお気に召さなかったアントワネットはこれを拒否。


 そこで詐欺師と一計を案じ、彼女の側近に押し付けて大金を騙し取る。


 これに気づいたアントワネットは激怒。詐欺師は投獄され、側近は左遷されたが、むしろ民衆は犯人に同情的で、王族の贅沢な暮らしに反感を強めてしまう。のちのフランス革命の原因の一つとも言われる事件になった。


❷ ホープ・ダイヤモンド


 持ち主に不幸をもたらすと言われる、実に45.2カラットもある呪いの宝石。

 このダイヤに魅せられたルイ15世は天然痘に倒れ、アントワネットはかの有名なギロチンで処刑され、やがて銀行家のヘンリー・ホープの手に渡った。


だが彼もまた破産し、さらに所有者は交通事故、肺炎、オーバードーズ、敵兵に腕ごと切り落とされる、野犬に食い殺される、発狂して自殺、喉に肉を詰まらせて死亡......などなど(ほとんど は都市伝説ではあるものの)次々と不幸な死に方をしているのだとか。現在はアメリカのスミソニアン国立自然史博物館に保存されている。


 ちなみにダイヤモンドの語源はギリシャ語のadamas(アダマス)で、「打ち勝ちがたい」「征服されざる」......といった意味である。


❸ アングレーム公爵夫人のティアラ


アングレーム公爵夫人とは、ルイ16世とマリー・アントワネットの娘マリー・テレーズのことである。しかしご存じフランス革命が起き、13歳で投獄され、両親は処刑されてしまう。


 弟とも引き離され、1人幽閉生活を送っていた彼女は、人と話すことがなく言語障害を患うことに。母親の処刑を知らされたのも約2年後だった。やがて捕虜と引き換えにウィーンに送られ、生きるために宝石を売り捌きながら、片田舎を転々と暮らした。


余談だが、彼女が17歳の時、47歳のあのピカソと男女の関係を持ち始めた。もちろん(?)ピ カソは不倫だった。ピカソの絵にはテレーズがモデルになった作品がたくさんある。


 ある日、制作中のあの『ゲルニカ』の前でテレーズと新たな愛人がばったり遭遇。


 ピカソは2人に詰め寄られ「どちらかに決めるつもりはない。闘え」と宣ったのだとか。絵の具や絵筆が飛び交うアトリエで大喧嘩する2人を見て、ピカソは大変満足げであった。さらに彼はその時の愛人をモデルにして『泣く女』 という傑作を発表。のちにこの愛人は「『ゲルニカ』は私と彼との共作よ」、とジョークを飛ばしている。


余談終わり。実に奇妙な人生を送っていたテレーズだったが、何の因果かその後ナポレオンが没落。35歳の時にまさかの王政復古を遂げる。その際に贈られたこのティアラは、エメラルド40個、ダイヤモンドが何と1031個も使用された大変豪華なものだった。そんな贅沢をして、また大衆が怒らないといいが......。


❹ヨルバ族の王冠


 フランスばっかりになってしまったので他の地域からも一つ。ヨルバ族はナイジェリア南西部に住む西アフリカ最大の民族の一つである。


 ヨルバの王族の間では、ビーズが代々権威の象徴であった。この王冠が奇妙なのは、気になる方 は後で検索するなり調べるなりしてもらいたいが、何と顔が付いており、冠というよりは仮面のようである。さらにその顔の周りを、小鳥たちが優雅に飛んでいる。


 この部族の間では人々が王の頭部を直接見ることが禁じられているため、ヴェールが付いていて、正面に飾られた顔は初代オドゥドゥワ王を表しているのだとか。恐らく「顔」というのがこの一族にとって神聖なものであり、たくさんの頭像が発掘されている。


 〜余談〜


 Crown Jewelは、今日(こんにち)の経済学では敵対的買収への対抗策の意味もあるらしい。これは

『ターゲットにされた企業が、収益性の高い価値のある事業分野を第三者に売却するなどして、わざと自社の魅力を低下させる行動』

である。


 狙われている王冠から宝石を取り外して価値を下げ、買収者の意欲を削ぐ戦法。ちなみに『焦土作戦』とも呼ばれる。こちらは自分の領土内の家屋や田畑などを全て焼き払い、敵軍に利用価値のあるものを一切残さない……と言ったイメージ。ちょっとかっこいい。こういうビジネス用語なら使ってみたい。いやぁ、昨日思い切って俺もCrown Jewelしちゃったよ。来週焦土作戦があるから、よろしく。みたいな。かつてこれほど無駄な余談があっただろうか。引き延ばすためでは、断じてない。余談終わり。


❺ シャム国王の冠


 今度はアジアから、もう一つ面白い王冠を紹介。 見た目は ピラミッドというか、アンテナというか、カラーコーンというか......この王冠は何だか縦に長い。 


 シャム王国は現在のタイの前身である。


タイのRegaliaは5種の神器と呼ばれ、王冠、短剣、短い杖、扇子と払子(毛ばたきみたいな奴)、そしてスリッパ(!)からなる。エナメルを塗られた金色のスリッパで、ダイヤモンドが嵌 め込まれている。



 他にもブータンのワタリガラスの王冠(天辺に鳥の頭が付いている)だとか、何だか猫耳みたいなものが付いたベトナムの翼善冠だとか、頭上に太陽が輝く日本の宝冠だとか、アジア系の冠はどれも縦に長い気がする。上にどんどん積み重ねて行く文化なのだろうか? 知らんけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ