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24.剣のイメージ

 わたしが調合を終え、グレン様のところに戻ると、グレン様はすでに手紙を読み終えたあとだった。今は本を読んでいるようだ。

 ――まぁ、手紙を読むだけならそんなに時間はかからないわよね。読書、する人なんだ……。


「お待たせしましたか?」

「いや、大丈夫だ」

「それで、第三王子殿下からのお返事は?」

「あぁ、やはりぜひエルザ嬢に頼みたい。条件は全て飲む、とのことだ」

「そうですか。では、契約書を用意しましょう。どんな剣にするかは明日、話し合うでも良いでしょうか? 洗い物とかもしたいですし。グレン様の方でも要望をまとめておいていただけると助かります」

「そうだな。今日はエルザ嬢も疲れただろう」

「わたしはそこまででは……。あ、先ほど頼まれたものです。転送装置に何か届くとこの石が光ります」

「助かる。では、詳しい話は明日に。今日は食事もありがとう。初めて食べる味だった。君はお菓子以外も素晴らしいな」

「いえ、簡単なものですから。領主一族の方にあんなものをお出しして恥ずかしいです。それに、こちらこそたくさん素材をいただきましたし。あっ……」


 わたしは素材で思い出す。


「どうかしたのか?」

「そういえば、さっき汚れた服ですけど、まだ完全に洗えてないですよね?」

「あぁ、正直考えるのも嫌なくらいだ……」

「わかります。ちょっと待っていてください」


 せっかくだからあれをあげよう。

 わたしはお目当ての在庫品を探すとグレン様のところに戻った。


「これは?」

「石けんです。素材のお礼にどうぞ。特製のものなので、汚れや匂いがよく落ちますよ。あと、泡ポンプも気に入っていたようですので。中身がなくなったら市販の液体石けんを入れてください。本当はわたしの作ったものを使うのが一番ですけど。トムさんのところで売っています」


 魔物の血や体液を落とすのは大変だ。錬金術で作ったこの特製の石けんなら簡単に汚れも匂いも落ちる。

 ――まぁ、わたしの装備品は防汚効果着けてるし、錬金術のおかげで洗濯もそんなに大変ではないのだけど。


「あぁ、とても助かるよ!」


 思った以上に感謝されてしまった。よっぽど洗濯で苦労しているのかもしれない。




 わたしはグレン様を見送ったあと、汚れた装備品の手入れをし、剣の構想を練ることにした。


「魔剣って言われても難しいわね……。火の玉が出たり、風を起こしたり? いや、それだったら普通に魔法を使えば良いわ。そもそも、ちゃんと大会のルールを知らないじゃない……」


 わたしは剣について詳しくない。とにかく、剣について詳しく知る必要がある。このアトリエには色んな本がある。確か、武器についての本もあったはずだ。

 わたしは『剣の世界』という師匠の残した本を読むことにする。



 ペラ、ペラっと紙をめくる音だけが部屋の中に響いている。気がつくとかなりの時間が経過していた。

 

「うーん。さすがにちょっと疲れたわ。そのまま眠れるように、続きはベッドで読もう」


 わたしは本を持ってベッドに移動する。本を開いたはずなのにあっという間に意識を失ってしまった。



 手元にあったはずの本がない。どうやらわたしは本を読みながら眠ってしまったらしい。気がつくとアトリエとは別のところにいた。


「今日も夢を見てるのね。ここは……」


 夢見の力を使ったらしい。丁度、ゲーム機がある。わたしはRPGゲームをプレイすることにした。


「剣といっても色々あるわね。錆びついた剣とかこんなの装備したら危ないと思うんだけど。それにこの形の剣。こんなの切れないわ」


 明らかに切れないような剣や呪われた剣など、実用性の乏しいものがたくさんある。創作の世界なのでそんなことを言っても仕方がないのに、わたしはつい疑問を口にしてしまう。

 ゲームの中では二回攻撃できたり、魔法がでてきたりと色々な剣があった。デザインも機能も様々だが、基本は数値で能力が決まるらしい。

 いくつかRPGゲームをプレイして、装備品の剣を確認したけれど、どれも似たような感想になってしまった。


 ――参考になるような、ならないような……。 


「とりあえず、今日はもう終わりにしましょう」



 ***


 目を覚ますといつもの風景だった。ちゃんとアトリエに戻ってきたらしい。わたしはいつも通り夢で見た内容を書き留める。簡単に絵も描いていく。

 夢中で作業に没頭しているとふと気がついた。


「あっ、早く準備しないと! グレン様がいつ来るかわからないわ」


 メモをとる手を止め、わたしは急いで準備をする。



「これでいつグレン様が来ても大丈夫ね。さて、続きを……」


 お茶を淹れ、わたしは今朝のメモの内容を清書する。

 ――うーん。考えれば考えるほど、シンプルな方が良いような……。



 カランカランカラン。来客を告げる音だ。おそらくグレン様だろう。


「はーい」


 アトリエのドアを開けると予想通りグレン様が立っていた。



 わたしはいつものようにグレン様にお茶を淹れる。グレン様は当たり前ののようにわたしの出すお茶を口にした。

 なんだか、当たり前の光景になってきたような気がする。


「今日は契約書の確認とどんな剣にするかの話し合いですね」

「あぁ」


 わたしはグレン様に作成した契約書を差し出す。


「こちらは確認しておく。問題なければ、殿下に送って欲しい」

「わかりました。それで、魔剣の方ですが……」

「あぁ、これに要望をまとめてきた」


 グレン様は紙をわたしに差し出してきた。 


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