第八話
空き時間を利用して道中に取った魔物の皮や先ほど入手したフォレストウルフの皮を鞣してしまおうと考えた。
まずは水洗いして汚れを落としていく。
次に不必要な毛を手で丹念に取り除く。
実家からもってきた自家製のタンニンを浸透させ、皮組織を固定、安定化させることで皮に耐久性をもたせる。
一通りの作業が終わったらロープを張りそこで乾燥させればよいだろう。
魔法で乾燥させる手もあるのだがコントロールをミスると商品価値が下がるので今回はいいだろう。
皮の処理を終わらせたところで日もだいぶ落ちてきた。
今日の晩御飯の準備に取り掛かる。
フォレストウルフの肉を丁寧に叩き肉団子を作り串に刺し火であぶる。
ある程度焼けてきたら森で採取したきたレモンを絞り塩を軽く振りかける。
後は固く焼いたパンとこれまた森で採取してきた桃を準備して晩御飯の準備は完了だ。
フォレストウルフの肉はスジが多いのだがよく叩いたことによってしっかりと柔らかくなっておりレモンの爽やかさが加わって絶品とまではいかないが十分食べられる味だ。
固く焼いたパンは保存性重視の為、美味しいとは言えないがこれは仕方ない。
デザートである桃はよく熟しており果汁が滴り落ちてくる。
森の恵みに生かされている。
狩り人なんて危険と隣り合わせではあるが森の恵みを堪能できるのは役得というものだろうか。
夜は灯りがもったいないので早々に眠りについた。
翌日、日が昇る前に目が覚める。
家の前で日課と言える素振りで体調を確認する。
本日も絶好調だ。
素振りを終え、昨日の残りのフォレストウルフの肉団子と乾燥野菜を鍋に入れ即席のスープを作り固いパンで朝食を取り森へと出かけた。
今日も晴れており絶好の狩り日和だ。
気配を殺しつつ森を進んでいると違和感を覚える。
慎重に周囲を見渡してみれば違和感の正体が判明した。
植物型の魔物であるプラントという名の怪人植物だ。
不用意に近づけば付近を飛んでいるプラントの花粉を吸いこみ意識を失いそのまま養分にされる厄介な魔物だ。
実家の開拓村ではほとんど見かけない魔物であるが親父から気をつけろと言われていた。
今なら安全に狩ることができるだろう。
風下から近づき射程に入ったところでエアパレットで確実に仕留めていく。
全ては仕留めきれなかったが植物型の魔物である為に足は速くない。
その後も順調にエアパレットの魔法でプラントを倒していった。
プラントから魔石を回収し花や根といった部分も回収する。
プラントは使い方によって毒にも薬にもなる為、色々使い道がありそうだった。