第七話
幸いなことに食べられる果物や植物はすぐに見つけることが出来た。
探索途中に湖を見つけたので周囲を警戒しつつも水浴びすることが出来たのも良かった点だ。
ホクホク顔で村へと戻り村長の家を目指す。
村長宅につきドアを叩いて村長を呼ぶとすぐに現れた。
「なんだ、お前か。しっかり働いたんだろうな」
はじめて会った時から感じていたことではあるが好かれていないらしい。
こちらとしては仲良くやっていきたいのだがこればっかりは実績を積んで頑張るしかないだろう。
「こちらが成果です」
俺は狩ってきた魔石を取り出して並べていく。
魔物狩って魔石を村長に収めるのが俺の仕事だ。
他の成果物に関しては狩った者の所有権が認められているので生活に窮する程ではない。
「これをお前が?」
「えぇ」
「フォレストウルフにこっちはゴブリン。後はホブゴブリンの魔石か」
村長は見ただけで何の魔物の魔石かわかるらしい。
「少なかったでしょうか?」
「いや、想像以上だよ。ご苦労だった」
「それでは失礼しますね」
そういって俺は村長宅を辞し家へと引き上げるのだった。
「はぁ・・・。加護なしが来るってんでどんな無能かと思いきや有能じゃねぇか」
俺は貧乏男爵家の4男として生を受けた。
必死に努力したが加護も弱く親父が何とか捥ぎ取ってきた辺境の開拓村の村長として赴任することとなった。
魔物との前線基地の意味合いもあるこの開拓村だが王国中の加護の弱い奴が送りこまれ魔物を狩りにいって逆に狩られるなんて日常茶飯事だ。
そんな中、王国史上初めての加護なしが送り込まれてくるという通達がやってきた。
正直すぐに死ぬことになるだろう。
そう思っていた。
だがその加護なしは複数人で当たらなければならないような数の魔石を初日に持ってきた。
見たところ怪我をした様子もない。
このペースで狩ってくれるなら王国に提出しなければならない魔石も何とか確保できるだろう。
正直、王国内でのこの村の評価というのは高くない。
設定された魔石量を確保できず常に回収に来た兵士には馬鹿にされる。
俺だって馬鹿じゃない。
魔石の確保を少しでも高めるための努力はしてきたのだ。
武器や防具を実費で集め来たばかりの新人に与えたり。
効率は下がるが複数人で行動させ死亡率を少しでも下げられないか試行錯誤してきた。
それでも帰ってこない奴は必ず出てくる。
ここは人が生息していくにはあまりにも厳しい環境なのだ。
王国の上層部は魔石が手に入ればいいのだろうが俺にとっては生死をかけた戦いの場だった。