第五話
「はぁはぁ・・・。またあの夢か」
寝汗で服はぐっしょりだ。
残念ながら井戸の場所がわからないので水を浴びてさっぱりというわけにはいかないが何もしないよりはマシだろう。
服を脱ぎ皮製の水筒から布に水をしみこませ体を拭いていく。
体を拭き終わったら生活魔法で乾かし予備の服に着替える。
家から外に出るとまだ動き出すには早い時間のようだ。
だが、せっかくならこの時間を有効に使いたい。
移動してる間は満足に料理をする時間も取れなかったがここでなら凝った料理を作っても問題ないだろう。
来る途中で取った香草類に実家を出るときに持ってきた乾燥野菜。
それと小麦粉が少々。
鳥型の魔物の骨を煮だし出汁を取っていく。
灰汁を丁寧に取り除き骨を引き揚げそこに乾燥野菜を加え最後に水で溶かした小麦粉を加える。
いわゆる水団という奴だ。
最後に塩で味を調える。
香草と一緒に焼いた魔物の肉で完成だ。
鮮度の保たれた肉は癖も少ないが香草のおかげでさらに美味しくなっている。
即席で作った水団も出汁がしっかり効いており満足のいく出来だった。
少々食べ過ぎた感じもしないではないが初日ぐらい構うまい。
後片付けをしていると村長がやってくる。
「なんだ、この家は・・・」
村長はびっくりしているようだ。
まぁ、その気持ちもわかる。
ボロ小屋が建っていた場所にしっかりとしたログハウスが建っているのだ。
何も知らずにいれば驚くというものだろう。
「寝るのに危険そうだったので建て直したんですけどまずかったですか?」
「いや、そんなことはないが・・・」
無断で建築してしまったが問題はないようだ。
「それで、君にやってもらう仕事だが魔物の間引きをしてもらう。討伐が不可能だと思ったら報告にこい。こちらで討伐隊を組む」
「わかりました」
ようは実家で親父がやっていたのと同じである。
違いがあるとすれば実家のあった開拓村より周囲にいる魔物が強いということだろうか。
それでも十分にやれるだろう。
そうでなくては信じて送り出してくれた両親に申し訳ない。
装備を確認して問題がないことを確認して最初の仕事に取り掛かった。
最初に遭遇したのはフォレストウルフという名の小型の狼の魔物だ。
彼等は常に群れで行動し頭が良い。
こちらの逃げ道を塞ぐように群れが動き常に死角を突くような位置取りで連携は完璧だ。
普通の人なら絶対絶命の状況であるが落ち着いて捌けば問題ない。
この状況なら魔法を使うまでもないだろう。
剣技だけでフォレストウルフの群れを捌き十数匹を屠ったところで生き残りのフォレストウルフ達は逃げていく。
随分と血の匂いが広がっている。
成果物を回収して早々にこの場を去った方が良さそうだった。