第四話
「っち。辿り着いてしまったものは仕方ない。ついてこい」
村長の後に続き外に出る。
対応に不満はあるが文句を言っても仕方ない。
これからこの開拓村で世話になるのだ。
余計な騒ぎを起こして追い出されても困る。
村長が案内してくれたのは村の外れにある今にも倒壊しそうなボロボロの小屋だった。
「ここがお前の家だ。明日からこき使ってやるからさっさと寝るんだな」
村長はそれだけ言って去って行ってしまった。
とりあえず中を見ようと扉に手をかけたら建て付けが悪いのか開かない。
力を少し込めたらガタンという音と共に扉が外れてしまった。
家もその衝撃でギシギシと言っており今にも崩れそうだ。
流石にこんな家で眠るわけにはいかない。
幸いここは森の中なので材料となる木材はいくらでもある。
村の近くの木を切り倒し加工してボロ小屋の前に運ぶ作業を何度も繰り返し必要な数が集まったらボロ小屋を解体する。
まぁ、解体するというか軽く手で叩いたら倒壊したのだが。
倒壊した元ボロ小屋を片付け取ってきた木材を組み合わせ家を構築していく。
昼近くからはじめたが家を作り終えた頃には太陽が沈みかけていた。
なんとか住む家を確保した俺はボロ小屋だった木を薪として食事の準備をはじめた。
開拓村に来る途中に狩った魔物の肉を焼くだけだが油が乗っていて十分うまい。
母ちゃんがくれた背嚢型のアイテムバックは時間停止の魔法まで込められていてしばらくは食料の心配もなかった。
食事を終えた俺はすることもないのでさっさと横になり眠ることにした。
村長の態度からして歓迎されていないのは間違いない。
どんな仕事を押し付けられるかはわからないが一生懸命にこなして認めてもらえるように頑張ろうと心に決めて眠りに落ちていった。
慣れない環境だったからだろうか久々に悪夢を見ていた。
名前は思い出せないが大切な仲間が一人、また一人と恐ろしい化け物との戦いで命を落としていく。
沢山の犠牲者を出しながら宮殿のような場所をかける。
仲間達は俺を行かせる為に恐ろしい化け物に挑んでいった。
俺は後ろを振り返ることなく宮殿の奥を目指す。
宮殿の奥、玉座にたどり着いた時、俺はただ一人になっていた。
玉座に腰掛けるのは悪意の塊、魔王。
魔王はそんな俺をみて嘲笑っている。
「くくく、ここまでよく来たな。歓迎しよう」
魔王が一言喋るだけで心が折れそうになる。
しかし、ここまで犠牲になった仲間達の為にも引くわけにはいかなかった。
「お前を必ず倒す!」
「ふははは。ここまで実力が違うというのにほざきよるわ」
危機感を感じて床を転がると先ほどまでいた場所に黒い球体のようなものが浮かんでいた。