第二話
数日が経ち、10歳の誕生日を迎えた。
今日は村に唯一ある教会で加護を授かる日だ。
親父と母ちゃんと共に教会へと向かう。
教会につくとシスターであるお婆さんが待っていた。
神父のお爺さんに頼まれ待っていてくれたようだ。
「リールちゃんももう10歳なのね。子供の成長は早いわねぇ」
シスターであるお婆さんに案内され教会に足を踏み入れると優しそうなお爺さんが待っていた。
このお爺さんが儀式を行ってくれる神父さんだ。
「リール君。準備はいいかな?」
「はい」
「それでは祈りを奉げるように」
女神像の前で祈りを奉げると神父さんが説法をはじめる。
「ここに未来ある少年がおります。女神様どうか少年に加護を与え導いてくださいますよう」
神父さんが最後に聖水を振りまいてくる。
聖水が体に触れると濡れることはなく様々な光にかわる。
「これで儀式は終了です。それではどのような加護を授かったか見てみましょう」
神父さんがクリスタルでできた板を渡してくる。
クリスタルでできた板は光を発すると黒色に変化した。
「こ、これは・・・。こんなはずは」
神父さんが何かを躊躇するように口をパクパクしている。
ちなみに親父の加護の色は灰色である。
その様子を見ていた親父と母ちゃんも固まっている。
「リール君。落ち着いて聞いてほしい。君は加護を授かれなかった。これから色々大変な目にあうだろうけど諦めずに頑張るんだぞ」
黒色は加護を授けられなかった証である。
強い加護はいらないと願っていたがまさか加護を全くもらえないとは想像外だった。
この世界では加護により優劣がつけられる。
優秀な加護を授けられた子供は王都に集められ英才教育を施される。
加護の低い者は辺境に追いやられ過酷な生活を強いられる。
親父がまさにそれで辺境の開拓村に追いやられた口だった。
開拓村にいる人は加護の低い人達の集まりだ。
それでも、加護を授けられなかった者はいない。
リールはそんな人達の中で唯一加護を与えられなかった者になってしまった。
加護なしは不幸を運んでくるとも言われ忌み嫌われ人として扱われない。
まだ10歳の子供なので両親が守ってくれるが15歳で独り立ちする際にはより過酷な環境に送られるだろう。
小さな村でのことだ。
神父さん達が隠してくれたが加護なしの話はどんどん広まり村中からリールは孤立してしまった。
そんなリールを心配してくれたのは両親だけだった。
両親はリールが独りでも生きていけるように剣の扱い方や魔法を教えてくれた。