第十三話
ジャイアントアントの巣を潰した翌日。
リールは村長に頼まれて薬草の採取をしていた。
この開拓村の近辺は魔力溜まりが複数存在しておりそこに自生する薬草は通常の薬草よりも効力の高い物が多い。
しかし、魔力溜まりには強力な魔物が巣くっていることが多く通常の村人では採取が難しい。
今も軽く確認しただけでエルダートレントやマッドピクシーなど、厄介な魔物がいることがわかる。
エルダートレントは長い年月、魔力の濃い場所に居続けることでトレントが変化した魔物だ。
通常のトレントと同じように通常の木に擬態するのは勿論のこと、強力な魔法を操る。
マッドピクシーのほうも他のピクシーと同じように縄張りに入って来た人に悪戯をしかけてくる。
しかし、その悪戯は容易に人を死に導く凶悪なものだ。
まずはエルダートレントをスルーしてマッドピクシーのほうから手を付ける。
風魔法を操り自分自身の匂いをマッドピクシーに嗅がせおびき出す。
マッドピクシーが動き出したのを確認して気配を殺し、近くの木に登り待機する。
マッドピクシー達がキョロキョロとこちらを探している間に弓に持ち替え1匹1匹射貫いていく。
魔法を使えばいいと思う人もいるだろう。
ピクシー種は魔力に敏感に反応する。
魔法を使ってしまうとあっという間に捕捉され凶悪な魔法の洗礼を受けることになってしまう。
そういうわけで、安全にピクシー種とやりあおうと思えば気配を絶ち遠距離武器で仕留めるのがオススメだ。
全てのマッドピクシーを討伐し終え、エルダートレントを仕留めにかかる。
エルダートレントが認識する前に接近して核を狙う。
これまた、魔法を使わない理由であるが長い年月、魔力を貯め込んだエルダートレントは魔法に強い耐性を持つ。
高い耐性を持つとはいえ木の為、火の魔法が全く効かないということはないがエルダートレントを燃やせる程の火の魔法を使えば周囲の木が盛大に燃えてしまう。
森林火災を引き起こすわけにはいかないし、エルダートレントは建材として非常に高価な値が付く。
そういうわけで核を潰して短期決戦に出るというのは仕方のないことだ。
1匹を倒した時点で他のエルダートレントには補足されてしまうが高速で動き回り魔法を回避し続けて次々とエルダートレントを仕留めていく。
最後のエルダートレントを仕留め成果物であるマッドピクシーの死骸とエルダートレントの素材を回収した後は黙々と薬草を採取するのであった。




