第十一話
リールは今日も日課の素振りをしていた。
毎日していることなのでこれをしないと何となく調子が出ないのだ。
「よぉ。リール。今日も早いな」
「村長。おはようございます」
「他の連中にもお前さんを見習ってほしいもんだな」
村長はそう言って苦笑いしている。
この開拓村には加護の低いものが集められている。
王国としては厄介払いのつもりなのか捨て駒同然で狩り人として連れてこられた者も多い。
満足な力もなく狩り人として村の外へ出れば被害が増えるのも仕方がないだろう。
村長としても彼等に他の仕事を斡旋してやりたいところではあるが村の仕事には限りがある。
少しずつ開拓を進め農業などの割合を増やしてはいるが加護の弱い女性を優先している為に男性人にまでまわしてやる余裕がないのが実情だ。
「お前さんに頼まれてたもんは揃ったぞ。商人の奴ら、加工の品質が良かったって褒めてたぜ」
「後で取りに伺いますね」
「今日も狩りに出るのか?」
「えぇ。それが役目ですから」
「気を付けてな」
村長はそれだけ言って去っていった。
村長に言ったように今日も狩りに出かけたリールはジャイアントアントとという蟻の魔物と遭遇した。
ジャイアントアントは人より大きく群れで巣を構築する為、見かけたら早々に駆除するのが推奨され女王を頂点とするピラミッド型の生態で少なくとも数十匹、規模が大きければ千を超えたコロニーを形成するとも言われている。
ジャイアントアントの甲殻は固く、弾力もあり数が確保できることから防具の素材として人気の高い。
まずは巣を特定する為にジャイアントアントの後を慎重につけ穴倉を確認した。
常に入り口には警戒の為だろう五匹のジャイアントアントが常駐している。
リールはエアパレットの魔法で同時に五匹のジャイアントアントを仕留め素早く巣に突撃した。
ここからは異変に気付かれる前にどれだけ仕留められるかが鍵を握るスピード勝負だ。
リールは出会い頭にジャイアントアントの首と胴を絶ち回収を後回しにして次々とジャイアントアントを駆除していった。
いくつか分かれ道があったがそれらもくまなくまわり確実に脅威を排除しひと際大きなジャイアントアントと相対した。
恐らくこれが女王なのだろう。
女王と思われるジャイアントアントは同族を殺されたのを理解したのか怒り狂っている。
冷静差を欠いている女王は消化液のようなものを吐いてくるが余裕を持って躱し手足を斬り落とし動けなくなったところを首を斬られ沈黙したのだった。




