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第一話

「まさか我を倒す人間がいるとはな」

「はぁはぁ。命がけだったけどな」

俺は魔王の心臓から剣を引き抜く。

「これで勝ったと思うなよ」

魔王の体から闇が噴き出し俺を包み込む。

「なんだ、これは」

「ふはははは。これは呪いだ。未来永劫まとわりつきお前を絶望の淵に叩き落す」

呪いは俺の体を侵食していき意識を手放したのだった。



「うぐ・・・。なんだ今の夢は」

俺、リール・ハイトはここ数日、悪夢に悩まされていた。

魔王軍と戦い次々と仲間達が死んでいく。

10歳になろうかという自分にこんな過去など当然ない。

だが、夢にしてはリアルな光景。

それは過去にあったことなのだと思わずにはいられない。

俺はとにかくその光景を忘れたくてベッドを起きだし家の裏にある井戸に向かった。

外はまだ暗いが井戸から水を汲み頭から水をかぶる。

何度か繰り返し落ち着いてきたことを確認すると生活魔法で体を乾かし木刀を手に取った。

5歳の時から続けている素振りをしていると父親が起きだしてくる。

「リールは早起きだな」

「なんだか目が冴えてしまって」

「それで鍛錬か。お前も変わっているな」

ちなみに親父はただの村人である。

だが、ここマールハイト王国の辺境である村ではただの村人でも戦えなければ生きていけない。

森に入れば豊かな自然が広がり獲物も豊富だが魔物も多い。

そんなわけで常日頃から自衛の為に魔物を狩るということが欠かせないからだ。

「そういえば、お前ももうすぐ10歳か。今から楽しみか?」

10歳になると村にただ1つある教会で儀式を受けることになる。

儀式では加護を授かり優れた加護を授かれば未来は安泰だ。

とはいえ、加護にはあまり興味がなかった。

その原因はここ数日見るようになった悪夢のせいだろう。

優れた加護を授かればあのような地獄に巻き込まれる可能性もある。

「正直、興味ないかな」

「そうか。まぁ、父ちゃんも最低限の加護しか貰えなかったがこうしてなんとかなってるからな」

親父の加護は正直とても弱かった。

弱かったからこんな辺境で暮らす羽目になっている。

それでも日々努力し、母ちゃんを娶り生活出来ている。

恥ずかしくて口には出せないがそんな親父を尊敬しているし感謝しているのだ。

俺は平凡な生活を送れればそれでいいのだ。

どうか、優秀な加護など貰いませんように。

柄でもないがそう女神様に祈るのだった。

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