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レオニダスは幼なじみと共闘する。

「好きに戦え。」


俺は、お前を勝手に守るから。

内心でそう付け加える。


幼い頃からずっと鍛錬に励むノエルを見てきた。

太刀筋はもちろん、どのように攻めて、どのように受けるのか、性格面も熟知している。

だから、レオニダスにとってノエルに合わせて戦うことは難しいことでも何でもなかった。


今までほかの騎士とノエルの息の合わない戦いを傍から見ていてもどかしかった分、堂々とノエルの補助ができることになってレオニダスとしては好都合とも言えた。


ノエルは最初は昨日の言い合いを気にしてか距離を取っていたが、いざ討伐が始まってからはそちらに気を割いているせいでいつも通りのノエルだった。


(昨日、言いすぎた分を挽回しなくては。)


最初はそう思っていた。

しかし、ノエルと息を合わせて戦えること自体がレオニダスにとって楽しく、いつの間にかそんな思いは忘れていた。


ノエルの今の1番の願いであろう、騎士と肩を並べて戦うことを、レオニダスが叶える。


もしかしたらノエルに好きになってもらえるかもという下心は捨てきれていないが、ノエルのために何か出来ることがあるということは、レオニダスにとって自分でも驚くほど幸せなことだった。




▷▶︎▷




戦闘が終わり、町に戻って点呼をとった後、団長が解散を告げた。

さりげなくノエルを探す。ノエルがこちらへ向かってくるのが見えた。


一緒に戦って、なんとなく仲直りのような雰囲気になっていたが、喧嘩中だということを思い出して思わず身構える。


ノエルはそんなレオニダスに、やや気負ったように話しかけてきた。


「ご、ごはん、いかない?」


一瞬、何を言われたか理解できなかった。

幼い頃からレオニダスがノエルを誘うのが常で、ノエルからレオニダスを誘うことはあまりなかった。

レオニダスが誘われる前に自分で誘ってしまうという理由もあったかもしれないが。


「だめ?」


目の前でノエルが上目遣いでこちらを伺っている。

かわいい。


「行こう。」


内心の驚きと喜びを隠そうとするあまり無愛想な口調になってしまう。

しまった、と思ってノエルを見るがノエルはノエルでいつもより余裕が無いようで、レオニダスの態度を気にした素振りはなかった。


(緊張、しているのか。)


ノエルも昨日の喧嘩についてわだかまりがあるようだ。誘いづらかっただろうにこのタイミングで誘ってくれるノエルは優しくてずるい。


(これだから、好きなのが辞められない。)


好きなのを辞めたいと思ったことは無いが、気持ちを自覚してからというものノエルに勝てる気がしない。

半分諦めのような心境で、レオニダスは自分の気持ちを再確認するのだった。


そう思うレオニダスの顔が火照っているのに気づいたのは、夕日のお陰で誰もいなかった。



▷▶︎▷





店構えと表に書いてあったメニューを見て適当に選んだ店に入る。

運ばれてきた飲み物で喉の乾きを潤すと、レオニダスは真摯な顔でノエルに向き合った。


「昨日は言いすぎた、すまん。」


そう謝罪を口にしながら頭を下げる。

ノエルに守られて怪我をさせてしまった自分が許せなかった。そのせいで八つ当たりをしてしまった自覚はあるし、気を許してくれていたのに険悪な雰囲気にした負い目も感じていた。だからかすんなり謝れた。


ノエルはレオニダスが謝ったことに驚きながらも、


「私こそ、ごめんなさい。」


と謝罪の言葉を口にした。


「あと、ずっと看病してくれたんでしょ?ありがとう。

レオがそんなことしてくれると思わなかったわ。」


寝ずに看病していたことを知られていたことが想定外で思わず赤面する。

ノエルに伝えたであろうフェリックスを恨めしく思いながら、


「別に、俺のせいでした怪我だから寝覚めが悪かっただけだ。勘違いするな。」


と言い訳めいたことを口にした。

しかし、言い終わってすぐに後悔する。


(馬鹿か俺は!また悪態をついてしまった。)

「・・・、ノエルが心配だったのも多少はある。」


そう付け加える。

その言葉を聞いたノエルは、


「心配してくれてありがとう。」


そう感謝の言葉を口にして微笑んだ。

優しく、素直に、ノエルに接する。レオニダスにはそれだけがこんなに難しいのに、ノエルは何故そんなにまっすぐなのか。

なんとなく直視できなくて視線をさ迷わせる。


すると、ちょうどいいタイミングで料理が運ばれてきた。

ノエルとレオニダスの好物ばかりだ。


「さあ、明日もあるし食べましょ!」

「そうだな。」


そういって、すっかり仲直りした2人はいつものように楽しく食事を楽しんだ。

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