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ノエルは幼なじみと共闘する。

(今日から、もう戦うことはないのか。)


そう思いながら朝の集合場所へ向かう。

足取りが重くなるのは仕方ないだろう。


私情に走ってレオニダスを庇い、気絶してしまったことはきっかけに過ぎない。

今までも騎士たちと戦うときに邪魔になっている、息を合わせきれていないと思うことは何回かあった。

きっと、ノエルが積極的に戦わない方が良いのだ。


そう分かってはいるけれど、憧れていた騎士に中途半端ではありながらも近付けたと思ってしまったからか、未練が断ち切れるのはもう少し先になりそうだと感じた。




▷▶︎▷




「ノエル!」

集合場所につくと、すぐにフェリックスに呼ばれる。

声のした方へ小走りに向かうと、団長とフェリックス、そしてなぜかレオニダスが立っている。


ノエルを後衛に据える陣営の変更についてだろう。


そう思っていたのに、


「補助にレオニダスを付ける。もう1回、戦ってみないか?」


団長は真剣な顔でノエルにも持ちかけた。


(レオはそれでいいの?)


思わずレオニダスの様子を伺うが、その顔は無表情でどう思っているかは分からない。


「また、ご迷惑を、かけるわけには・・・。」

「迷惑はかかっていない。仲間を見捨てるようなやつは、この討伐隊にはいない。お前がやったことは間違ってないし、戦闘自体についてもノエルの戦い方がイレギュラーで周りが合わせれていなかった部分もあった。

だから、気心知れているだろうレオニダスを補助につける。」


最前線で剣をふるっていたレオニダスが、聖女の補助でいいんだろうか。そもそも気心知れているとは言えるかもしれないが、素直に仲が良いとは言えないし、最近までは疎遠になっていた。その上に今は喧嘩中だ。

戸惑いはあるが、もう一度貰えたチャンスを無駄にしたくない。


そう考えて、ノエルは団長の提案を受けることにした。


「よろしくお願いします。」




▷▶︎▷




(あれ?)


戦い始めてすぐに違和感を感じる。

なんだか、すごく。


(戦いやすくない?)


そんな違和感を抱えたまま、左から近づいて来ていた魔物の腕を切り飛ばす。怯んだ魔物を逃がさず、レオニダスが心臓を突いて仕留めた。

レオニダスが剣を魔物から引き抜き、そのままの勢いで前方から向かってくる魔物の足を切りつけてバランスを崩させる。ノエルは動きの悪くなった魔物の首を切って留めをさした。


(今までだったら、もっと、足をひっぱっていたのに。こんなに魔物と楽に戦えたことなんて無かった。)


戦いの最中ではあるが今までと勝手があまりにも違うので困惑する。


(なんで、こんなに合わせられるの。)


ノエルが何も言わなくても、レオニダスは次にノエルがどう動くのか、どうしたいのかをまるで分かっているかのように戦ってくれている。


ちら、とレオニダスを見ると目があった。

何だか恥ずかしくなって目を逸らしそうになるが、意識しているように思われるのが嫌で目線を外せない。

結果的にレオニダスを見つめる形になったノエルに何を思ったかは分からない。

だが、


「好きに戦え。」


そういって強面を綻ばせたレオニダスにノエルは思わず見とれてしまった。


(喧嘩、してたのに。看病してくれてたの知らなくてひどいこと言ったのに。)


昔は意地悪ばかりされていたのに、急にこんなに優しくばかりされていたら。


・・・されていたら?


何だか顔が熱い。ノエルはそれを戦いのせいだということにして、討伐に集中することにした。

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