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レオニダスは幼なじみと喧嘩する。

やってしまった。


今更になって後悔するが遅い。

本当は、あんなことを言いたかったわけではなかった。


庇われたくなかったのは本当だし、二度としてほしくない。

血を流して倒れていたノエルを思い出すと今でも血の気が引きそうになる。


それでも、言い方というものがあったはずだ。


(怒っていたな・・・。)


どんなにからかってもあんなノエルは見たことがなかったから、相当な怒りを買ってしまったのだろう。

出て行けと言われるままに部屋を出て、自分の宿まで戻ってしまった。


ノエルが目覚めるまではこの世の終わりかというような気分の悪さだったが、レオニダスはあまり落ち込んでいなかった。


「わざわざ嫌いな人を命かけて守らないわよ!」


さっきのノエルの言葉を思い出す。

つまり、ノエルはレオニダスを嫌いでは無いのだわろう。

幼い頃からの積み重ねで嫌われていることも覚悟していたので、嫌われていなかったという事実がレオニダスにとって朗報すぎて、こんな時だというのにいまいち落ち込みきれなかった。


コンコン。

「レオニダス、入るよ〜。」


ノックと同時にそう言いながらフェリックスが部屋に入ってきた。

緩んでいた顔をすぐさま引き締める。


「副団長、ノックの意味がありません。」

「ごめんごめん、今のレオニダスには無視されても仕方ないかなと思ったから返事を待たなかったんだけど。思ったより元気そうだね?」

「・・・、それで何の用ですか?」


訳知り顔のフェリックスを警戒して、不敬と取られかねない聞き方をしてしまう。


「ノエルがさ、戦うの辞めたいんだって。」


フェリックスがレオニダスの態度など気にした風もなく言う。

思わず険しい表情になったレオニダスだが、思いがけない内容すぎて言葉が出ない。


「そんな顔するなよ、別に俺が辞めろって言ったわけじゃない。

ノエルが自分から言い出したんだ。今後は、前線には付いてきてくれるけど、積極的には戦わないってさ。もともと周りの騎士たちの足手まといになってると思うこともあったから、ちょうどいい機会だって言ってたよ。」


あんなに、騎士たちと肩をならべて戦えて嬉しそうだったのに。

そもそもノエルが戦いづらそうなのは、周りの騎士たちが実践に慣れてはいないノエルをサポートしきれていないからでーー。


そうか、それなら。


「副団長、お願いがあります。」


さっきのノエルとよく似た、決意を固めた表情でレオニダスも『お願い』を口にするのを見て、フェリックスは結局似た者同士なんだな、と微笑ましく思った。


フェリックスはレオニダスの『お願い』を聞き終えると、


「レオニダスなら、そう言うと思ったよ。もう遅いし、ノエルには明日伝える。団長にも一応許可はとるけど、多分大丈夫だろう。

応援してるよ。」


そう言って帰って行った。


その背中を見送ってから、レオニダスは考える。


(ノエルは迷惑に思うだろうか。)


それでも、ノエルが笑顔でいられるように、レオニダスは自分に出来ることをやってみようと決めたのだ。

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