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幕間 とある王妃の手記
あの子が家を出て早一週間。
私が心配するほどあの子はやわじゃないのだけれど、それでも心配してしまうのは母親の性といったところかしら。
ついついお節介を焼いてしまうのは悪い癖だわ。
あの子ももう十八歳。
重たくて剣を持てなかったあの頃とは比べ物にならないほど強くなっている。
可愛い子には旅をさせよとも言うのだし、この旅路があの子の人生にとって実りあるものであることを願うしかないわ。
ところで、ネリスもここしばらく見ないのよね。心配だけれど、きっとお兄ちゃんがなんとかするのでしょうね。
あの子たちの護ったものがあの子たちにどういう影響を与えるのか、楽しみでもあるわ。
さて、そろそろお仕事の時間だわ。
準備をしなくちゃいけない。
この日記もここまでにしておきましょう。
ねぇデュリック、あなたがこれを読んでいるとき、きっとこの世界は希望で満ち溢れているはずよ。
外の世界に目を向けて、楽しいことを探しなさい。
あなたには私とお父さんの血が流れている。
正義に忠実に、あなたが信じるもののために生きなさい。
それじゃあね。
――ペルル・S・デンハイト




