解決?
そんなこんなで。
選定での虐殺は魔族の仕業として処理された。
槍使いオスクルが自身考案の脳筋魔法「光陰る導き」で影に潜み、俺のライバルにあたる者たちを全員殺して回っていたのだった。
一度影に潜まれてしまうと、魔力感知や五感云々ではどう頑張っても判別がつかぬのがこの魔法の最も厄介な点であった。
エヌスは冤罪ということで無事解放された。
俺が正式に勇者と認められたことを報告すると、やはり魔王討伐についてくるとのことだった。
「幹部クラスはありそうな強い魔族が犯人だったんだよな? どうしてオレは助かったんだ?」
エヌスがそんな疑問を口にする。
「確かにそれは気になるところだな。他の者は全員即死だったが、お前だけは急所を外されていた。当初は冤罪を仕掛けて逃げおおせるため、真犯人があえて容疑者となりそうな槍使いを残したのだと思っていたのだが、任命式での発言を聞く限りそうでもないらしい」
俺は応える。
というか、直接話した感じもそうだった。
「まぁいいさ。せっかく残ったこの命、全力で魔王討伐に使わせてもらおう」
エヌスは言う。
「まずはどこへ向かう、です?」
リリーが尋ねる。
「そうだな、とりあえずは魔王国との国境付近に向かうとしよう」
俺はそう言うと、山道へ向けて歩き出した。
桜の花が満開だった。
「行ったか」
王の自室。
兵団長クラスにのみ入室が許可された、レクシウス国王のプライベート空間。
そこには、浮かない顔をしたリストとレクシウスがいた。
「えぇ、そのようですね……」
リストが辟易した様子で応える。
つい先刻、“一般魔族“によって王城が襲撃された。実質的な宣戦布告である。
そして勇者は、デュリックは、王国から旅立った。
人類の全てが彼に託されたのであった。
「あの声、あの槍、あの背丈……。あれはやはり……」
「あぁ、そうだろうな。こんなときに限って戻ってきおって……」
心底嫌そうな顔をした国王が地団駄を踏む。
「よりにもよって、あのタイミングで邪魔をしようとはな」
そう言って手にした袋を持ち上げ、中に保管されている黒々と変色した紙片を睨みつける。
「恐らくは確信犯でしょう。あいつはそういう男なのです。いつも悟った顔をして、特段やる気も出さず、大事なときに少しだけ働いて、それでいてすぐに姿を眩ますのです。便りの一つも寄越さずに……」
遠く遠く、山の向こうを眺めたリストが呟く。
「しかしいずれにせよ、全人類の命運は今やデュリックにかかっている。奴の思惑がどの程度関与しているのかは不明であるが、他に手はないのだ……」
勇者選定での虐殺、騎士団トップの壊滅、ライツの離反、デュリックの勇者任命、そして、教団の事件。
数日の間に王国を取り巻く状況は一変した。
国王は先行きの見えない不安の中で、頭を抱えるばかりだった。
ひとまず一章完結です! ここまでご覧下さった皆様、ありがとうございました!
この後、非常に重要な幕間を二話ほど挟みまして、そのまま二章に入ります。
一章のあとがきも割烹にて同時投稿していますので、ぜひぜひあわせてご覧ください!
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