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身の程を知らなかった彼女の真価

 楽しかったパーティを思い出しながら、寝る支度をする。そういえば、くまさんたちをどうしましょう。とりあえず寝間着に着替えさせて……ベッドが一つしかないのよね。くまとはいえ、わたくしとガンドルフ様をモデルにしたものが同衾??


「く、くまさんはくまさんですわ!」


 そう言いつつも、ベッドに置いてみたが狭そうだ。床に寝かせるわけにもいかない。この時間に使用人達を呼ぶのもためらわれたので、結局わたくしのベッドに寝かせることにした。

 横になろうとして、いつまでもくまさんというのも……と思った。わたくしがモデルのくまさんは……ジョセフィーヌ?マリリン?くまたん??どれもしっくりこない。わたくしの名前からとしたら……アルスリーア……エルシィ……エル!


「貴方はエルよ。それから、貴方は……」


 ガンドルフ様の名前からとしたら……。そして、エルと対になるのなら…。


「貴方はガルよ。よろしくね」


 うん、いい名前だわ。とても穏やかな気持ちで眠りについた。





 一面の花畑で、わたくしは小さなわたくしと小さなガンドルフ様に手を引かれていた。何故か耳がくまさんみたい。よく見たら、服もエルとガルの寝間着と同じだわ。なかなか楽しい夢ね。


「マスター、こっちこっち!」

「もうすくだよ!」


 花畑から林に変わり、湖のほとりにガンドルフ様がいた。


「また帰りに迎えに来るからね」

「マスター、デートを楽しんで」


「ふぁ?」


 さすがは夢だわ。小さなわたくしと小さなガンドルフ様は消えてしまった。


「アルスリーア?なかなかに良い夢だな。お前と二人きりになれるとは……な。アルスリーア、遠乗りをしよう。最近はなかなかお前といられなかったからな!」


「……はい!」


 それから、ガンドルフ様とのデートを楽しんだ。二人きりで遠乗りした。昔はよく乗せてもらっていたのを思い出す。実はわたくしも馬に乗れるけれど、二人乗りがしたくて乗れないふりをしていたのよね。久しぶりの二人乗りは、とても楽しかった。







「くーまも」

「くまー」


 ペチペチと頬に何かが触れる。フサフサしていて気持ちいい。


「ん……」


「くーまー」

「くまもー」


 可愛らしい声が聞こえる。ぼんやりしながら目を開くと、わたくしのエルとガルが可愛らしく首をかしげた。


「くま!」

「くまも!」


 エルとガルは可愛らしくお辞儀をした。


「おはようございますわ」


「くまー」

「くまも!」


 エルが服を持ってきた。どちらが似合う?と聞いているようだ。ガルはこっち!とふわふわの可愛らしいドレスを指差した。


「そうね、わたくしもそちらが可愛らしいと思うわ」


「くま!」


 そして、エルに着せたところで頭が一気に覚醒した。


「………エル?」


「くま!」


「…………ガル?」


「くま!」


「ふぇ?え?ふぇええええ!?」

「お嬢様、どうなさいました!?」


 わたくしの悲鳴を聞きつけて、ルイアが部屋に駆け込んだ。


「くまー」

「くまもー」


 アワアワしているわたくしとは違い、エルとガルはルイアに挨拶しているようだ。ぬいぐるみが動くという摩訶不思議な事態に、流石のルイアも固まった。


「か……」


 そして、震えるルイア。


「可愛い……!」


 ルイアが崩れ落ちた。エルとガルの可愛さに悶えているようだ。


「くま?」

「くまもー」


 試しに撫でてみたら、エルとガルはすり寄ってきた。ナニコレ可愛い。フカフカモフモフだし可愛い。可愛いから細かいことを気にしなくても問題ないわね。

※アルスリーアは混乱している。


「お嬢、なんか変な気配がするから確認していいか?悪いもんではなさそうだから、急ぎじゃないんだが。入って大丈夫か?」


「今着替えるから待ってちょうだい。ルイア、身支度を手伝って」


「かしこまりました」


 手早く身支度を整えようとすると………。


「くまぁ」

「くーまも!」


 エルとガルもお手伝いしてくれた。着替えや櫛をせっせと運んでくれる。


「かわゆぅい……」


 ルイアが可愛さに耐えきれなくなったらしく倒れた。鼻血が……あ、エルが拭いてあげてますわ。ルイアはわたくしより可愛いものが好きだったのね。


「ルイン、入ってよくてよ」


「はーい、お邪魔………………うちの愚妹はなんで幸せそうに鼻血を出しながら倒れてんすか?」


「くーま」

「くまもー」


 ルインにエルとガルがご挨拶した。可愛い。


「…………………………」


「くま?」

「くまま?」


 固まるルインに、首をかしげるエルとガル。


「ちょ、なんすかコレ!」


「今朝から動くようになったわ」


「なんでっすか!?」


「わからないわ。でも可愛いからいいかなって」


「順応しすぎじゃね!?……………………これ、まさか……守護!?」


 エルを捕獲して眺めていたルインは目を見開いた。

 守護とは、イヌイルの始祖が作ったとされる意思がある縫術具。それは意思を持ち、持ち主を護る事から守護と呼ばれた。


「…………………とりあえず、制作者(リーリア)を呼びましょう」


 もしそうだとすれば、本当に大変なことになるわ。エルとガルのために……リーリアのために……わたくしが頑張らなくてはね!

ストック切れたので遅刻しましたー。あと一話でローテーションにしたいと思います。


やっとくまもり君ズが書けました(笑)

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― 新着の感想 ―
[一言] いやいや問題ありまくりよ!! 主に赤い池がそこらじゅうにできる事件勃発でヾ(*T▽T*) 可愛いふかふかおみ足にペチペチされならが起こされるなんて…至福(*´-`) アルスリーア様、良かっ…
[一言] バースデーベアー(カップル(笑))が「くままー♪」とご挨拶&お手伝い……あ、すみません、ナンか鼻から赤いお水が垂れて来ましたけど気にせんで!可愛いお洋服が汚れてしまうかもなんで、ワタシすみっ…
[一言] いつも楽しく拝見しております! クマず可愛い!! 可愛すぎて最高です(o^^o) どうぞ沢山登場させてくださいませ!!! よろしくお願いします(^^)
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