始まりの日
二話が始まります。
勇者君はどうなるのでしょう。
朝、学校に着いて教室に入るとみんなが振り向いてきた。
「おはよう、勇者。」
「おっす、勇者。」
「おはようございます、勇者君、(クスッ)席についてください。」
「何故こうなった………。先生まで……。」
「ごめんね~。雄成。みんなにキャラ設定聞かれて、裏サイトに雄成=勇者って書いちゃった。もちろん、先生には朝言っておいたからね?テヘペロ、許して?」
「美緒か?!もういいよ、俺には迷宮攻略よりこっちの攻略のほうが難しそうだよ……。」
「「「「まあ、そう気落ちすんなって勇者!!!!」」」」
バタっ…
「……………………………(シーーーーーーーーーーーン)」
「先生、勇者が動かねぇ!!」
「マジだ、やべぇ、息があせぇ、、、、、、え、止まった?、心臓。」
「いや、ヤバイでしょ、先生早く!!、岸君が死んじゃう!」
そう呼んだ瞬間、
「はっ、俺を呼ぶ声が聞こえた!!」
「「「先生、生き返りました!」」」
みんながそんな様子の勇者(笑)を見て意気消沈して
「そこまで嫌だったのか…………。」
「ごめんな、そこまでとは思わなかった……。」
「分かってくれたか……。」
「「「ほんとにごめん、勇者君!」」」
結局わかっていなかった。
「いや、わかってねぇじゃん!!!」
「いや、ちゃんと『君』つけたじゃん。岸『君』で起きたんだから『君』つけたらいいのかなぁって思ったんだけど違うかった?」
「いやちげぇよ。岸って呼んでくれたからだよ!!」
「かわいい女子が?」
「まあ、そうかな……って、違うわ!、俺にはみ、美緒が………、それも違う、名前で呼んでほしいんだよ!」
「ああ、美緒大好きナンパ浮気女たらし勇者と呼べばいいんだな?」
「すべてちげぇよ!!」
美緒が愕然とし聞いてきた。
「違うの?雄成」
「あ、一つは合ってるかな、?」
「ああ、一つだが?美緒?どうした?」
「ぐすっ。」
「なんで泣いてるの?!、俺なんかしたか?」
「だって一つだと勇者ってことしかあってないことになるでしょ?」
「まさか、自分の事より勇者のほうをえらぶとは?!!」
「だって、私にとって雄成は十分勇者で、かっこいいよ?」
「美緒………」
「ゆ~せい…………」
「お~~~い、二人とも~~?」
二人は見つめあっていて、二人のところだけ色合いの違う一つの異世界だった。
「よく先生の前で惚気れるよなぁ。」
「ほんと、それ、ある意味その面でも勇者。」
「「「激しく同意」」」
「お~い、岸~前田~そろそろ朝の連絡していいか~?」
「「あ、すいません。」」
「よし、じゃあ、みんな着席。勇者、号令!」
「結局やめてくんないんすか、それ!!」
これが〇〇高校三年B組のいつもの光景である
放課後、結局いつも通り先生たち生徒たちみんなに一日中からかわれた雄成は、授業が終わってることにも気づかず固まっていた。そう、文字通りすべてが固まっていたのである。そして
「……くん、、岸君、死なないで!」
「は、あれ、今何時だ?授業終わってるのか?!」
そんな光景を見ていた二人は
「やっぱり、ホシは黒ですね、刑事。」
「ああ、俺たちは反応しなかったくせにやっぱかわいい子には反応するってことはそ~ゆ~ことだな。」
「おい、お前らは何を言ってんだ。」
「「いや、勇者はやっぱ相当な女好きだなぁって話してて。」」
「いや、おい。俺は勇者でも女好きでもね~よ。」
「え、雄成。違うの?」
「いや、美緒は例外だよ。」
即答しているところからわかるだろうが、ほんとに美緒にはとことん甘い男である。
「で、俺が死んでる間に何してたんだ?」
「いや、そこまで大事なことはしてないぞ?」
「ああ、強いて言えば、来週の修学旅行でのキャラ設定を決定して書いて、提出したぐらいだぞ?」
「いや、結構なことしてんじゃんかよ、まあ、それはいいとしても、勇者ってほんとにしたのか?」
2人は顔を見合わせて、
「「そりゃそうだろうがよ。な、勇者。」」
「もう、迷宮に挑戦するまで、俺が生きてない気がする。……………」
そんなこんなで楽しみにしていた修学旅行。
これからどうなるかも知らずに暢気なものである。
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そして、修学旅行出発当日の朝、
「ゆ~せい、早く起きてよ~。」
「嫌だ、もう学校には行きたくない…………俺は、勇者じゃないからな、、ハハハ………。」
「ゆ~せい~。はやくぅ~。学校、遅れちゃうよ~?」
「いいんだ。俺のことは置いていけ。」
「何その、フラグ。完璧勇者のフラグでしょ。」
「何言ってんだ…………。俺のことは気にせず早く行け。」
「いや、雄成。それわざと言ってる?」
「…………何がだい?」
「これがわざとじゃないなら充分勇者の素質あると思うけどなぁ。」
「ほんとそれな。でも、キャラが変わるほど落ち込んでるしそろそろ謝るか。」
「だな、雄成。ほんとごめんって。夜中まで昨日からかったからってそこまで落ち込むことないだろ?そろそろ起きろよ~。」
「そうよ、雄成。早くしてよ。っていうか、あなたたち昨日夜中までからかってたの?」
「ん?、ああ、夜霧は寝落ちしたんだったな。そうだよ。昨日夜霧が寝た後もVRワールドで、遊んでてちょっとね。」
「ちょっとどころじゃないでしょ。どうせ。まあ、もう過ぎたことだしいいけどね。でもどうするの?これ。いつまでも起きないわよ?」
「大丈夫だ。このために美緒もつれてきたんだから。お~い、美緒?(…………………)って言ってやれ。」
「うん、分かった。ねぇねぇ、ゆ~せい?、私ゆ~せいと修学旅行一緒に行きたいなぁ。だから早く起きていこ~?」
「分かった。ちょっと待ってな?すぐ行くから。」
「ほらな、夜霧。」
「ああ、そ~ゆ~ことね。納得した。」
「よし、用意できたぞ。美緒、いこっか。」
「うん!早くいこ~。みんなも、いこ~。」
「そうね、早く行きましょ。結構時間もぎりぎりだしね。」
「え、あと五分じゃん。走れ。みんな遅いぞ。」
「「「いや。雄成のせいだからね。(な)」」」
そして、学校につき
「遅いぞ。お前ら。」
「そうだぞ、勇者。遅れたらダメだろ。勇者なんだから。」
「そうですよ、勇者君。みんなのリーダー勇者君なんですから。(くすっ)。」
「もう、また俺を殺す気ですか。まあでも、もう効きませんよ。昨日のは誰も超えれませんから。」
「「「昨日の?」」」
「はい、一歩たちのからかいは誰のも超えれないと思います。思い出すだけで………………死にたい。」
「「「そこまで?!」」」
「やりすぎたかなぁ。克樹。」
「ああ、ちょっとやりすぎたかもな。」
「ちょっとあなたたち、なにしたのよ。」
「「…………黙秘権を行使させていただきます。」」
「雄成、なにされたの?」
「ん?え~とね。………死にたい。」
「あ、ごめんなさい。思い出したくないんだったわね。」
「「「わざとでしょ。」」」
「…………ん?なにが?」
「「「もう、いいよ。天然なのはよ~く分かった。」」」
「お~い。みんなそろそろ勇者いじりやめろよ~。最終確認するからなあ~。」
「「「いや、先生もからかってたじゃん。」」」
「じゃあ、確認するぞ~。」
「「「無視?!」」」
「まず、荷物確認するぞ~。」
「「「それすらも無視!?もういいや。」」」
先生が陰で『勝った』みたいにガッツポーズしていたのは誰にも見えていない。見ていないのだ。
「(先生ってほんとに無邪気だよなぁ。新任で若いからかなぁ?)」
「(だろ~なあ、一年目で高3、任されてそれも初めての異世界修学旅行ってそりゃハイテンションにもなるわな。)」
雄成が言ったように先生(古田 木葉先生)はかの有名な西京大学を卒業し、一年目でこの西都高校三年b組を任された先生なのだ。生徒の間ではコノ先生と呼ばれている。
「じゃあ、確認できましたね~。最後にキャラオプションに言語翻訳の魔法をかけますのでみんなの分を集めてくださ~い。」
「「「「「は~い。」」」」」
いま、ちらっと出てきたがこの世界には魔法があるのだ。1000年前の異世界との交流とそれからの研究により地球でも魔法が使えるようになったのだ。まあ、異世界より魔法効率が悪いが……。そして魔法を使うには条件がある。詠唱と魔力だ。この世界の魔法は一人一人一つ一つ違う。似ているものもあるがすべて違うのだ。まず、一人一人適性のある二つの魔法が違うし詠唱は自分で考え、それ相応の魔力を出して初めて魔法が使える。詠唱も簡単なものではなく世の理と言われるものに認められ、天からの声が聞こえたら成立となる。
「では、始めます。 『この世の言霊よ。人類の言語を全てをそろえたまえ、人々に言葉という隔たりをなくしたまえ。』」
先生が詠唱を終えると一か所に集められた生徒たちのキャラオプションが光り始めた。
「わ~、キレ~。」
「だな、神秘的だな。」
「俺たちも使えるようになりたいな。」
「ああ、そうだな。」
輝きがおさまると生徒たちに先生がキャラオプションを返し言った。
「皆さん、それはもう言語翻訳の機能が付きました。これで異世界の人々との言葉の隔たりは無くなりました。では、皆さん行きましょうか。」
「「「「「「「「はい!!」」」」」」」」
「最後にあと一つ。今から行くのは異世界ですがゲートの先は王宮です。失礼のないようにしてくださいね。では、市役所に向かいましょう。」
異世界へのゲートは市役所にあるのだ。そしてみんなで向かう。人数が多く、一気にはいけないので一週間、クラスごとに異世界に行くのだ。
「では、つきました。用意はいいですか?」
「「「「「「「は~い!」」」」」」」
「では、職員さん、お願いします。」
「分かりました。座標MNーS55987に固定。」
「座標MN-S55987に固定。」
「ゲートオープンまで、あと3、2、1、オープン。」
目の前の扉が白く輝く。少しずつ開いてきて扉の向こうは見えないがいかにも異世界という感じが出ている。
「では、みなさん、楽しんできてくださいね。」
「「「「いってきます!!。」」」」
みんなが扉の向こうに足を入れ少しずつみんなが入っていく。すぐには異世界にいけず、純白の世界にみんながいる。
「では、王宮の一室につきますので、少しは緊張してくださいね。今みたいにはしゃがずにね、では、そろそろつきます。部屋なので靴を脱いでください。」
少しずつ純白の色が抜けてきて高級感のある部屋が見えてくる………………ことはなく
「…………………………は?」
先生の声が響いた。そうそこは……
「草むら………?」
緑いっぱいで他に何も見えない大草原なのだった。
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その頃、日本では
「所長!あちらに生徒が着いていないそうです!!今、王宮から連絡が来ました!」
切羽詰まった様子で連絡官がやってきた。
「なんだと!もう、10分も経ってるんだぞ!転移誤差は3分以内だろうが!何か原因は分かったのか?!」
「いえ……何も間違いはありませんでした…ただ、転移座標の記録が残っていないため座標が違った可能性が……」
ダン!!!!
「今すぐ、座標を打ち込んだ職員を呼んでこい!!」
「はっ!」
「ふふっ、雄成君、君はあの世界でどうなるのかな…」
慌ただしく職員が駆け回る中、1人の男がいなくなってることは誰も気づかなかった…
次話、明日、投稿予定!
より良い作品にするため評価、感想、戴けるとありがたいです!