表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢日記  作者: 蓍萩
6/9

ピアノの話

 彼女が教室に置かれた電子ピアノを弾いていた。楽譜も無いのに、とても上手に弾いている。聞いたことのある曲なら何でも弾ける、と言うので僕の好きなバンドの曲をリクエストしてみた。その曲を彼女は流れるように弾いてみせた。素直に感心し褒めると、彼女は照れくさそうに笑った。

 彼女の演奏を見た先生が、ぜひ彼女に合唱の伴奏を頼みたいと言った。歌うのは誰もが知っている定番の合唱曲だ。彼女は了承した。

 クラスメート達が全員集まり、さっそく合唱が始まる。ところが彼女はピアノを弾かなかった。一体どうしたのかと彼女を見れば、「よく知っている曲なのに、弾けなかったらどうしよう。みんなで合唱しているのに、間違えたらどうしよう」と顔を真っ青にしていた。さっきまでもっと難しそうな曲をたやすく弾いていたじゃないか、なにも不安がることなど無いのに、と思うが彼女は鍵盤に指すら置かずに震えている。そして、伴奏がちっとも始まらないにも関わらずクラスメート達は何も気にせず歌い始めた。

 全員、伴奏の無いまま歌い続ける。彼女はピアノの前で1人泣きそうな顔でいつまでも突っ立っていた。



 目が覚めた。目が覚めた後で、あの定番の合唱曲なんて存在しないことに気が付いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ