表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢現  作者: mine
3/7

第三夜

悠木が何故この高校に入学することになったのか、その理由を話すにはまず悪夢対策課の話をしなければならない。


普通の人にも夢の顕現をする能力がある。その中でも適正がある人達が集まって出来たのが悪夢対策課なのだが、人数はなかなか増やせない。それは怪物と戦うことと夢の中のことは一般人に知られるわけにいかないので、適正がある人をスカウトする際には細心の注意を払わなければならないのだ。


だから、夢の顕現適性が高い悠木がスカウトするには今回の夢の事件はもってこいだったのだ。なので、彼に話しかけた女性、篠原(しのはら)(りん)は事件に悠木が巻き込まれた時、上からの命令で悠木をスカウトした。まあ彼女は彼にそんな力があると思っていなかったのだが。その上今危機が起きているのに、何故何も知らないこいつをスカウトしなければならないそんなことより早く救援よこせ、とさえ思って、いや愚痴ってた。あの時丁寧な言葉で頼んでいたが、実際はこんなことを考えていた。


彼のあれを見るまでは。

そう彼がカエルを倒すときに顕現させた夢をだ。ただ食われるだけ、よくて顕現できても戦えないだろう、ちょっとした時間稼ぎだ、と彼女は思っていた。それなのに、


(それなのになんなの、彼の力は。よくて顕現率40%と思っていたけど、ほぼ100%に近いじゃない。いったいどういうことなの)


彼女は困惑したが、何故スカウトしろと言われたのかと納得した。まあ実際スカウトする時は何かしら理由があるのだが、彼女は悪夢のことで頭がいっぱいで考えられなかったのだ。

そしてことが終わった後スカウトに成功した、と思ってる彼女は意気揚々と本部に帰っていった。ただ彼女はかなりのポンコツだった。後々考えたらあの時助けてとしか言ってないこと、さらには名刺も渡していなかったことに気づき、上司にこっ酷く叱られたあと、もう一度改めて彼をスカウトしに行った。彼は嫌な顔をしたが、仕事の事情を聞いて彼は心底めんどくさそうだったが、仕事をすることで人を救うことができると聞き、スカウトを受けたのだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


だけど、普通転校すると思わないじゃん。こう、普段は普通の高校生で悪夢が出た時は倒すって感じだと思ってた。いやよく考えたら分かったのかもしれない。というかあの時少女がまた会う的なこと言ってたな。

にしてもあの滅茶苦茶な女の人からあの時とは違う真面目な顔をして「あの時はごめんなさい、そしてありがとう。あなたはすごい力を持っている。夢の世界が原因で放心状態になったり行方不明になる人を無くすためにまた力を貸して欲しいのぜひ組織に入ってくれないかしら、お願いします」みたいなことを頭を下げられて言われたら、あ、はい分かりましたって思わず返事しちゃうじゃん。特に放心状態の人のことを言われちゃうとあの時助けられなかったから返事するしか無くなってしまう。後々あの言い方はずるいなと思った。で、すぐに返事した結果、


「よかった、じゃあ転校の手続きしないといけないから、明日学校に行かせてもらうわね」


と言われ、あれよあれよというまに全寮制のこの学校に転校することになっていた。

いやこっちにも家のこととか色々事情があるから考えて欲しい、やっぱりあの女の人は駄目だな絶対いつかやらかす、っていうかもうやらかしてるかもな。

ちなみに引っ越すことなどの事情を両親に話した結果母は、


「家は借家だったからすぐ解約の手続きしとくわね。頑張ってね〜」


だそうだ。いやもうちょい息子に興味持ってよ、って思うんですが。ちなみに似たようなことを言ったら父が、


「お前の人生なんだからまあ自由に選択しなさい、っていうか前より成績的には良い高校だから良いじゃないか。なんで入れたかは知らないが、頑張れよ〜。」


と言っていた。

……自由って素晴らしいけど、なんか悲しいなぁ〜。

まあそれで転校することになったわけだ。ちなみに事情を知ってる雷牙は


「人を助けるためだろ?じゃあ丁度いいじゃねぇか。それに別に二度と会えないってわけじゃねぇだろ?俺もこっちで色々と頑張るからせいぜいお前も頑張れよ。」


と言ってくれた。

お前の色々頑張るの色々はすごい怖いんですが。にしてもやっぱいい奴だなぁ雷牙は。でももうちょっとだけ悲しんで欲しかった。ちなみに雷牙は夢の顕現の才能はいっさい無かったらしく一般人に夢のことを話さない限り特に監視などは置かれないらしい。っていうか監視がないのに話した事がもしバレるとしたら色々と怖い組織だな。

あと転校することをよくつるんでた他の友達にも話したけど、結構さばさばしてた。まあそんなものなのかな……


で、自己紹介が終わったあと

「じゃあ悠木くんの席はあそこね」

と言って先生は廊下側の一番後ろの席に人差し指を向けた。指を刺された席はあの時の少女の右隣の席だった。……なんか目線がさらに厳しくなった気がするのは気のせいだろうか。もしかしてあの女の子クラスの人気者とかそんな感じなのかな。

その席へ向かおうとしたとき、彼女は俺に席を教えるようにこっちを見て笑顔で小さく手を振ってくれた。

あの時のことがあるから顔を合わせるのが恥ずかしい。だが、俺にはこの学校の知り合いが彼女くらいしかいないからこれから色々と学校の事を聞かないといけないだろう。だから、そんな恥ずかしいとか言ってられないな。

そう思いつつ、席に向かう。

席に着き、座ると少女が


「久しぶり、って言っても1週間ぶりくらいかな」


と話しかけてきてくれた。


「あ、ああそうだな。1週間ぶりくらいだな」


やばい、めっちゃ緊張する。あの時は夢のパワーと雷牙が居たからなんとかなったが、友達も居ないし顕現もしてないからこんな可愛い娘と喋るのは死ぬほど緊張する。と、緊張しているが出来るだけ顔や声に出ないように注意している。


「そういえばあの後筋肉痛大丈夫だった?倒れるほどって相当だと思うけど」

「あー、えーと一応治ったけど、筋肉痛の日はただでさえ身体痛いのに雷牙達に突かれまくって大変だったわ」

あれは酷かった……。

「それは大変だったね」


と言いつつ、その光景を想像したのか彼女は楽しそうに笑った。


「しかもそれが三日くらい続いたからな。あいつら嬉々として突いてくるから、あいつら本当に悪魔だよ……」


俺がそう言うとさらに楽しそうに彼女は笑う。

いや笑い事じゃなくて俺にとって本当に地獄だったんですけど。

にしても結構話せるな。一度会っているのと彼女が話しやすい性格のおかげなのか大分話せてる……よな?というか人見知りって言っても人と話せないほどはひどくなかった気がするからたぶん大丈夫だろう。

あれ?そういえばなんか忘れてるような気が……


「あの、一応ホームルーム中で学校のお知らせなどを話しているので静かにしてくださいね」


先生に注意される。そういえば今はホームルーム中だった。


「すみませんでした」


俺は素直に謝ることにする。俺が謝った後すぐに隣の彼女も謝っていた。

俺たちが謝った後、先生は何かを思い出したように


「ところで二人はあの時の事件で会った事があるんでしたね」

と、言ってきた。やっぱり知られてるよな、っていうか知られてて当たり前か。


「ええ、まあ一応」

「ちょうど良いですね、私は午後からちょっと仕事があるので学校の案内ができないんです。なので、理奈さん放課後に悠木くんの学校案内をお願いできますか?」

「はい、放課後は特に予定はないので大丈夫です」

どうやら少女の名前は理奈(りな)というらしい。


「では、お願いしますね」

と、先生は彼女に俺の学校案内を頼んだ後

「それではホームルームを終わります。次の授業の準備をしてください」

と、言い教室から出ていった。入れ替わりで次の授業の数学の先生が入ってくる。


「じゃあ放課後ね。悠木くん」

と、授業が始まる前に笑みを浮かべた理奈さんに言われ何故かドキッとした、っていうかすごく可愛いんですけど。

そんなことを思いつつ

「学校案内お願いします」

となんとか真面目に返し、数学を受ける準備をする。


ちなみに、終始クラスの目線が痛かった。というか一部の人の目線がきつかった気がする。なるほどクラスの人気者が学校案内してくれるってこう睨まれることになるのか。なんか胃が痛くなってきた……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

最近忙しくて眠いっす。誤字とかあったらすみません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ