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1。みゆとカイト

「ああ、彼女欲しいなあ!」

恋人ができたらどんなことしてみたい?

「俺はやっぱり裸エプロンだな」

「くぅ――ッ!裸エプロンは男の夢だよな!」

恋人ができれば得られる色々な無料サービスを語り合った。

「あ~んなことや、こ~んなことも、エロい店では何万も取られて時間制限があるのに、彼女なら無料!時間無制限!何度も何度も楽しめる!」

「画像や動画も撮り放題だぜ」

「最高すぎるよな!飽きたら新しい彼女を探せばいいし」

「ああ、恋愛したいよなあ!」

「でもさ、それって女がちょっと可哀想じゃない?」

「なんで?」

「だって高額バイトの店で働けば何万も稼げるものを全部タダで、自分の時間で練習して、提供しなきゃいけないんだぜ?それで飽きられたら捨てられる。二股三股されても文句言えない」

「何言ってんだよオマエ、そんな心配してるから童貞なんだよ!」

「な、なんだよ。オマエだって!!」

「まぁな。だけどアイドル達もいってるだろ。『バレなきゃいい』ってさ」

「そ、それもそうだな。アイドルだって表向きは『恋愛禁止』なんていって、清純処女のフリしてるけど、裏では男作ってやりまくってるもんな」

「そうそう。ファンたちも『裏側を見せなきゃいい』って言ってる。女だって嘘つきで何股もかけてるんだから、こっちが騙して使い捨てたって別にいいんだよ。お互い騙す権利があるのさ!」

「上手に騙されながら、たくさん利用したほうが勝ちってことか!」


カイトは合コンや出会い系サイトをハシゴしまくって遂に念願の彼女を手に入れた!

さっそく彼女を使って思い描いていた色んなことを楽しんだ。

彼女のお陰でエロい店に通う必要がなくなり貯金ができるようになった。

そこでより高級なエロい店に通えるようになった。


彼女がいる!というだけで周りの見る目も変わった。カイトはコンプレックスから解消された。そして今まで慰めあっていた童貞達が実に醜いものに思えるようになった。

「おらあ!童貞ども!キモいんだよ!!」

童貞達はカイトに何を言われても言い返すことができず、ただ黙って震えているだけだった。

カイトはそんな童貞達をせせら笑った。胸の痛みなど全く感じなかった。

「強くなるってこういうことか!」


コツを掴んだカイトは何人も彼女を作れるようになった。ある日彼女1号がカイトに詰め寄った。

「他に女がいるんじゃないの!?」

「あのさ、オマエさ、俺のこと好きなのか?」

「当たり前でしょ!だからこんなに怒ってる!」

「ほほう。俺はオマエのアイドルってことか」

「そ、そうだけど……」

彼女は頬を赤らめた。カイトは言った。

「アイドルってのは裏側さえ見せなきゃ何やってもいいんだよな」

「ちょっ、何よそれ!?」

カイトはエプロンを彼女の前に投げ出した。

「裸エプロンしろ」

「え?」

「オレと別れたくないんだろ?だったら裸エプロンしろよ」

「そ、そんな言い方って……」

彼女は涙ぐみながらも裸エプロンになった。

「何ボサッと突っ立てるんだよ。エプロンなんだからキッチンに立てよ!」

裸エプロンだけはまださせていなかった。

「りんごの皮でも剥いてみようか」

カイトは肩を震わせながらりんごの皮をむく彼女の姿を何回も撮影した。SNSにアップするためである。カイトはその後彼女をベッドに連れて行くとたっぷり楽しんだ。

「痛かったか!?」

彼女は服を着ながら首を左右に振った。手荒く扱われたので全身が痛い。

「もう来なくていいぞ」

「えっ!?」

「とっとと出て行け!」

カイトは彼女をドアから押し出した。

「ひどい!こんなのひどい!」

「電話してきたらストーカーとして警察に訴えるからな。文句あるなら裁判にでも訴えろ!これは恋愛なんだ!アイドルたちが教えてくれたんだ!」

彼女はドンドンとドアを叩き続けた。カイトはひらめいた。そしてドアを少しだけ開けた。彼女が懸命の笑顔を見せた。カイトは言った。

「毎月10万もってこい。そしたら彼女として扱ってやってもいいぜ」

「えっ……10万も……!?」

カイトはエロい店の募集広告を彼女に渡した。

「女はいいよな。稼ぐ場所がたくさんあって」

彼女は受け取るとトボトボと帰っていった。カイトは思った。

「クレジットカードや消費者金融で借金させる方法もあるな!」

カイトは彼女17号に連絡をした。

「ん?理由がなきゃ話をしちゃいけないかな?強いて言えばみゆちゃんの声が聴きたくなったってこと。できれば顔も見たいんだけどなぁ~」

コーヒーショップに彼女17号が入ってきた。

「こっちこっち!」

おずおずと席に座りカイトと向かい合うが緊張で固まっている。

頬を赤らめうつむきがちに話す声はその身体同様か細く弱々しい。

「行こうか?」

「えっ、どこに?」

カイトは少々強引にみゆの手を引いて自分の部屋へと連れ帰った。

「ねえ、みゆちゃん、俺達付き合ってもう1ヶ月だよね?」

「う、うん。っていうか、もう1ヶ月?」

「そうだよ。もう1ヶ月だ!もっとみゆちゃんのこと知りたいんだよね」

「きゃっ……、あ、ご、ごめん、なさい」

カイトが手を伸ばすとみゆはのけぞってかわした。

「大丈夫だよ。みゆちゃんのこと一番大事に思ってるからさ」

「わ、わかってる。私もカイトさんのこと。だけど……」

みゆは身体を震わせた。

「そんなに緊張しなくていいって」

こんな反応も初々しくていいな。カイトは思った。みゆは名門校に通う女子高生なのだ。アイドル並みの美貌と偏差値67の才女である。こいつはカネになりそうだ……!

カイトは優しく囁いた。

「卒業したら結婚しよう」

「えっ……!?」

「俺は本気だよ。みゆちゃんのためにすべてを捧げる覚悟があるんだ」

「カイト!」


「みゆはエプロンが似合うな。いい嫁さんになれるよ」

キッチンで頬を赤らめながらりんごの皮をむくみゆをカイトはたっぷり撮影した。

「こんなに可愛いなら、アイドルにだってなれるさ」

カイトはハッとした。そういえば……。カイトは『国民的アイドルグループ』のサイトを開いた。

『オーディション募集要項』

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