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砂の首領vsマウロ

マウロは一瞬にして、盗賊2人を流砂に叩き落した。

「うわあああっ」

2人は流砂に飲み込まれた。


サンドボートを奪い、荷物を積もうと思ったとき、あることに気が付いた。

「もし3人乗って、更に荷物まで積んだら、ボートがあふれてしまう」

マウロがそう言うと、

「荷物を減らすしかないな」

とゼルセットが答えた。


一週間の道程だが、乗せることのできた荷物は減らした食料、そして、5日分の水だけだった。

「これじゃダメだな、どうする?」

とゼルセットが聞くと、

「水はオアシスで調達するしかないの」

老人が答えた。

「オアシス?」

ゼルセットが聞き返す。

「砂漠にはオアシスがある。しかし、そこは盗賊団が拠点にしていて、もし見つかれば、確実に首領に斬り殺されるが、それでも行くかの?」

「その首領ってのは、どれくらいやるんですかね?」

マウロが聞いてみる。

「わしも見たことはないが、砂漠一の荒ぶる剣使い、と呼ばれとる。やめておいた方が身のためじゃがな」

老人は、その拠点に行くことを勧めない様子だ。

「……見てみないと分からないですね、ゼルセさん、僕がみんなを守るので、行ってみませんか?」

マウロがゼルセットにそう頼むと、

「俺は最初から協力するつもりだぜ?」

と同意してくれた。

「行きましょう!」

マウロが2人を促して、進む。

やれやれ、と老人は首を振って、2人についていった。


サンドボードで進み5日目、オアシスを発見した。途中何度か盗賊に遭遇したが、マウロの絶妙なボード使いと、寄せられても剣技で応酬し、切り抜けた。

老人は、盗賊がオアシスに張り付く前から、砂漠を知っていたため、そこにたどり着くことができた。

オアシスの近くは、レンガを積み上げて作られた建物がいくつかあり、盗賊団の拠点というのが一目で分かる。

マスクをした盗賊が数人、ウロウロしているだけで、オアシスには容易に近づけそうだった。


マウロは、水を積むため容器を抱えて、ボードから降りる。

一つの容器をいっぱいにすれば、5日は持つ。

マウロは、建物の影に隠れ、様子をうかがいつつオアシスに接近していった。

オアシスに到着し、水を補給する。

コポコポ、と音を立てて水が容器を満たしていく。

それを持って、帰ろうとした時、灰色のコートを被った盗賊がこちらに迫って来た。


「ウチのアジトに侵入者かい、命知らずってやつだね」

声からして女と思われるその人物は、その話の内容からして、盗賊団の首領であった。

マウロは、しまったと思ったが、すでに逃げられる状態ではない。

容器を置いて、相手を観察する。

「レベル32……」

女はこう続けた。

「最近、仲間の報告でこのオアシスに向かっている者がいるってのを聞いていたんだ、まさかあんたみたいなガキとは思わなかったけど」

マウロは相手のレベルの高さに狼狽したが、更に詳しくデータを集める。

「筋力4、身体能力5、剣技2、攻撃的性格・・・」

能力値は5段階で構成される。

このデータから、相手が国の兵士とはまた違った、砂漠流の剣使いであることがうかがえる。

想像するに、砂で鍛えられた足腰による俊敏な動きから、剣技をカバーする威力の高い攻撃を繰り出してくるのだろう。

更に、

「スキル、砂の盾」

というデータまで引き出すことができた。

相手に地の利がある、そうマウロは思った。


「ウチはリーシア、砂の盗賊団の首領だ、ここまで来たことを褒めてやるよ。だからチャンスをやる。ウチと一騎打ちをしな。うまくいけば、ウチを倒して生き延びられるかもしれない」

リーシアはそう言って剣を抜いた。

「分かった、相手になる」

とマウロも剣を抜いた。

リーシアがこちらに走り出した瞬間、マウロは後ろに駆け出した。

「逃げるかっ」

とリーシアが迫る。

マウロは建物の中に入り、奥の部屋の入り口付近で向き直り、中段に剣を構えた。

「袋のネズミ!砂漠にもネズミはいるのねっ」

とリーシアが剣を上段に構え、振ろうとした時、その動きが止まった。

マウロがちょうど入り口の一歩後ろにいるため、そのまま振れば入り口に剣が当たる。

「ちっ、汚い手を」

とリーシアが突きを繰り出そうと、中段に構えを変えたところで、マウロがすかさず剣を振ってきた。

キインと剣を受け止める。

マウロは、素早く、回転の速い剣技を繰り出し続けた。

キイン、キイン、とリーシアは剣を受け続ける。

(思った通り、攻めは得意だけど、受けは苦手っぽいな)

とマウロは、ここが攻め時と言わんばかりに、集中力を高めて、威力を殺した、隙のない早業で相手を攻め続ける。

リーシアは焦り始めた。

このまま受けに回り続ければ、いずれミスが生じ、斬られる。

マウロが入り口から一歩踏み込んでいるのを見て、リーシアは飛びのいた。

そして、大きく踏み込み、全力の一撃を見舞うべく、振りかぶった。

「しまった!」

リーシアが気づいた時には遅かった。

マウロは中段からの最短の突きで、リーシアの首筋に剣を当てた。

「僕の、勝ちだ!」

「あんたみたいなガキに……」

いつもならなりふり構わず剣を振るリーシアだったが、20そこいらの子どもにここまで追い詰められ、負けを認めざるを得なかった。


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