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スキル「投剣」 最弱の成り上がり  作者: 青むらさき
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第一章 メイドラクーン

白く 眩しい光から解放されて、まず最初に目に入ったものは、映画などでしか見たことがない、王城の謁見の間みたいなところに座る王冠のようなものをかぶった初老の男性とその奥さんらしき金髪の人、そして金髪碧眼で髪はウェーブがかかって腰あたりまであるようなまるで王女様みたいな………あれ?これってもしかして異世界転移というやつでは?そんなことを考えていたら王冠のようなものをかぶった初老の男性(まぁ多分王様だろう)が喋り始めた。


「よく来てくださった。勇者様方。突然のことで、混乱していると思うが、取り敢えず私の話を聞いて欲しい。私の名前はアルリヒド・メイドラクーン5世だ。よろしく頼む。それと隣は王妃のメイヤ、その隣にいるのが娘のアレーだ。まずはこの世界のことから話そう。・・・」


そう言うと、彼はこの世界について話始めた。要約すると、この世界はセイリオと言うこと。この大陸はアドミラルトレースと呼ばれ、人族の大陸である。(ちなみに人族以外は全部で5種族いる。それぞれ、エルフ、獣人、ドワーフ、魔人だ。)今、俺たちはその3大王国である、メイドラクーン王国にいること。魔王が復活してしまったということ。更に魔王は魔人族を率いて魔神を復活させようしてるということ、その魔王を倒すために勇者を召喚しろという神託を受けたということだ。


話を聞いて、みんなが眉をひそめた。そして、みんなを代表して、話を始めたのは、クラスのリーダー的なポジションの佐藤 紅河だった。


「あなた達の境遇や言いたいことはわかりました。しかし、自分達は勇者などではなく、ただの一般人です。はやく帰してくれませんか?」


明らかに拒絶の意思を見せつつそういうと、他のクラスメイトからも便乗する声があがる。しかし


「今のままでは、それはできん。」


と王様の苦渋に満ちた声がやけに響き渡った。


その声を聞き、今まで騒いでた生徒達が一瞬で静まった。それと同時に彼らの顔は絶望にゆがんだ。


「なんでですか?」


紅河の切羽詰まったような声が彼らの不安を表してるようだ。それに対する王様の返答は


「帰還には貴殿らの召喚に使った魔力と同程度の魔力が必要だ。が再度たまるには、100年以上の年月がかかる。」


「他に帰る方法は?」


新谷が質問した。その質問に王様は待ってましたとばかりに説明をはじめた。


「魔王の魔力の源の心臓なら、十分な魔力を蓄えていると思う……だから、貴殿らを帰す方法があるとしたら、その心臓を持って来てもらうことだけだ。」


何か、都合の良さを感じる。ほんとにこの人の言うことは正しいのかという疑問がつぎつぎ頭をもたげてきた。まず、召喚されて、混乱してる間に自分たちの伝えたいことだけだけを一方的に伝えて自分たちの要求を呑ませようとしている。それに、ほんとに魔王を倒したら元の世界に帰れる保証はあるのか。そんなことを考えてるうちに話は続いていた。



「 それに、貴殿らは自分達のことを一般人と言ったが、我々からみたら化け物みたいな能力を持っているはずだ。心の中でステータスと唱えてみよ」


俺たちはそれぞれ、ステータスと唱えるとそれから約5秒後、俺たちの目の前に銀のプレートが出現した。俺は、異世界転移もののチートな能力を期待してその銀のプレートを覗きこみ


ーー絶望した


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

キリン・サクマ Lv.1

称号 最弱

筋力 5

体力 9

敏捷 4

魔法耐性 10

物理耐性 10

魔力 100000000

魔法適性 0

スキル 投剣 ・火魔法

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


あまりにステータスが低いのだ。呆然としていたせいで、新谷にステータスを見られてしまった。そして新谷の笑い声が響き渡る。


「ギャハハハハハ。お前魔力以外のステータス低すぎだろ。もしかして、一般人より弱いんじゃね。」


新谷の言うことは正しかった。王様が言うには、一般人のステータスは、だいたい成人男性で全ての能力値が100〜200の間らしい。(魔法適性値は例外で100がMAXらしい。成人男性で10〜30だ。)魔力だけはバカに高いが魔法適性がないと何も出来ないらしい。つまり俺は、一般人にすら敵わないようだ。だからか、「最弱」の称号をもらってしまったようだ。ちなみに魔力以外の数値は、3、4歳の数値だと言われてしまった。


そして、称号「勇者」をもらった紅河のステータスはこんな感じだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

コウガ・サトウ Lv.1

称号 勇者・聖剣使い

筋力 820(2460)

体力 1200(3600)

敏捷 780(2260)

魔法耐性 1000

物理耐性 1100

魔力 800

魔法適性 100

スキル 聖剣技・剣技・双剣技・光魔法・雷魔法・索敵

派生スキル 攻撃補正(3倍)・敏捷補正(3倍)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


マジ、嫌がらせだろ。そう感じるのも仕方がないと思う。単純な計算で、俺の約800倍から1200倍のステータスだぞ。俺は、悪意を感じたね。うん。誰のだか知らないけど……



他の奴らも、紅河には敵わないが、十分にチートなスペックとスキルを持ってるらしい。さっきまで、絶望していた顔してたのに、自分の強さを見て、今は目を爛々と輝かせはじめた。まったく現金な奴らだ。


そんな中、王様の再び声を発した。


「では、今日はゆっくり休んでもらい、明日から、1ヶ月間訓練をしてもらう。もちろん貴殿ら、異国の人だけに訓練してもらうのは、申し訳無い。だからアレーにも参加してもらう。そして1ヶ月後貴殿らと、共にレベルを上げるための旅に出てもらう予定だ。」


どうやら俺が呆然として居る間に、魔王を討伐する方向で話が決まったらしい。まだ、胡散臭さがあったが、しかし、現状これしか道はなかったから、割り切るしかなかったようだ。



そしてこの後に、それぞれ自分の持っているスキルに合った武器を配られ寝室に案内された。寝室でこれからのことを考えていると、突然にノックされた。


「はい」


「白岡だけど、今、時間だいじょぶ?」


「どうぞ」

「こんな夜遅くにどうし⁈」


言葉が途中で止まってしまったのも、しょうがないと思う。彼女の格好が魅力的すぎたからだ。多分この世界の寝巻きに当ると思われる服装だが、ほぼ下着みたいな格好に、上から薄いカーディガンのようなものを引っ掛けているだけなのだ。さらに、右手の採光用の窓から入ってくる月の光ともあいまって扇情的な格好でありながら、女神みたいな神秘的な雰囲気を醸し出していた。


「どうしたの?」


あまりに呆然としていたためか、心配されてしまった。そのまま俺は、テンパリすぎて普段なら絶対に言わないようなことを口走ってしまった。


「あまりに、その………白岡さんが綺麗で、見惚れちゃったんだよ」


彼女は一度キョトンとした表情をした後に、ボッ‼︎と音がしそうなくらい顔を赤くさせていた。多分俺の顔も真っ赤だろう。


「き、ききききき綺麗っててててて」


「う、嘘だよ。綺麗とかじゃなくて、可愛いじゃなくて、あぁもう。」


誤魔化そうとしたけど無理だった。彼女を貶すような言葉がどうしてもだせなかった。その間に彼女は際限なく顔を真っ赤にしていってる。


「佐久間くん、それって本気で言ってる?」


目をうるうるさせて、頬を紅潮させた上目遣いでそんなことを言われてはもうダメだった。


「本気だよ‼︎白岡、今すっごく可愛くて綺麗だ。陳腐な言葉でしか言い表せないけど、今まで見たどんな女の子よりも素敵に見える。」


俺は、多分彼女のことを好きだったのだろう。それを今まで自覚してなかっただけだったらしい。それを意識した瞬間、もう我慢ができなかった。口が勝手に動く。


「白岡、俺はお前が好きだ。」


それに対する白岡の返答は………気づいたら抱きつかれてキスをされていた。そして彼女の目に薄く光るものが輝いていた。そして、唇が離れたあと、その離れた唇が言葉を紡ぎだす。


「私は………私も佐久間君のことが好き‼︎一月前に助けられた時から、王子様みたいな人だと思った。それから、佐久間君のことを見ると胸がドキドキして………これが人を好きになることなんだなって実感したかな。」


二人して目を合わせると、同時にはにかんだような笑みを浮かべあった。こうして俺に恋人ができた。


「で、なんで俺の部屋に来たの?まさか告白するためなんかじゃないよね?」


「ううん。そうじゃなくてね。とりあえず私のステータスを見てくれる?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アズサ・シラオカLv.1

称号 聖女

筋力 200

体力 420

敏捷 500

魔法耐性 2260

物理耐性 520

魔力 1500

魔法適性 100

スキル 杖術・盾術・火魔法・水魔法・風魔法・土魔法・治癒魔法・魔力共有

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「うわぉ、佐藤よりは劣るけど、まじチートだわ。」


梓は慌てたように首を振った。


「そんなこと言いにきたんじゃないの‼︎さっきの大広間で新谷君が佐久間君のこと魔力以外はそのー………残念だって言ってたじゃない?」


「もうはっきり言ってくれていいよ。雑魚だって」


「そうじゃなくて、魔力ってどれくらいある?」


「一億」


「はっ?桁がおかしいでしょ」


彼女の顔が驚愕に彩られる。


「魔法適性が0だから何も出来ないけどね。」


自嘲的にそう言うと、彼女は


「そんなことない。私と佐久間君で協力すれば、もしかしたら、一番強いかもしれないよ。」


今度は、俺の顔が驚愕に染まる。


「それってどういうこと?」


梓は、嬉々として、話出した。


「私のスキルに魔力共有ってあるでしょ。あれって名前の通りで魔力を共有できるの。」


「つまり?」


「私が佐久間君の魔力を使って魔法を使えるってこと!」


「ってことは、俺は最弱じゃなくなるの?マジで?」


俺の胸は歓喜で打ち震えた。そして勢い余って彼女に抱きついてしまう。しかし、元ぼっちの俺が、そんなことをしたらどうなるのか………脳のキャパが容量を超えて、頭がショート。意識がブラックアウトしていった。


こうして、俺の大波乱の異世界転移初日が終わる。このあと、どんなことが起こるか、想像もせずに………


✳︎ ✳︎ ✳︎

俺、新谷俊は、白岡梓が小学生の頃から好きだった。しかし最近、俺が散々罵ってきた、佐久間の野郎が、白岡と仲良くしているのを見ると、胸に黒い物がこみ上げてくる。どうして仲良くなったかを今日の朝、教室で聞いた時、白岡は、


「私の危機に、王子様みたいに駆けつけてくれたの。自分がボロボロになるのも厭わずに///」


その話を嬉しそうに話すそれは、恋する乙女の顔だった。俺は………。頭が真っ白になって気付いたら、佐久間を全力で蹴っていた。ただムカついた。


そんな時に、この異世界転移がおとずれた。これはきっと、みんなにとって、もちろん白岡にとっても危機的な状況なんじゃないかと思った。この危機に俺が白岡を庇ってやれば、俺に好意が向くかもしれない。そんなことを考えて、不安になってるであろう白岡に慰めの言葉をかけにいこうとした途中で一つの客室が開いてることに気づいた。俺は興味本意で覗いて……………後悔した。部屋の中では、佐久間と白岡がキスをしていたのだ。その時に俺の胸の中の黒いものが、明確な殺意に変わった。


派生スキルは、魔力を使うことによって、何かを得られる、特殊なスキルみたいな感じです。派生スキルがついてくるのは、勇者などの特殊な称号がある場合のみです。

ちなみに攻撃補正は体力と筋力、敏捷補正はそのまんまですね。

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